社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学
- 紀伊國屋書店 (2014年4月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (616ページ)
- / ISBN・EAN: 9784314011174
感想・レビュー・書評
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田舎在住ですが、最近都市からUターンで戻ってきた年配の方が、地域の祭りや習慣を否定する発言を繰り返し、コミュニティが混乱しているところです。
家族以外の集団が価値観を共有するための仕組みとして機能してきたものが否定されていくと、その先には繋がりの崩壊もあるのかもしれません。
個人的にはリベラルな考えをもっていると自覚していますが、道徳的な価値について考えるよい機会になりました。
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「幸せ仮説」が、すごく面白かったジョナサン・ハイトの2冊目。(多分。。。少なくとも翻訳は2冊目)
前回は、幸福系の話題だったので、いわゆるポジティブ心理学的な人かな、と思ったのだが、道徳心理学がメインのよう。あと、進化心理学みたいなところにいて、ポジティブ心理学とは関係あるものの、やや関心の向きは違いそうですね。
本書は、そういうハイトの専門領域である「道徳」に関するところで、かつ政治的な意見がどうして対立して、そこをなかなか乗り越えることができないのか、心理学的な構造を解明する。
そんなに難しい内容ではないし、面白いのではあるが、なかなか読み進まず、読んでは止めを繰り返して、1年以上、読了にはかかってしまったかな?
なので、正確な内容はあまり頭に入っていないのだが、リベラルな多元主義的な人が、保守的な人が大切にしている価値を理解していない、という構図はとてもよくわかったし、自分的にも痛いところだなと思った。
先日読んだ、ウィルバーの「万物の理論」でしつこく書いてあった多元論の問題性と繋がって、納得の度合いがたかまっった。 -
リベラル、左派的な見解かなぜ日本人に嫌われるのか知りたくて読んだ。道徳心理学で一定程度分析できるけど、これだけでは足りないように思う。アメリカの大衆についての研究だからかもしれないが、日本の左派には独特のエリート主義、大衆蔑視、客観性の欠如があると思う。参考にはなったが、すごく役に立ったわけではない。
他方で、人間の政治的な選択か直感の先行するものであることなど、今後の自分の活動に有効な分析も多かった。
これを生かして、自分なりのやり方を見つけたい。 -
とても面白かった。我々は感情を理性で正当化するし、それを前提に政治的党派性を見ればリベラル勢力は保守勢力よりも感情に訴える基盤に偏りがあり支持を広げられないとするのも理解できる気がした。
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「まず直観、そのあと合理的説明」といった道徳心理学の話で有名なジョナサン・ハイト。
そんな道徳心理学者が6つの道徳基盤に関する一連の研究を踏まえた上で、保守主義とリベラルの特徴解明に迫る。
道徳性の視点から、政治や宗教の在り方を考えるのは斬新で面白く、私のこころの扉を少し開けてくれたように思う。 -
波頭亮さんが大絶賛していたので読んでみた。
未だに整理できていないのが左とは右とは何ぞやという事。自分の中で右は英訳でrightounesであるように唯我独尊というイメージ。ただ経済では保守だったり政治だと革新にいく人もあるので単純にあの人は右だとか左だとか言っても意味がない気がした。
正義は人それぞれの道徳に基づいている筈で筆者の分析によるとそれを「ケア/危害」「公正/欺瞞」「忠誠/背信」「権威/転覆」「神聖/堕落」の6種類に分類されるという。それは育った環境・教育・文化・脳内ホルモンの完治状態によって人それぞれ変わるものなのだ。
いわゆるリベラルの人は前者2つだが、保守の人は全てをバランスよく重視する。保守の人は軸が多く向社会性だが反対に権威主義や全体主義、軸が多すぎてまとまりがつかない感じになるのだろう。リベラルの人は軸が少ない分最適化で物を考える人が多い気がする。いわゆる成功者はリベラルの人が多いんで、それに影響されて社会に出ると保守の人が多い事、多い事。
ただ上記の「忠誠」「権威」「神聖」も確かに社会の秩序を保つのにはある一定の役割をしているのでリベラルの人も保守の人を完全に存在を否定すべきではないという事。多分左も右もうまくバランスが取れているのが良いんだろうなと思う。あと右とか左とかはいつもどっちがどっちかわからなくなる、この辺はまた勉強したいと思った。 -
道徳心理学の本。
右左については、ケア/危害、公正/欺瞞、忠誠/背信、権威/転覆、神聖/堕落の五項目の道徳の基盤に依存している。
そして、政治、宗教の対立は、「私たちのこころは、自集団に資する正義を志向するように設計されているから」である。
と説く。