最後のウィネベーゴ (奇想コレクション)

制作 : 大森 望 
  • 河出書房新社
3.51
  • (12)
  • (32)
  • (49)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 230
感想 : 36
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309621975

作品紹介・あらすじ

愛するものを失う痛みと、滅びゆくものへの哀惜、そして赦し。犬が絶滅してしまった近未来のアメリカで孤独な男が出逢う、ささやかな奇蹟…。読後に深い余韻を残す表題作から抱腹絶倒コメディまで、アメリカSF界の女王ウィリスのベスト・オブ・ザ・ベスト4本を厳選する傑作集。ヒューゴー賞・ネビュラ賞・SFクロニクル誌読者賞・ローカス賞他、収録作4篇あわせて全12冠。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • コニー・ウィリスの短編集。
    どれもかなり面白い。「女王様でも」は、SFではかなり珍しい女性視点。
    斬新だし、内容も面白いっ!
    「最後のウィネベーゴ」はなんのことやらわからないうちに話が進み、
    気がついたら最後は泣いてた。犬好きにはたまらない。。。

  • 2006-00-00/one of the best dog stories

  • 私の評価基準
    ☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
    ☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
    ☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
    ☆☆ 普通 時間があれば
    ☆ つまらない もしくは趣味が合わない

    2014.1.11読了

    いやー、やっぱり面白いな。

    どれも良かったけど、表題作が1番良かった。
    面白いという話ではないけど、最後の方でグッと来る。

    短編の名手ということだけれど、私は長編の方がいいかな。
    何故かというと、自身の読解力の無さ故に、度々前に戻って読み返すことが多いのだけれど、短編だとそのタイミングを逸してボンヤリしたまま話が終わってしまう事があって、また最初から読んだりして、かえって大変なんだよね。
    まあ、そんな苦労も面白いから報われる。

  • 『タイムアウト』がめっちゃ好み。もうそれこそ泣きそうになるくらいに。図書館で借りて読んで、読み終わった後、迷わず買った。

  • 『スパイス・ポグロム』が特に好き。宇宙を舞台にしたスクリューボール・コメディ。不思議な雰囲気の舞台設定や個性的な脇役に、どこか切なさも感じるロマンス要素が絶妙に絡まっていて、誰かセンスの良い監督に映像化してもらいたいなあ。無声通話機が良いアクセントに。表題作も最後にはっとさせられる傑作。

  • おもしろくてびっくりした。基本的に横文字の名前が苦手なので無理かなーと思ったけど、独創的な世界観と適度なほのぼの感?がとても気に入った。

  • う~ん、短編の名手?ホンマに?
    長編の方が遥かに面白い。
    いつも話がゴチャゴチャしつつも、クライマックスに向けて盛り上がって行くんだけれども、短編だとゴチャゴチャの後いきなりクライマックスだから、なんか凄く唐突。
    表題作の「最後のウィネベーゴ」みんな誉めてるけど私にはさっぱり。
    面白くない訳じゃないよ。どれも水準以上だとは思う。
    オックスフォード大学史学部シリーズを読破したので、コニーウィリス全部制覇だ!と思ったんだけど長編だけにしようかな。

  • ヒューゴー賞、ネビュラ賞ほか数々の受賞の表題作ほか、コニー・ウィリスの代表作4編が収まった、作品集です。
    必読です。

    私が一番気に入ったのは、スパイス・プログム。

    こんな感じの未来は、本当にありそうな・・・・・。

    日本というか、日本人を少し、風刺気味に扱っているところも、なるほどと思わされました。

  • コニー・ウィリスの短編集

    女王様でも
    これは本書では、一番SFらしい。
    「サイクリスト」は自転車関連かと思ったが「周期偏重主義者」のような意味だ。感覚的に男には理解困難な話ではある。一か八かにかけている、女性オリンピック代表選手などにとってはユートピアだろう。

    タイムアウト
    変わったタイムトラベルものというより、中年男女のロマンスコメディ。

    スパイス・ポグロム
    「オーキフェノーキ」という名のエイリアンを中心としたドタバタコメディ。

    最後のウィネベーゴ
    滅び行く動物達へのレクイエム。細かなことだが、これが書かれた時代がちょっと古いためか、まだフィルムカメラが出てくるのに違和感を感じてしまう。

     ささいなことをこれでもかと書きこむコニー・ウィリスのせいで、「その世界のこまごまとしたことは分かったが、いったいこれからどうなるのだろう」と思っているうちに、ページ数が尽きてエンディングになってしまうという感じ。

     長編だとその緻密な描写が生きてくるのだが短編では苦しい。「訳者あとがき」ではこの本を大絶賛しているのだが、これには同意できないなと感じた。

  • 最近デジタル一眼を手に入れた。さっそくニケをモデルに撮影してみて驚いた。いや、正確に言うとパソコンのモニタに現れたその画像の大きさに驚いたのだ。背景でしかない本棚に並んだ本の名前まで正確に読みとれる。これで望遠レンズでも装着して、あたりかまわず撮影したりしたら、ひょっとして何かの事件の証拠写真になるような写真が撮れているかもしれない。

    ヒッチコックの『裏窓』に限らず、カメラが動かぬ証拠をとらえるという設定はミステリには欠かせない。しかも、そのカメラがブリーフケースと見紛う形状をしていて、水平方向に置けば自動起動し、トリガーがついていて人間の顔、全身ショット、乗りものにプリセットされているとしたら。たしかに今のカメラはよくできていて、それくらいはできそうな気がするが、これは近未来の話。

    作者のコニー・ウィリスは、『犬は勘定に入れません』で大ブレイクした現代SF界きっての人気作家。『航路』も、『ドゥームズデイ・ブック』も分厚い本で、つい長編作家と思いたくなるが、もともとは短編も得意な作家である。その力量は、この中短篇を集めた一冊でよく分かる。どれもそれぞれに面白いのだが、巻末に置かれた表題作「最後のウィネベーゴ」を読むと、それまでの作品の印象が薄れてしまう。それほど、この一作の完成度は高い。

    SFとはいっても、いつでも宇宙船が出たり、タイムマシンが登場するわけではない。むしろ、この作品などミステリと言っても通用する仕上がりになっている。ただ、舞台は個人情報が監視されている社会で、ウィルスによって動物種が全滅しかけている。都市に水を運ぶタンクローリーが、数珠つながりで道路を走り、キャンピング・カーなどは規制する都市も多い近未来のアメリカ。

    主人公はこれも自動起動カメラの普及によって絶滅危惧種の扱いを受けつつあるフォトジャーナリスト。全米最後の生き残りRV車であるウィネベーゴの取材に行く途中、ジャッカルが轢き殺されるのを目撃する。動物が稀少な社会で動物殺しは重罪。当局に電話で通報するが、かえって当事者と疑われる始末。個人情報はすべて「協会」の知るところとなっており、彼が、最後の犬の所有者であったことも知られている。そして、その愛犬の死が車による轢死であったことも。

    ペットと暮らしている者なら誰でも、不意に訪れる愛する者との別れを、恐れつつ思い描かない者はいない。まして、それが現実と化し、誰かの過失によって引き起こされたりしたのなら、相手を赦すことは難しいと思う。たとえ、それが家族であったとしても。

    ジャッカルが轢かれるのを目撃した主人公は、愛犬アバヴァンが事故にあった日のことを思い出す。それは、今の出来事を物語る叙述に続いてフラッシュバックのように唐突に挿入される。一見無雑作なようでいて、頻出するSFらしい見知らぬ造語と同じくなんの説明も抜きで語られることによって、巧妙な伏線と化し、最後のクライマックスの効果を盛り上げている。

    情報化社会の行き着く果ての監視社会を背景に、滅びゆくものへの哀惜を主調音に、愛する者を突然奪われた者の心の動揺、喪失感、罪悪感、奪った相手に対する非難、そして葛藤の果ての赦しを、ジャッカルを轢いた犯人探しの謎解きと絡めてミステリタッチで描いた心に残る一作。読んだ後、思いっきりニケを抱きしめてしまった。

全36件中 1 - 10件を表示

コニー・ウィリスの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
カズオ イシグロ
池上 永一
シオドア・スター...
米澤 穂信
有川 浩
万城目 学
米澤 穂信
グレッグ イーガ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×