利己的な遺伝子 <増補新装版>

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制作 : 日高 敏隆  岸 由二  羽田 節子  垂水 雄二 
  • 紀伊國屋書店 (2006年5月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314010030

利己的な遺伝子 <増補新装版>の感想・レビュー・書評

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  • 一、全体として何に関する本か
     「利己的遺伝子」はネオダーウィニズムと言われるダーウィンの主の起源を深化さたものである。ダーウィニズムでは、自然淘汰の単位を「種」としているが、利己的遺伝子では自然淘汰の単位を「遺伝子」としている。進化は、種が生き残るためではなく、遺伝子が生き残るために行われるものだという衝撃的な内容で、世界的に注目されている説である。


    二、何がどのように詳しく述べられているか
     我々は、遺伝子を保存するための生存機械である。これが、利己的遺伝子の最も重要な結論である。人はなぜ生きているのか?その答えは「遺伝子を保存するため」である。進化論というと、種が生き残ることだと多くの人は考えているが、著者は遺伝子が生き残るために自然淘汰が起こるという新しい結論を出した。しかも、遺伝子は利己的である。自分の生存しか考えていない。動物が利他的な行動を示すのは、遺伝子の利己性のためである。それは「群淘汰」という原理で説明されている。各個体が集団の幸福のために犠牲を払うようにできている種の方が、自分自身の利己的利益をまず第一に追求している集団より、結果として絶滅の危機が少なくなる。動物が利他性を示すのは、遺伝子を保存するためである。
     例えば、人は家族を守るためなら自分の危険をも犯す。親が子を命がけで守るのは、子が自分の遺伝子の半分のコピーを持つからである。兄弟間でも利他性が現れるのは、兄弟も遺伝子的には自分と同じ遺伝子を半分持っており、それを守ることが遺伝子の保存になるからである。親戚、親戚の親戚…と自分からの血縁が遠のくほど、自分と同じ遺伝子のコピーが少なくなるので、他人よりも近親者に対して自己犠牲が強く働くのだ。動物は利他的行動を取るように見えるが、実は自分と同じ遺伝子の保存という利己的遺伝子の本能が働いているだけである。
     また、遺伝子はなぜ動物というロボット(容器)を造ったかであるが、これは単純にバクテリアのような単純細胞が生存できる場所が一杯になったため、動物という新たな形で生存するようになっただけである。実際、バクテリアの数に比べれば動物の数はごく僅かであり、動物が世界を支配しているのではなく圧倒的にバクテリアの方が支配的である。遺伝子の保存という点では、動物はバクテリアに全く及ばない。


    三、その本は全体として真実か、どんな意義があるのか
     著者は、この本を「サイエンスフィクション」として読んでほしいと冒頭に書いてある。この本では、数学など科学的なことはほとんど出てこず、筆者の考えだけを述べたものであり証拠はない。よって、半信半疑の域を出ることはできないのだが、内容は間違いなく面白い。
     筆者が自ら述べている通り、利己的遺伝子は非常に恐ろしい話で誰もその事実を認めたくはないが、この仮説で全ての「生」が説明できるのである。


    四、一番面白かったのはどこか、なぜ自分は面白かったのか
     自然淘汰がなぜ起こるのか。それは偶然なのか、必然なのか。そして、人はなぜ生きるのか。そういった永遠のテーマを新しい視点から考察しており、本書を読み終えると著者の考えに少し共感できるようになるのが不思議である。

  • 生物一般に対する常識を覆したに留まらず、『攻殻機動隊』や『虐殺器官』にまで影響を及ぼしている現代の進化論入門書にして20世紀の最重要古典。中心となるのは「生物は遺伝子の乗り物である」という巧みな比喩が印象的な、遺伝子を中心に置いたダーウィンの進化論の捉え直しと、遺伝子の様に文化を自己複製物として考える「ミーム」という概念。そう、コンピュータの世界が0と1で作られている様に、所詮僕らもATGCの4つの塩基で作られたDNAの産物。ページを捲る度に世界観が更新されていくかの様な、あまりにも鮮烈な読書体験だった。

  • 生命体の繁栄のために遺伝子を使うのではなく、遺伝子の繁栄のために遺伝子が生命体をつかう。自分のこれまでの生命観とは180度違う内容のため衝撃が大きかったが、すんなり吸収できたのはやはり、まず地球上に発生した自己複製子からすべて始まったからかもしれない。また、個体群の数が増えてくると、交配数を減らし、子を作らずあたかも長期的に繁栄するように、淘汰されない程度に調整する遺伝プログラムがあるようであるというのは、人間においても当てはまるのではないかと思う。90億人時代に突入すると言われている中で、先進国では晩婚化が進むというのは、そういうことではないのだろうか。また、食糧危機の回避のための農業新技術がさらなる人口増につながり、解決にならないというのは、まったくの盲点であり、食糧問題は本当に難しいと感じた。この本は、生物学に無知な人、初学者、専門家向けに書かれている。まず、無知者として生命観はまるで変わった。次は、なぜ人類だけが、先見性という能力と文化を身につけたのか?遺伝子への反抗なのか、それともその先に遺伝子の狙いがあるのか、などなど疑問が次々と生じる。初学者としてもう1度注意深く読み理解を深め、次へ進むべきなのかもしれない。それでなくとも、ゲーム理論の気のいいやつが1番になるということも参考になるし、単純に考える幅、視野が広がった。自らの思考プロセスに衝撃を与えるには十分すぎる内容だった。

  • 生物は、遺伝子を繋ぐ生存機械であり、ヴィークルである。
    それぞれの遺伝子が未来(子孫)に残るよう、自らを最適化している。
    また、ミームという文化における遺伝子のようなものも提唱している。

    歴史的名著なだけあって、ものすごいボリュームだった。
    様々な仮定に対し、例を逐一挙げて丁寧に説明している。

  • 原著の初版が1976年に出版されたとき、読者から非難めいた反応があったことは、『虹の解体』の序文に書いてあった。その部分は、この本の「三〇周年記念版への序文」に引用されている。自己複製子である遺伝子の立場からすると、異種の生物間はもちろん、同種の個体間にも、親子兄弟夫婦間にすら、利害の対立があるという説明は、確かに衝撃的で、不快に思う人もいたのだろう。その背景には、「利己的」を道徳的な意味に誤解したことがあったのかもしれない。しかし、著者も繰り返し述べているように、遺伝子が「利己的」というのは、遺伝子が意図的に個体を操るという意味ではなく、自己複製能力に長けた遺伝子が生き残るという説明を分かりやすくするための単なる擬人化にすぎない。遺伝子が利己的だとしても、利他的な行動は進化可能だし、著者はむしろ、ヒトという種が、利己的な遺伝子を出し抜くことができるところまで進化したことを強調しているように思える。という感想を抱くのは、既に利己的な遺伝子についての説明を見聞きしてきたせいか。利己的な遺伝子という考えを知ったのは、竹内久美子の『そんなバカな!』を読んだときだが、今思うと危うい出会いだったかも。「一九七六年版のまえがき」の「この本はほぼサイエンス・フィクションのように読んでもらいたい。イマジネーションに訴えるように書かれているからである。」という一節を読むと、ちょっとうれしい。第4章「遺伝子機械」では、遺伝子が生存機械の行動を間接的に制御する理由を説明するのに、フレッド・ホイルとジョン・エリオットの「心ときめく物語」、すなわち『アンドロメダのA』が引用されている(74~75ページ)。『アンドロメダのA』は読んだことがないので、こちらはなんだか悔しい。巻末の補注4-2によれば、フレッド・ホイルの『暗黒星雲』は、「あらゆる空想科学小説のなかでもとくに私のお気に入り」だそうだ。それで『暗黒星雲』の一節が『虹の解体』に引用されていたのかと納得したが、フレッド・ホイルは強硬な反進化論者だったはずだから、ちょっと皮肉な話だ。『アンドロメダのA』と『暗黒星雲』は、いつか読んでみよう。以下は、第12章「気のいい奴が一番になる」からの引用(352~353ページ)。「報復能力の誇示は、「われも生きる、他も生かせ」方式の特筆すべき特徴である。両陣営からの銃撃は、敵の兵士に向けてではなく、敵兵のすぐ近くの動かない標的に向けられたもので、それによって彼らのおそるべき射撃の手並みを誇示するのである。このテクニックは西部劇映画でも用いられる(蝋燭の炎を撃って消すといった)。なぜ、最初の二個の実戦用原子爆弾が、鮮やかな手並みで蝋燭を撃ち消すのに匹敵するものとしては使用されず、二つの都市(広島と長崎)を破壊するために使用されたかについて、今までのところ満足のいく解答はなされていないように思われる(その開発に責任をもつ指導的な物理学者たちが強く反対したにもかかわらず)。」『祖先の物語』、『虹の解体』の参考文献。

  • 難解すぎる……。。。
    生物学、遺伝科学、という分野では、かなり有名な本著。
    購入したはいいが、なかなか読めなかったやつだけど、
    猫町読書会での課題図書として指定されていたのを
    たまたま見つけたため、いい機会だと思って、読みました。
    遺伝子に意志がある???根拠や理屈は不透明な部分があるけれど、そのような視点を持ってでしか説明できる部分が多々あるのは興味深かった。
    そういった視点を取り入れるのは必要だと思った。

  • 人間を含む生物のふるまいについて、自己複製子(レプリケーター)としての遺伝子の特性によるものとして考えると、整合性のある説明が成り立ち面白かった。
    特に読んでいて面白かったのは、7章家族計画、8章世代間の争い、9章雄と雌の争い。一方、ミームの概念や13章は難しかった。それでも、全体的には読んでワクワクが楽しめる楽しい読書体験でした。
    一つ疑問なのは、こういった分野の科学は、仮説を立てて観察される事象が上手く説明された場合、仮説が正しい可能性はあると思うのですが、それは何をもって「確実に」正しいとなるのだろうか?

  • 大学新入生に薦める101冊の本 新版 (岩波書店/2009) で気になった本。

  • 生物は(意図的ではないが)遺伝子の利己性によってできた生存機械であり,この本はあくまでそれを無機質に述べていってる.
    いやぁおもしろかったけど難しかったです.
    たぶん理解度5割かな...それ以下か?とりあえず後半から徐々に内容の抽象化とわかりづらい表現が増えます.あと同じこと繰り返してることがあったな

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「なぜ世の中から争いがなくならないのか」「なぜ男は浮気をするのか」-本書は、動物や人間社会でみられる親子の対立と保護、雌雄の争い、攻撃やなわばり行動などが、なぜ進化したかを説き明かす。この謎解きに当り、著者は、視点を個体から遺伝子に移し、自らのコピーを増やそうとする遺伝子の利己性から快刀乱麻、明快な解答を与える。初刷30年目を記念し、ドーキンス自身による序文などを追加した版の全訳。

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