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- Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
- / ISBN・EAN: 9784313752146
感想・レビュー・書評
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約60年前の小説。少し読みづらかった。
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作者あとがきに、「日本の武将の中では、織田信長が一番好きである」とありましたが、何となく納得。
「鞍馬天狗」と「織田信長」、二人の間には一見何も共通点が無いように思われますが、「過去に囚わることなく、目の前の道をひたすらに突き進む」という点ではよく似ているなぁと感じました。
(それ以外は全く対照的な二人ですが……)
上記の二作と、更に他の作品を読んで思ったのですが、もしかすると大佛次郎氏は、何ものにも囚われない生き方というのに一種の憧れを持っていたのでは?
さて本作での織田信長ですが、常に自信に満ち溢れ、ひたすら我が道を突き進み、決して過去を顧みない、更に、生来の潔癖症故に何もかもを消し去らないと気が済まないし、他者を踏み躙っても意に介さないという、実に強烈な人物として描かれています。
でも、どこか切なく憎めない。
それは、ある部分では無邪気だったり、一途だったり、或いは自分の末期をすっぱりと覚悟していたりと、そういった彼のいじらしさが垣間見えた所為かもしれません。
そんな信長の周りには、彼によって苦渋を味わされた人々が居ます。
本作はそういった人々の内面を中心に書かれているので、およそ痛快さはありません。
更に、夫を死なせた徳姫の葛藤や、人妻に恋する信忠の話などに多くの頁が割かれている為、戦国モノの割には艶っぽい物語だったなぁという印象です。
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