教育不信と教育依存の時代

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著者 : 広田照幸
  • 紀伊國屋書店 (2005年3月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314009805

教育不信と教育依存の時代の感想・レビュー・書評

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  • 「今の子がおかしいのは、教育のせいだ」「教育をちゃんとすれば、ちゃんとした子供ができる」という考え方を、著者は「教育万能主義」と位置づけて批判する。

    | 教育にできるのは、せいぜい、大多数の子供たち
    |に、深浅まちまちな影響を与えること、までであ
    |る。しかも、その影響力を強化しようとすると、コ
    |ストやリスクがつきまとうものだ。

     という著者の主張は当然といえるだろう。たとえば一般社会では、リスクやコストは当然計算の中に入れておくべき事柄だ。ところが、こと教育に限っては「理想」ばかりが追求されがちである。「地域に根ざした教育を」とか「児童一人ひとりの心に気を配り」とか言われてもさー、先生1人で40人の生徒を受け持ってるんだからそんなんかんたんにできるかっつーの。そのうえ「教師にも評価を」とか言われて、上に報告する書類仕事ばかり増やしやがる。「理想」さえ唱えればうまくいくなんて、仕事で考えているやつがいたらけっとばしてやりたいところだが、教育言説ではそういう気味の悪い連中がうようよといるんだよなぁ。

     学級崩壊、学力低下、少年犯罪、教師の質の低下……「教育の荒廃」が叫ばれてひさしい。教育をこのままにしておいては、日本の将来が危ない! 教育を改革しなくては! と右も左もかまびすしい。
     しかし、本当に今の教育はダメなのか? 見直しや改革がそんなに早急に必要なのか? 著者は「青少年はそれなりにうまく育っている」と、具体的なデータを出しながら異を唱える。60年代のほうが今の子たちよりはるかにワルだった。さらにそんな連中が今中年になって「とんでもない社会人」になっているかというと、けっこうまともに生きているではないか。「荒れている」と言われても、90%以上が高校に進学する世の中である。多少は大変なやつだっているにちがいない。「『底辺校』こそ問題をかかえたハイティーン世代にとりあえず帰属する場所を与え、社会全体のリスクを減らしているのだ」と言われると、たしかに「教育」や「学校」だけに責任を押しつけるのは無謀だよなぁ、と思えてくる。

     もっとマクロな視点でみよう。教育には「作用」もあれば「反作用」もあるものだ。「ともかく教育を変えないと」と早急に白紙委任状を発行する前に、「教育」にできることとできないことを考えよう。前のめりになりがちな「教育論」の前に、立ち位置を確認するための好著。

  • 実際、若者の世界の秩序はそんなに崩壊してませんよ、と言う話。
    犯罪率も高くないし、偏向報道の影響も大きい。
    まあ、学力低下だけは絶対的な事実。

    講演のまとめなので、内容が重複します。取り敢えずは80ページまでが要旨

  • (「MARC」データベースより)
    メディアが垂れ流す教育の「危機」「荒廃」イメージに踊らされてはいけない。「危機」を煽る言説に振り回されずに「リアルで等身大の教育像」から出発し、慎重で知的な議論を尽くしてこれからの方向をさぐっていく。

  • 教育超初学者が教育について読んでみた。
    とてもわかりやすい。
    しかし何より著者の考え方が鋭い。
    考えをまとめてもらった感じがした。

    頭がよくかつ物事を的確に捉えていることに
    感動した。

  • 分類=教育論・広田照幸。05年3月。

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