パティ・スミス完全版

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 37
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309903811

作品紹介・あらすじ

パティ・スミスが自ら書き下ろした初めての私的コンプリート本!『HORSES』から新譜『GUNG HO』までの全アルバムの歌詞、曲やアルバムに関するエッセイ、そしてデヴュー前から現在までを網羅した約150点もの写真を満載。

感想・レビュー・書評

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  •  10年前に刊行されたもので、その時点におけるパティ・スミスの全アルバム(1975年のデビュー作『ホーセス』から2000年の『ガン・ホー』まで)の訳詞とたくさんの写真で構成されたもの。
     B5判の大きさで、ずっしりと重い豪華本。あえてモノクロ写真のみで構成された作りも渋い。

     随所にパティ自身による短いエッセイも載っているものの、自伝として読むにはまったく不十分。年譜やアルバム・データ、解説のたぐいもいっさいなく、本書を読んだだけではパティがどんな人なのかまるでわからない。
     「完全版」というくらいだから(原題も「Patti Smith Complete」)、資料的側面が充実した本なのかと思っていたので、期待はずれだった。

     とはいえ、ファンが訳詞集+写真集と割り切って手に入れる分にはよい本かも。載っているパティの写真にはよいものが多いし……。

     それにしても、ものすごく無愛想な本である。どの写真にもまったくキャプションがついておらず、読者に向けてポンと投げ出されている感じ。ゆえに、どういう写真なのかわからないものがたくさんある。

     たとえば、「アバウト・ア・ボーイ」(アルバム『ゴーン・アゲイン』所収)の訳詩が載ったページの隣には、カート・コバーンの写真がなんの説明もなく載っている。
     「アバウト・ア・ボーイ」はパティが亡きカート・コバーンに捧げた曲……ということを知っている人ならその意味がわかるが、知らない人には意味不明だろう。
     そのように、本書全体が「わかる人にだけわかればいい」というスタンスでつらぬかれているのである。

     日本版を作るにあたって、最低限のキャプションくらいはつけるべきだったと思う。

     訳者は東玲子という人。彼女の訳はけっして悪くないのだが、違和感を覚える部分が散見された。たとえば、「ピープル・ハブ・ザ・パワー」(曲名)を「人民の力」と訳していて、ずっこけた。
     「ニューヨーク・パンクの女王」パティ・スミスが「人民」て(笑)。中国共産党じゃないんだから。

     ……と、いろいろケチをつけてしまったが、パティ・スミスのアルバムを聴きながら眺めると、彼女の音楽の味わいがいっそう深まる本ではある。

     私も、パティ・スミスのCDを引っぱり出して流しながら読んだ。
     彼女の初期4作(『ホーセス』『ラジオ・エチオピア』『イースター』『ウェイヴ』)はいずれ劣らぬ傑作だと、改めて思った。

  • T-Shirtsプレゼントしたい。

  • 写真もたくさん載っていて、パティ・スミスファンにとっては、保存版にしたい!のでは。

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著者プロフィール

1946年生まれ。ニューヨークパンクのシーンでデビュー、「パンクの女王」と称された。2007年ロック殿堂入り。写真家メイプルソープとの関係を描いた初のエッセイ『ジャスト・キッズ』で全米図書賞受賞

「2020年 『Мトレイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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