古事記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集01)

  • 584人登録
  • 3.83評価
    • (19)
    • (29)
    • (25)
    • (2)
    • (1)
  • 34レビュー
制作 : 池澤夏樹 
  • 河出書房新社 (2014年11月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309728711

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
エラ・フランシス...
伊坂 幸太郎
小林 聡美
三浦 しをん
カズオ イシグロ
有効な右矢印 無効な右矢印

古事記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集01)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • この春から池澤夏樹個人編集日本文学全集を順次読んで行こうと思う。改めて「教養」を身につけたいと思ったからである。

    第一回の配本は、愉しみにしていた池澤夏樹訳の古事記。お父さん(福永武彦)の訳は一個の独立した新しい小説のようだった。池澤訳は、それとはまた雰囲気が違う。1番の特徴は「注」があることだ。しかも楽しい。学者のそれではなく(もちろん、学術的な厳密さも担保してあるはず)、朗読の聴き手、読み手としてのそれなのだ。例えばこう。

    (黄泉の国のイザナミの言葉)「私を見ないでください」の解説にこう書く
    「と言われて見てしまうのは物語のお約束である。禁忌と違反。」

    または「ネズミ」について
    か「語源は「根に棲むもの」。地下の動物とみなされていたから。だから後には「おむすびころりん」のような話が生まれた。」


    なぜ「注」を入れたのか。池澤夏樹によれば、物語の面白さを優先させれば学術的な説明が削ぎ落とされてしまう、しかし古事記の面白さは朗読した時のリズムが重要(長い長い名前の羅列もそう思えば重要に思える)、よって小説家の訳なのに「注」が入ったというわけだ。

    例えば1番最初につぎつぎと生まれる神々の名前は、かなり「言葉あそび」があるらしい。また、抽象的な意味も持たせている。それを説明せずに朗読して聞かせることが意味があったのだろう。

    ともかく池澤訳で一気に読ませる国定公文書の「歴史」は、豊穣な想像力と世界的な知識と有名な歌歌の表現力に満ちている。

    また、池澤夏樹に指摘されて初めて気がついたことの一つに、その後の日本人の思想に決定的な影響を与えた、「敗者に寄り添う思想」が色濃く見えるのは、驚きだった。

    1番の象徴的な人物はいうまでもなくヤマトタケルである。池澤夏樹は「ここに来て文体が一変する。稚拙な神話的表現と権力の配分に関わる系譜ばかりだった(←古事記後半の11代垂仁天皇までの文章を指す)のが、この話の殺害場面の生き生きとした描写力はほとんど映画だ」(202p)と評価する。「ヲウスからヤマトヲグナへ、そしてヤマトタケルへ、名が変わるごとに成長の一段階を上がる。そもそも生涯を誕生から死まで語られる者は「古事記」にはヤマトタケルしかいない」(204p)

    「『古事記』には負けた側への同情の色が濃い。おおよそこの国の君主は古代以来ずっと政敵への報復に消極的で、反逆者当人は殺しても一族を根絶やしにすることはしなかった。そのうちに具体的な権力への執着を捨てて、摂関政治のあとは神事と和歌などの文化の伝承だけを任務として悠然と暮らすようになる。これはまこと賢い判断であって、こんなのんきな王権は他に例を見ない。その萌芽を『古事記』に読み取ることができる」(393p)

    もし天皇の(現代まで繋がる)権力執着放棄が「賢い判断」なのだとしたら、それは決して古事記の時代に発明されたものではないだろう。私はそれを倭国統一時以来の伝統的な思考と見る。

    古事記の個々のエピソードからは面白かったものは無数にあるが、それをひとつひとつ書くことは今はできない。また、機会があれば書きたいと思う。

    2015年5月2日読了

  • おなじみの神さまたちの話がずいぶんあっさりまとまっていて意外だった。ひとつひとつの話がもっと長いのかと思っていた。翻案した絵本や何かに接してきたから、いろいろ余分なイメージが自分の中にたまっていたような気がする。

    古事記はとてもおもしろいというわけではないんだけど、人間は自分のルーツをたどりたいものなんだなと実感した。

  • 古典が大苦手、日本文学全集の第一巻として池澤訳で上梓されなければ生涯読むことはなかったと思う。日本の起源を崇めるような内容であることへの懸念もあった。ところが読み始めるや否や展開のスピードとダイナミズムに巻き込まれもう止まらない。始めは苦痛だった系譜の羅列も次第に名称の由来の奥行や色目かしさ、言葉遊びのユーモアに魅せられ(池澤氏の脚注の尽力による)、幼い頃から馴染みある説話が繋がるのも新鮮であった。敗者に寄り添う物悲しさ、悲恋とエロティシズムなど小説的要素も強く、こんなに面白い書だったとは…知らなかった。

  • 読みやすかった。
    少し眠たくなるところもあったけれど、神や天皇の人間臭さにフフッとなる。
    いきなりイザナキとイザナミが性交したり、顔が悪いからと女を親の元に送り返した神がいたりと、自由気まま。
    ヤマサチビコの自分勝手さと、ウミサチビコの報われなさには悲しくなる。
    雄略天皇に、妻にするから待っててと言われてずっと待ち続けた女の話が、とても印象に残っている。それをだいぶ経って本人から聞いた雄略天皇は、「忘れてた。でももうあんた老女だから抱きたくないや。若かったらよかったのに」おいおい。
    「日本書記」は読んだことないけど、多分これより硬めな感じのものなんだろう。
    八百万の神といってもいいぐらい、沢山の神の名前が出てきた。
    これだけいると、その辺りにも神様はいるのかななんて思った。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784309728711

  • 内容はいわずもがなの驚愕の世界観。それがぐっとわかりやすくなった現代語訳、またページ構成、編集者としての池澤夏樹にも感服。しかし、原典主義者としては、やはり岩波古典大系が欲しいかな・・・。

  • 古事記はそれこそマンガから始まって簡単なものはいくつか読んでストーリーは知っているけど、全部は読んだことなかったから、これで「全部読んだ!」と思えて嬉しい。笑
    で、全部読んだ感想は、系図が長い、ということ。正直そこは飛ばし読みだが、人名とか文章が読みやすくて良かった。そして注釈が面白い。ストーリーはもともと面白いし。

  • 古事記が敗者に寄り添う物語だというのが凄い。よくぞ現代まで残ってくれたという感じだ。
    まずは冒頭の訳者の「この翻訳の方針」を読んで欲しい。そして「太安万侶の序」。この流れにはすっかり感動してしまった。なんとなく日本神話でしょ、と思っていた感覚とは全く違って、人が紡いできた物語だということがよく分かる。古代と現代が直に繋がっていることを実感するたびに心が震える。

  • 現代語訳も注も読みやすく、全編通して飽きることなく読める。予想に反して、全般の神話部分のほうが自由奔放な発想で面白い。後半はどちらかというと皇位継承争いなどによっておこる悲劇を描いた話が多い。必ずしも天皇の正統性を誇示するような内容ではない。
    全般的にはかなりエロい話が多い。禁忌や社会常識が現在と異なることを前提に読むべきであるのは当然なのだろうが、であればチャタレイ裁判など噴飯物ではないのか。そのくらい描写が凄い。

  • 今まで読んできた訳の中で一番読みやすかった。ストーリーも面白いです。

全34件中 1 - 10件を表示

古事記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集01)に関連する談話室の質問

古事記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集01)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

古事記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集01)を本棚に「積読」で登録しているひと

古事記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集01)のKindle版

ツイートする