利己的な遺伝子: 増補改題『生物=生存機械論』 (科学選書 9)

  • 紀伊國屋書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (548ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314005562

作品紹介・あらすじ

本書は、動物や人間社会でみられる親子の対立と保護、兄弟の闘い、雄と雌の闘い、攻撃やなわばり行動などの社会行動がなぜ進化したかを説き明かしたものである。著者は、この謎解きに当り、視点を個体から遺伝子に移し、自らのコピーを増やそうとする遺伝子の利己性から、説明を試みる。大胆かつ繊細な筆運びで、ここに利己的遺伝子の理論は完成した。

感想・レビュー・書評

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  • 30年以上前の本だが新しい。

    我々の人体は遺伝子にとってヴィークルなのだと。遺伝子は自らの複製を多く残すことを本能的に考えており、時に他の遺伝子と協力し対立し、生き残りを図る。新型コロナウイルスもそうだったのかと思うと色々複雑な気持ちにもなるが、こういうものの見方を理解しておくと世の中を複眼的にとらえられる。

    福岡伸一さんの「生物と無生物の間」で、秋川雅史さんの「千の風に乗って」の歌詞が引用されていて、人間の細胞は常に入れ替わっており今日の細胞は明日にはないといった記述があった。この本で遺伝子は複製をつくり生き延びていく。強い存在なのだなあと感じたのだが、福岡さんの本の記憶が蘇った。

    なんとかなく執着ばかりする生き方に疑問を持っているので、私を構成する遺伝子はそういうものだととらえると自らの人生をメタ化できる。そう考えるよいきっかけになりました。

  • タイトルの『利己的な遺伝子』から、DNAの二重らせんやATGCの塩基配列、あるいは遺伝子組み換え作物などを思い起こす人はきっといるでしょう。
    この本は、いわゆる分子生物学を扱った本ではありません。
    子育て中の動物の行動や、個体と個体の戦いに見られる動物の行動などを「遺伝子が生き残るために、動物にさせていること」として説明しています。また、説明にとどまらず、「人はなぜいるのか?(第1章)」など、哲学的な要素を含んだ本でもあります。

    読む本を選ぶ際に、誰に対して書かれた本なのか?というのは重要な点ですが、リチャード・ドーキンスは、この本を執筆する際に、3人の読者を想定して書いたそうです。
    1人は動物学を知らない門外漢。
    1人は批判的な意見を持ち出す専門家。
    1人は門外漢から専門家へ移行中の学生。

    つまり、人文学類や比較文化学類所属の一般的に文系と呼ばれる方も、生物学類に入学したばかりの方も、そして、生物学類・生物資源学類の先生方も、興味深い本だと思います。
    (2012ラーニング・アドバイザー/生命 TSUBOYAMA)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1132265&lang=ja&charset=utf8

  • 東大、京大、北大、広大の教師がオススメするベスト100

    未読なんだけれど、解説本や誰かの受け売りで、あたかも読んできたかのような顔をしている。遺伝子を使って生命体はコピーを繰り返しているのではなく、生物は遺伝子の運び手(器)に過ぎない。遺伝子は、「遺伝子にとって」利己的に振る舞う。その結果、一見「生命体にとって」利他的に見える行動は、実はより多くの遺伝子のコピーを残そうとする目的に適うというわけ。

     もっとも身近な生命体=わたしの遺伝子は、わたしのコピーを作るためものではなく、実はわたし自身が遺伝子のコピーを作るためのものに過ぎない、という発想にガツンとやられたことを記憶している。

     ――とはいうものの、聞きかじり/受け売りはやはりマズい。amazonレビューを見る限り、力いっぱい勘違いしている御仁もいらっしゃる。あるいは、わたしが完璧に間違っている可能性もある。いちどキッチリ読むべきだな。

  • どうしてくれるのドーキンス博士。
    読後、しばらく世の中全ての出来事が遺伝子の意思であるような感覚になり、変なやつになってしまった。
    しかし、面白すぎる。中学の時に出会っていたら人生変わっていた。

  • 「それを言っちゃあ、ミもフタもねぇぇ!」
    と叫びたくなるような、面白い本です。

    【内容】
    みんなが知ってる「進化論」、
    でも何の単位で「最適者」は生き残るのだろう?
    生物の種類?群?個体?答えは本の中。

    【良いところ】
    根拠や反証をおろそかにせずにいちいち述べるので、
    「いいよ、そこはなぁなぁで!」ってこともちゃんと書いてある。
    読むのはしんどいが、根拠もなしに持論を述べただけの
    ニセ科学本にうんざりな人には、合う姿勢だと思う。

    【困ったところ】
    読書力が今よりイマイチの時に買って、1章でギブアップ。
    ちょっと訓練しなおして再挑戦したら、面白く読めた。
    専門用語を控えているとはいえ専門書、しかも訳本。
    ある程度の読書力が必要かと思う。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/472116

  • [第5刷]1991年10月5日

  • 【概要】

    生物の個体は、時として、他の個体のために自己犠牲的に ― 本書のことばで言うと「利他的に」― 振る舞うように見られることがある。これはしばしば「群選択 (群淘汰)」の概念で説明されることがある。これは、生物が自分の所属する群・種をより存続しやすくするために利他的な行動を取る、というものである。

    そうではなく、それらの振る舞いは (各個体ではなくて) 個体の中の各遺伝子が「利己的に」ふるまった結果として説明できる、というのが本書の論旨であり、タイトルの由来である。
    この点に関しては同じく生物学者の S. J. グールドと激しい論争があったらしく、「ドーキンス vs. グールド」という本まで書かれている。

    本書は平易な文章で書かれており読みやすい。また、内容は現在では学術的に通説として受け入れられている考え方らしい。ただし、洋書にありがちな回りくどい例えや、いろんな方面に少しずつ攻撃するような書きっぷりもあって、当時はいろいろな批判や論争を呼んだようでもある。

    動物の行動を徹底的にダーウイン進化論の立場から解釈しようとする一冊。進化論に興味のある人はぜひ読んでみることを薦める。

    【詳細】

    今読んでる。後で書く。

  • 科学の道100冊 2020

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著者プロフィール

英国の進化生物学者。世界的ベストセラー『利己的な遺伝子』で知られる。ほかの著書に『盲目の時計職人』『神は妄想である』『遺伝子の川』『進化とは何か』など多数。

「2022年 『これが見納め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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