澁澤龍彦全集〈4〉 世界悪女物語,夢の宇宙誌 補遺

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著者 : 澁澤龍彦
  • 河出書房新社 (1993年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (449ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309706542

澁澤龍彦全集〈4〉 世界悪女物語,夢の宇宙誌 補遺の感想・レビュー・書評

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  • 『世界悪女物語』と『夢の宇宙誌』のほか、評伝「パブロ・ピカソ」を収録しています。

    『世界悪女物語』は、12人の「悪女」を取り上げたエッセイ集です。「悪女」とは、「美貌と権力によって悪逆のかぎりをつくした女性、あるいはまた、愛欲と罪悪によって身をほろぼした女性」を意味しています。エルゼベート・バートリやアグリッピナのような残忍な女性、ルクレチア・ボルジアやマリー・アントワネットのように、数奇な運命に翻弄されながらも力強く生きた女性、さらにはエリザベス女王やクレオパトラのような権謀術数に長けた女性など、ヴァラエティに富んでいて、読者を飽きさせません。中でも、みずからのうちの情熱にひたすら耳を傾け、湧き上がる激情に身を焦がしたメアリ・スチュアートには、とりわけ著者の関心が強く引き付けられているように思います。また、ナチス宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルスの悪魔的な魅力に惹かれてついにはドイツ第三帝国と運命を共にしたマグダ・ゲッベルスも、おそらく同じタイプの人物像でしょう。恐ろしくも魅力的な女性たちの姿を、品格のある文章で描き出しているところに、著者の本領が発揮されているように感じられます。

    『夢の宇宙誌』は、玩具、天使、アンドロギュヌス、世界の終りという、4つの主題にまつわるエッセイで、文庫版「あとがき」に書かれているように、後の『胡桃の中の世界』や『思考の紋章学』につながる重要な著作です。「玩具について」で著者は、自動人形や仕掛け時計といった物を作り出す人びとの情熱に、芸術的感動から少し外れた隠微な快楽を読み取っています。こういった玩具を作り出す人びとは、「芸術家ほど生産社会に対してあからさまなアンチ・テーゼを提出しようという、はげしい意欲にはついぞ駆られたこともなく、また技術者ほど、このテクノクラシイ社会の進むべき方向に歩調を合わせようという、殊勝な覚悟に徹することもできない」と、著者は述べます。技術者のように、社会的に有用な目的に奉仕することもなく、芸術家のように、美という至高の目的にみずからを奉げることもありません。著者は、アルチンボルドやルドルフ2世、アタナシウス・キルヒャーといった人物を中心に、そうしたデカダンスに耽溺した人びとの情熱を、共感を込めながら語っています。

  • 2009/
    2009/

    世界悪女物語 夢の宇宙誌 補遺1964年

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