- Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309622033
感想・レビュー・書評
-
SFが苦手な人にも読みやすい。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
奇想コレクションということでSFからホラーテイストのものまで10編収めた短編集。テーマをくどいくらいに突き詰めており刺激を受ける作品が多く楽しめました。
『ユージーン』一番面白かった。高額宝くじ賞金の使い道を迷う夫婦に、遺伝子操作で完璧な赤ちゃんを作ることを勧める科学者。自然がよいのか、完璧な赤ちゃんは何をもたらすかを真剣に悩む夫婦の選択。ラストの意外性と清々しさも好き。
『新・口笛テスト』CMで妙に耳に残りリピートされるような曲を突き詰めた結果起こる悲劇。SF要素と奇妙な物語っぽさが上手くまとまってた。
『銀炎』ウイルス感染経路を調べる中で見えてくるウイルス以外の恐怖。ストーリーの盛り上がりには欠けていて少しだれたのですが、メッセージ性が強くすごく興味深い内容。 -
イーガンの日本オリジナル編集の短篇集。既刊5冊のうち、本書のみが河出書房新社の『奇想コレクション』より刊行。
SF関係の叢書は多くの版元から出ているが、やはりカラーがそれぞれ異なるようで、『奇想コレクション』刊行の本作も、上手い具合に『奇想』カラーになっていた。特にハヤカワ文庫の収録からは漏れていた、初期のホラー短篇が収録されていたのは嬉しかった。ホラーでありながらしっかりSFしているのが面白い。好きなのは『散骨』と『森の奥』。
逆にSFでは『視覚』『ユージーン』が好きだ。特に『視覚』は『幽体離脱』というホラーのモチーフをSF的に解釈しているところが面白い。
『要塞』と、表題作にもなっている『TAP』は、イーガンらしい短篇。何よりオチが『ああ、イーガンだなぁ』という皮肉なもので、読んでいてやっぱり笑ってしまった。 -
いろいろな発想が楽しめる短編集。イーガンらしい、どこに知性と記憶はあるのか、といった話題が多い。
ところで、そもそもわざと読みづらい文体になっているだろう話もあるので、一概には言えないのだろうけど、もしかしてこの訳は読みづらくないか? -
とにかくアイディアが凄い!!
-
短篇集。
「奇想コレクション」に入るくらいなので、内容はそれなり。 -
現代ハードSFの第一人者イーガンの短編集。
重厚な長編には手を伸ばしづらいが、本書は比較的読みやすいSFやホラーが収められている。脳科学やバイオ系の話が割と好きのようだ。わかりやすさで言うとSF系では『新・口笛テスト』『ユージーン』、ホラー系では『悪魔の移住』『自警団』がよかった。 -
リサーチをしたわけではありませんが、おそらく科学者という人びとは、けっこうSFがすきなんじゃないかという気がします。空想科学小説などと訳されたりするくらいなので、キホン、出鱈目です。嘘八百です。でも科学って、「まさか」に近い「もしも」を追求して進歩してきたんじゃないでしょうか。
だからこそ、というべきか、科学者がニセ科学を強く批判するのは、科学を装ったものが科学の名を借りて、人びとを不幸にするのが許せないからでしょう。ニセ科学は科学だけでなく、空想という夢をも破る行為です。イーガンも数学理学士号をもってるそうですから、さぞかしニセ科学がお嫌いなのであろうと推察します。
イーガンぽい作品、そうでない作品、いろいろありの短編集。
科学と科学でないもののあいだにはグレーゾーンがありますが、そこらあたりのくすぐりもうまい。出鱈目万歳。 -
SFではないのだが、とりあえず読破。10短編だ。
わかるけどイマイチ「新・口笛テスト」、オチがわからない「視覚」、なかなか面白い未来の息子「ユージーン」、ちょっとくどい「悪魔の移住」、オカルト風「散骨」、表題作候補だったというが・・・「銀炎」、わかりにくいオカルト「自警団」、これまた理解を超えた「要塞」、わかるけれど釈然としない「森の奥」、表題作でありながらピリッとしない「TAP」。
要するに今回は「奇想作品集」ということでイマイチだったなぁ。 -
脳に作用してあらゆるものを言語で表現することを可能にするインプラント“TAP”。それを使用していた世界最高の詩人が謎の死を遂げた。詩人の娘から事件の究明を衣頼された私立探偵は捜査に乗り出すが…表題作「TAP」、体外離脱体験を描いた“世にも奇妙な物語”「視覚」、一人称による饒舌な語りの異色作「悪魔の移住」、ホラー作「散骨」、イーガンの科学的世界観が明確に刻まれた名作「銀炎」ほか、すべて本邦初訳で贈る全10篇を収録。