- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309903811
作品紹介・あらすじ
パティ・スミスが自ら書き下ろした初めての私的コンプリート本!『HORSES』から新譜『GUNG HO』までの全アルバムの歌詞、曲やアルバムに関するエッセイ、そしてデヴュー前から現在までを網羅した約150点もの写真を満載。
感想・レビュー・書評
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10年前に刊行されたもので、その時点におけるパティ・スミスの全アルバム(1975年のデビュー作『ホーセス』から2000年の『ガン・ホー』まで)の訳詞とたくさんの写真で構成されたもの。
B5判の大きさで、ずっしりと重い豪華本。あえてモノクロ写真のみで構成された作りも渋い。
随所にパティ自身による短いエッセイも載っているものの、自伝として読むにはまったく不十分。年譜やアルバム・データ、解説のたぐいもいっさいなく、本書を読んだだけではパティがどんな人なのかまるでわからない。
「完全版」というくらいだから(原題も「Patti Smith Complete」)、資料的側面が充実した本なのかと思っていたので、期待はずれだった。
とはいえ、ファンが訳詞集+写真集と割り切って手に入れる分にはよい本かも。載っているパティの写真にはよいものが多いし……。
それにしても、ものすごく無愛想な本である。どの写真にもまったくキャプションがついておらず、読者に向けてポンと投げ出されている感じ。ゆえに、どういう写真なのかわからないものがたくさんある。
たとえば、「アバウト・ア・ボーイ」(アルバム『ゴーン・アゲイン』所収)の訳詩が載ったページの隣には、カート・コバーンの写真がなんの説明もなく載っている。
「アバウト・ア・ボーイ」はパティが亡きカート・コバーンに捧げた曲……ということを知っている人ならその意味がわかるが、知らない人には意味不明だろう。
そのように、本書全体が「わかる人にだけわかればいい」というスタンスでつらぬかれているのである。
日本版を作るにあたって、最低限のキャプションくらいはつけるべきだったと思う。
訳者は東玲子という人。彼女の訳はけっして悪くないのだが、違和感を覚える部分が散見された。たとえば、「ピープル・ハブ・ザ・パワー」(曲名)を「人民の力」と訳していて、ずっこけた。
「ニューヨーク・パンクの女王」パティ・スミスが「人民」て(笑)。中国共産党じゃないんだから。
……と、いろいろケチをつけてしまったが、パティ・スミスのアルバムを聴きながら眺めると、彼女の音楽の味わいがいっそう深まる本ではある。
私も、パティ・スミスのCDを引っぱり出して流しながら読んだ。
彼女の初期4作(『ホーセス』『ラジオ・エチオピア』『イースター』『ウェイヴ』)はいずれ劣らぬ傑作だと、改めて思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
T-Shirtsプレゼントしたい。
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写真もたくさん載っていて、パティ・スミスファンにとっては、保存版にしたい!のでは。