- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784314010528
作品紹介・あらすじ
東京大空襲・GHQ・東京裁判・サークル詩・朝鮮戦争…封印された記憶を言語化する。ようやく語られ始めた戦後史がある。
感想・レビュー・書評
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内容の主なものを拾うと以下のとおり。
抑圧された東京大空襲の記憶=早乙女勝元
<復員兵>と<未亡人>のいる風景=加納実紀代
憲法・GHQ・教育基本法=小森陽一
戦後日本革命の挫折=岩崎稔
サンフランシスコ講和条約と東アジア=内海愛子
米軍占領下沖縄における植民地状況=屋嘉比収
朝鮮戦争・女性・平和運動=藤目ゆき
サークル詩・記録・アヴァンギャルド=鳥羽耕史
アメリカ・占領・ホームドラマ=吉見俊哉
「平凡」とその時代=成田龍一
◎インタビュー/井上ひさし/金石範/無着成恭
◎ 年表/1940(昭和15)年より1960(昭和35)年まで、40ページ。
政治・経済,社会運動,生活・思想・文化の各欄。
40年代終わりから,50年代はいわば青春前期だった自身と重ね合わせて,懐かしく読めた。また時代背景についても、改めて感じることもあった。
特に日本の敗戦は45年8月15日だとしてよいのかと云う議論(例えば「八月十五日の神話」佐藤卓巳(ちくま新書))の整理により、この著作も40年から始められていること、既に戦中からアメリカは日本の占領と天皇をどう利用すべきかと検討していたこと等、戦中戦後の断絶より連続という取り上げ方が広まっていることが述べられている。
そしてこの疾風怒濤の時代は国民にとって貴重なものだったが、支配階級は没落する栄光を辛くも保ちつつ、アメリカ占領軍と組むことによって次の一手を抜かり無く準備していたのだ。あるいは、アメリカ側がその仕組みを戦中から計画していたのかも知れない。
そういうことで戦後日本のスタートがあり、従属国としてのカラーが鮮やかに刷り込まれ,それは現代にも牢固とした枠組みとして受け継がれているということだろう。
これらの諸研究をもとに、更に多くのスタディーズが出て来ることを期待したい。