須賀敦子: 霧のむこうに (KAWADE夢ムック)

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 117
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309975665

感想・レビュー・書評

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  • 須賀敦子は1929年に生まれ、1998年3月20日に69歳で亡くなっている。本書は、須賀敦子を追悼するために、同年の11月に河出書房から発行されたものである。須賀敦子を追悼するために、多くの方が文章を寄せている。また、これまで単行本に未収録であった作品等が収載されている。亡くなってから既に25年以上が経過しているが、まだ須賀敦子のファンは多いと思う。私もその1人だ。
    須賀敦子は、20代の終わりからイタリアに在住、1961年にイタリア人と結婚するも、夫は1967年に急逝。1970年に父親も亡くなり、1971年に本人は帰国。大学の講師から教授までを務める。
    そこから、作家としてデビューする。経緯は、本書に寄せられている、関川夏央の文章を下記に引用したい。
    【引用】
    須賀敦子が作家活動を開始した時期は通例よりはるかに遅かった。日本オリベッティの広報誌に連載をはじめたのは1985年、56歳のときである。それが第一作品集「ミラノ 霧の風景」として刊行されたのは1990年、既に彼女は61歳になっていた。
    【引用おわり】
    1990年に発行された「ミラノ 霧の風景」は、翌1991年に講談社エッセイ賞、および、女流文学賞を受賞する。そこから亡くなる1998年までのほんの短い期間が、彼女の作家としての活動の全てである。
    そのあたりのことを、画家の黒須昇という方が、やはり本書に書かれているので引用したい。
    【引用】
    通常作家とは、若い時から自分の才能を信じ、自分でそうなることを欲し決意し努力しながらそれらしく道を切り開き輪郭とかたちを整えていくのでしょうが、須賀さんは異例です。御自身の人生をへてから、ほかの人に促されて自分の作品を書くようになり、ある日気がついたら、自分が優れた作家であることを知らされたのです。
    【引用おわり】

    月並みなことしか書けないが、もう少し長生きして、多くの作品を残して欲しかった作家である。

  • 私が須賀敦子さんの作品を読み始めたのは一年前なんですが、彼女は1998年の3月彼岸のころに亡くなっています。この本はその年の11月に発刊されました。

    須賀さんにゆかりのあるかたの思い出のお話は面白かった。
    彼女の知らなかった面をたくさん知りました。

    それに彼女の写真は、子どものころのワカメちゃんみたいなのと、20代30代の美しいころ、そして教授&作家として活躍された60代のころのものしか見たことなかったのですが、この本ではイタリアから帰ってから日本で廃品回収ボランティアしていたころの黒縁メガネ&ロングヘアの姿を見ることができます。

    そして何といっても彼女とすこしだけ関わったインテリのみなさんの追悼。
    医学、写真、文学、翻訳、建築、絵画などで第一線で活躍されてる皆さんです。
    この追悼文、ていうか須賀さんをテーマにしたエッセイですね、
    私にとっては、この本を見なければたぶん一生関わらないで終わっていたであろう人たちの書かれたもの。
    面白かったです。やっぱりインテリってすごいと思いました。

    大物芸能人のお葬式に次々有名人がかけつける、その文化人版でした。
    須賀さんへの追悼は同時にそのかたがまれに公にでる場でもあります。
    そういうときには一番美しいじぶんを披露すべきですね。
    坊主で大泣きは言語道断。

  • 外は大風26号の雨と風が少し強く音を立てている。

    須賀敦子作品との出会いは、小川洋子さんの「みんなの図書室」。本物の本読みではない当方だが、何とはなしに読みたくなる人だ。語りの底に独特の哀しさ?可愛らしさ?優しさ?を感じる。

    つい最近になって、こんな雑誌が出されていたことを知って購入。
    (2013/10/16 登録時)

  • 2012/7/24購入

  • 須賀敦子先生の静かな大きさがわかる。心にしみいる。

  • 須賀さんの文章を読むと、ひりひりと痛む心の擦り傷に冷たい湿布を貼ってもらったような気持ちなる。この追悼特集に収録された創作「こうちゃん」は、遠くどこからからかすかに聴こえて来る呼び笛に心の耳を研ぎ澄ませることの大切さを思い起こさせてくれる。

  • 通毒してないけど、コレクション本のつもりなので星4つ(偲ぶ、追悼系のは、企画自体に疑問がなくもないが、まあ、それはおいといて)。福岡ハカセが須賀敦子の文章が好きだというので、試しに読んでみたら、すごいのね。独特の、そこでしか育てることのできない果物を産み出すような、豊穣な文体。少しずつ全集も集めようと思っている。

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