伊達政宗 (人物文庫 か 5-3)

  • 学陽書房
3.23
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (704ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784313752214

感想・レビュー・書評

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  • 海音寺さんの本は「天と地と」以来2冊目だが、説明調の文体にもだいぶ慣れた。

    本書は政宗が輝宗から家督を相続してしばらくの若い頃から、関白秀次が切腹させられた余波で秀吉より伊予10万石への転封を言い渡される頃までを書いています。
    関ケ原は書かれてませんね。
    そのせいか突然終わった印象です。

    本書での大きなイベントとしては秀吉の北条攻めに遅れたために死人のような真っ白な衣服で参陣したこと、
    会津に移ってきた蒲生氏郷を一揆勢と結託して殺し領土拡張しようとして失敗したこと、
    秀吉の朝鮮出兵に参加し、関白秀次切腹で謀反を疑われ伊予への転封を言い渡されたこと、です。

    全体を通して政宗という人物は策謀の人として描かれています。
    そのたびに秀吉から罰を受けていますが。
    海音寺さんは「横着者」という表現をしています。

    あとは、腹心の片倉小十郎がよき相談相手として書かれており、読み手にとっては良いスパイスとなっていて良かったですね。

  • 伊達政宗の前半生を描いた作品。政宗が病気によって片目を失い、それが子供の政宗にとって成長を阻む原因となった。子供の心は繊細で曲げられやすい。賢く聡明だった政宗も、外見が醜くなったことから、他人の目をひどく気にするようになり、恥ずかしやがり屋で臆病な性格に育つ。そして、母親は後に生まれた政宗の弟を益々愛し、醜い兄の政宗を疎んじる。しかし政宗の才能を見抜いていた父親は政宗に愛情を注ぎ続け、早々に家督を譲った。偽計による父の死や、母と弟の呪縛を切り抜け、戦国の世を知恵と胆力で奥州覇者として君臨した正宗の人生が始まった。

    独眼竜政宗の前半生が、このように精神的な紆余曲折を乗り越えるものだったとは知らなかった。より親近感を持つことができるようになった。

    粋で派手を意味する伊達ということばも、伊達政宗の振る舞いからきたことも初めて知った。豊臣秀吉の趣向を敏感に察し、派手好きな秀吉の心証をよくするために、自身の振る舞いを派手に大胆にしたのだ。特に政宗が朝鮮へ出兵する際の、京都での行軍の様子が非常に派手で、伊達者=派手好きという言葉が、京の民衆の間で広まった。

  • 打ち切りというか、人生で一番輝いていた部分を切り取った感じ

  • 遅れてきた英雄の一人である東北の覇者伊達政宗について書いた本です。

    この本では、伊達政宗が幼少の時代から、羽柴秀次が切腹となり、政宗が何度目かの改易の危機を乗り越えるところまでを描いています。

    他の本ではいち早く徳川の味方をしたというのもありますが、この本では名護屋城の徳川家と前田家の争いの際に明確になったとしているのが面白いです。

    全般的にこの本では政宗の立場がよくなるような形で書かれている印象を受けました。

    ↓ ブログも書いています。
    http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-1b0e.html

  • 仙台に行くために読んだ本。伊達正宗の前半生の小説。後半どこ行った?? 伊達者感はあまりなかった。知的な人物。



     本当に伊達者というよりは知恵者で、世渡り上手。戦国時代に遅く生まれすぎた男というのは伊達じゃない。

     もし秀吉や家康と同じくらいの年代だったら、東北から戦火が巻きあがったかもな。そうなっていたら…、今の日本は日本じゃなかっただろう。(小並感)


     一番気に入ったのは、実印に針を仕込んでおいて、偽の書状を演出するシーン。自分の人生でいつ使えるかわからない仕込みをしておく所が器の大きさを非常に感じる。

  • ふむ、伊達政宗はこの時代だったか(もっと前かと思っていた)秀吉の天下でも、東北の方はこんな小競り合いが有ったのだな。
    小競り合い中に秀吉から和議の仲裁が入ったり

    伊達政宗、奥羽から会津政略を企てる

    この時代の戦争はたいへんのんきな面がある。百姓や商人が弁当をもって、合戦見物に出掛けたと言う記録がある。

    出羽国と陸奥国の戦国大名・伊達氏の第17代当主、伊達政宗の話。名前は知っていたが、何をしたなど具体的なことは知らなかったので、読んでみる。カッコイイイメージが有ったが、秀吉の元で潰されないように右往左往している感じで、イメージ崩れたな。

    戦国時代、野心も実力もあり領土を広げていきたいが、既に秀吉の世になっており、勝手に動く事が出来ない。葛藤しながらも、伊達家や家臣達をもり立てるため、色々工作するが、結果的には領土縮小になっていく様。

    話はここで終わるが調べてみると徳川の時代の方が活躍しているみたいだね。この頃の話を書いてくれている本はないかな?

    【info】
    1590年 小田原攻め参加
    1591年 蒲生氏郷とともに葛西大崎一揆を平定するが、政宗自身が一揆を煽動していたことが露見する。
    1593年 秀吉の文禄の役に従軍。
    1601年 仙台城、仙台城下町の建設を始め、居城を移す。ここに、伊達政宗を藩祖とする仙台藩が誕生した。石高62万石は加賀・前田氏、薩摩・島津氏に次ぐ全国第3位である。徳川幕府からは松平の名字を与えられる。
    1636年 死去

  • 09.11.29 読了

  • 東北の覇者・伊達政宗の半生を描く。

    史実に基づきながら政宗の感情を作者の解釈で描いていて、
    その豪快さと繊細さが同居する人間・伊達政宗に出会える。

    ただ、すごく中途半端なところで終っちゃってて、少し物足りなさが残ります。

  • 全1巻。

    山岡版の方が好き。

  • 全体的にご飯が美味しそうです。
    特に序盤は、お茶+お漬け物が最強コンビ。
    片倉さんが美味しそうに食べてるシーンを読むとつい食べたくなるほどの魅力が満載です。
    お腹空きます。

    伊達の性格が凄くイイですね。
    悪びれない、ヘコんでも開き直って盛り返す、ぬけぬけ、しゃあしゃあ。
    色んな素敵な形容詞を沢山捧げたいくらいです。
    こういうキャラは好きです。
    罪悪感がまるでないわけでもないところもツボ。
    行動に自信はあるし理屈も通ってるとは思うけど、ちょっと申し訳ない…かな?くらいの。
    全面的に正当化しないし、かといって偽善ぶってる様子もない、良い配分だと思います。
    しかも、時々吹いてしまうような譬えとか意思があって親しみが湧きます。

    地元周辺の内容が中心だと感じました。
    領地拡大、小田原、一揆が中心。
    朝鮮出兵とか秀次の件は大体、関ヶ原は微々たるものです。
    個人的には、関ヶ原のアレコレもこの伊達の視点で読んでみたかったですね。
    凄く楽しそうな気がする。

    更に付け加えるなら、片倉さんがもう少し出て来て欲しかった。

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著者プロフィール

(かいおんじ・ちょうごろう)1901~1977。鹿児島県生まれ。國學院大學卒業後に中学校教諭となるが、1929年に「サンデー毎日」の懸賞小説に応募した「うたかた草紙」が入選、1932年にも「風雲」が入選したことで専業作家となる。1936年「天正女合戦」と「武道伝来記」で直木賞を受賞。戦後は『海と風と虹と』、『天と地と』といった歴史小説と並行して、丹念な史料調査で歴史の真実に迫る史伝の復権にも力を入れ、連作集『武将列伝』、『列藩騒動録』などを発表している。晩年は郷土の英雄の生涯をまとめる大長編史伝『西郷隆盛』に取り組むが、その死で未完となった。

「2021年 『小説集 北条義時』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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