[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ (奇想コレクション)

制作 : 若島正 
  • 河出書房新社
3.46
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本棚登録 : 110
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309622002

感想・レビュー・書評

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  • 「帰り道」
    田舎のスモールタウンに住む空想がちな中学生(?)の一瞬の逃避行。単語の羅列が、通り過ぎて行く列車の車両のように、読む者の意識を通過して行く。そして、現実か彼の空想か区別がつかないまま、必然的に中途半端な結末に行き着く。同じく田舎の中学生だった私は胸が締め付けられる。わずか数ページの鮮やかな青春。

    「午砲」
    自己嫌悪がべったり張り付きすぎて、自身の周りにその苛立ちをぶつけるいじめられっ子だった青年。彼の妄想と最初の戦いの記録が、ガールフレンドの小心な弟の「午砲」のエピソードと重ねられていく。驚きの勝利と手に入れた優しさ。

    「必要」
    田舎町でよろず屋を営みながら、どんな人間にも嫌われることのない、間を取り摩擦を中和することに長けた男。
    他人が必要とするものが瞬時に流れ込んでくる特殊な能力を持ったゆえに孤独で、またそれゆえに他人を逆なでするような言動で人を寄せ付けようとしない男。

  • 前に夢見る宝石を見て随分幻想的な物語を書かれる方だなあ、と興味を持ち、図書館で借りて読んでみました。このシリーズ、本当に装丁が素敵ですね。本棚に余裕があれば集めたいところですが…

    ロマンティックと言ったら言い過ぎなのかもしれませんが何となく儚い美しさ、のようなモノを感じました。壊れやすそうだけれどもだからこそ綺麗、と言ったような。殺人ブルドーザーはこの人の作品だったのか…。ブルドーザーの短編は少し毛色が違っていたかな、と思いました。他の本も今度読んでみたいと思います。

  • どれもこれもかなりのメッセージ性(説教臭さ)がある。スタージョン一流の描写の細やかさには脱帽。

  • 帰り道、午砲、表題作が良かった。あとスタージョンがブルドーザー好きで有ることが分かりました。
    もうこれでスタージョンの短編集は打ち止めでしょうか。邦訳されたまま雑誌に埋れている短編もまだ沢山有るので、次も楽しみにしています。

  • 必要と表題作が良かった

  • どれも面白かったけど、表題作の[ウィジェット]と[ワジェット]とボフが特に良かったです。じんわりとやさしい気持ちになれました。

  • 表題作に、恋愛しろと迫る世界に絶望する人が出てくる。
    その人が気づいた答はとても当然な真理だけれど、それを考えない(考えずに済む)人は幾らでもいるし、考えてしまう(考えざるを得ないほどに生き辛い)人は、こんなバカみたいに当たり前の解答にいたるために死ぬ程思い悩むハメになるんだよな。それが腹立たしい。

    他の短編も良かった。

  • 若島正編纂による作品集。
    家出ともいえないような家出をしている間の少年らしい空想と、やっぱり家が・・・という、子どもらしい唐突な心変わりが瑞々しい印象の「帰り道」、サラ・ネルとジョーという若いカップルのその後が、何となく心配になる「午砲」、どういう展開になるのか見当がつかず、楽しめた「必要」―善意の人でも親切な人でもないゴーウィングが、何故他人の望みをかなえてやろうと奔走するのかが、明らかになっていくのが面白い。そして、表題作。異星人の介入で、登場人物たちがあるがままの自分や心からの望みに気づき、人生を立て直していくというストーリーで、これまた面白かった。異星人が(人間の身体を)するりと脱いで、きれいにおりたたむというのは、スタージョンの他の短篇でもあったけれど、いつ読んでも強烈。 
    ―― The [Widget],the[Wadget],and Boff and other stories by Theodore Sturgeon

  • 未読。

  • 自殺志願の男、スターの夢破れた女、偏見に囚われた弁護士……。心に問題を
    抱えた者たちに奇蹟の夜が訪れる……。孤高の作家が追い求める奇妙な愛の
    かたち。異様なまでに感動を呼ぶ不滅のスタージョン・クラシックス全6篇。

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著者プロフィール

シオドア・スタージョン(Theodore Sturgeon):1918年ニューヨーク生まれ。1950年に、第一長篇である本書を刊行。『人間以上』(1953年)で国際幻想文学大賞受賞。短篇「時間のかかる彫刻」(1970年)はヒューゴー、ネビュラ両賞に輝いた。1985年没。

「2023年 『夢みる宝石』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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