「若者」とは誰か: アイデンティティの30年 (河出ブックス 61)
- 河出書房新社 (2013年8月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309624617
感想・レビュー・書評
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本書を読んで一番印象に残った言葉が、宮台真司から引用した『仲間以外はみな風景』という言葉である。
コミュニティを大事にする今の若者にとっては、『隣は何するものぞ』の世界であって、そこで言う仲間とは人によっては地域、また別の人にとってはネット環境だったりするのである。そうした時、いくらTVで遠くの現実的な状況を報道をしていようと、また近くで誰かが困っていようと、そこに入り込み関与するということはなく、ただただ異質の異形のものとして目の前を通り過ぎていくだけなのである。過去に照らし合わせて言えば、世界で起こっていることや外国人に関わることが自分にとっての非日常の風景であったものが、今や同じ国内さらには目の前の日本人さえも一風景としてあしらわれているのである。
これを悲しむべきか否かは人により変わるのだろうが、私自身も若者の一人として、少なくともそういった思考や環境の影響を受けていることを念頭においた上で、さらに「若者」に対する考察を続けていきたいものである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
社会
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現代は、それぞれの人や機会によって対応を変化しなければならない時代である。 そんな中、自己をいかに多様化して行くようになったかを過去からの違いから説明している。
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データから読む、「最近の若い者は」の背景、そして現代的アイデンティティ
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大学生を調査対象とする研究をする立場として、若者の捉えられ方の歴史を学ぶべきでると考え本書をとった。アイデンティティという観点で多元的自己について論じている。まだ現実とあわせて充分に整理できていない。もう少し時間が欲しい。
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三葛館一般 367.6||AS
若者たちが自分たちのアイデンティティを語ること、大人たちが若者のアイデンティティを捉えること。若者のアイデンティティはこの2方向からの視線が絡みあっています。30年前若者だった大人が今若者論を語っている。この30年、時代とともに変化してきた若者論の軌跡をたどります。
(うめ)
和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=68863 -
「若者」とは誰か/浅野智彦著。
この本は、80年代からの若者論の変遷を論じたものである。語られるキーワードは「オタク」「自分探し」「多重人格願望」「ひきこもり」「キャラ」など多岐に渡る。多くはコミュニケーション力の高低が議題にあがっている点が興味深い。これは著者が主に「アイデンティティ論」を専門とする社会学者であることだけが理由ではないと思う。つまりは、どの時代においても、いわゆる、コミュ症・KYが不利益を被るのはいまに始まったことではないという提示であろうと思う。
p127
前章でも触れた連続幼女誘拐殺人事件の犯人のことを思い出してほしい。ーコミュニケーションが全般的に苦手で、引きこもりがちな若者こそがオタクであるうという彼らの型にはまったイメージに犯人の青年がぴたりと当てはまったからであろう。
M事件が社会に与えた影響は大きかったと思う。僕が10代の頃のオタクの一般のイメージは大体こんな感じでひどいものだった。この頃は大体、コミュニケーション不全の若者全般をオタクといった。特にアニメや特撮などの趣味人である必要はなかったと思う。ネクラはだいたいオタクといわれた。
現在ではオタク趣味の若者は昔ほど不利益を被ることは少なくなったと思う。むしろ、積極的な消費行動が好機されたり、アニメをはじめとするオタクコンテンツが巨大なマーケットを形成している点で注目されている現実があると思う。 また、昔ほどひどい装いのオタク趣味の若者は見なくなった。ファストファッションが広がったことが理由にもあると思う。
今の若者と昔の若者の考え方が違うのは当然のことである、若者はその時代時代に則する形で適応してきた。高度経済成長期の若者と、就職氷河期や労働市場の自由化などを経験した若者が同じような思考をもつはずがない。
その視点のずれが「最近の若者は」「若者の○○離れ」といった言葉を生んでいる背景があるのだろうと思う。以前は、車や服飾品などでいかに消費をするかどうかが個性であった時代もあったが、いまは将来に不安を感じるものが多くなり、ロハスや断捨離などの嫌消費という考えも広がってきた。時代は変わるので、僕も将来そういったつまらない若者論を振りかざすことがないようにしたいものである -
【配置場所】工大選書フェア【請求記号】367.68||A【資料ID】91132540
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2013/10/25読了。
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アイデンティティ論を専門とする社会学者による、主に1980年代以降の若者論の変遷について論じた長編の論考。日本におけるアイデンティティ理論の枠組みの変化と、ある年代以降アイデンティティ論が主戦場にしてきた若者論の論調がどのように変わってきたかが描かれており、若年層のアイデンティティに影響を与える主体としての若者論の姿がはっきりする。
ただ、後半で「やっぱり若者の自我が変化している」として提示される箇所については、その社会的影響を検討することなしに「変化していること」を重視するものであり、筋の悪い提示ではないかと思った。