1493――世界を変えた大陸間の「交換」

  • 紀伊國屋書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (811ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314011358

作品紹介・あらすじ

世界の今の姿は、過去に生きた人間たちの欲望がぶつかりあって形づくられた帰結だ。
コロンブスのアメリカ大陸到達後、銀、病原菌、タバコ、じゃがいも、ミミズ、ゴムノキ、そして人間が世界を行き交いはじめ、グローバル化が本格的に進行していった。

今となっては非難の的となっているコロンブスではあるが、いわゆる「コロンブス交換」が果たした功績は大きい。
農業革命も産業革命も、ひいては西洋優位の世界も、コロンブスがいなければ、今とは異なる経路をたどったに違いない。

スペインやイングランドからの入植者、アメリカ大陸の先住民、アフリカから奴隷として連れてこられた人々、中国から海を渡った人々――彼らは変わりゆく世界で、いったい何を夢見たのか?

前作『1491――先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見』(NHK出版)で、「アメリカ大陸史の定説を変えた」「歴史の教科書を書き直すべきだ」と各紙誌に絶賛され、一躍脚光を浴びた敏腕ジャーナリスト、チャールズ・C. マンが再び筆を執った。
厖大な文献と綿密な現地取材をもとに、激動の世界をいきいきと描き出した圧巻のノンフィクション。

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★タイム誌2011年度ベスト・ノンフィクション部門第1位★

「本書は、我々の住む世界がいかに成り立っていったかを説明するにあたり、大陸を越え、世紀も超える数々の事実をうまく組み合わせて語る模範例だ」(ワシントンポスト紙)

「どんな賢人でもこの本には驚かされるはずだ。前作『1491』に引き続き、読者の世界を見る目は変わるだろう」(サンフランシスコ・クロニクル紙)

ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、パブリッシャーズ・ウィークリー、ファイナンシャル・タイムズ、ニューヨーカー、サイエンスなど各紙誌でも絶賛!

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感想・レビュー・書評

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  • コロンブスによるアメリカ大陸の発見後、世界規模で何がおこったのかについて、最近の研究成果を中心に紹介した本である。
    アメリカ大陸から、トマト、じゃがいも、トウモロコシ、チョコレート、タバコなどの作物が世界中に拡がったことは有名だが、事態はそんなレベルものではなかった。
    人類の歴史について深く考えさせられる。なぜ黒人は奴隷にならされたのか、なぜアメリカ大陸に白人ばかりすんでいるのか。
     どの章も読みやすく、驚きに満ちていた。読み終わって呆然とした。この本とペアの1491もおすすめです。
    ほぼ全ての人に読んでほしい。サピエンス全史より断然こっちを勧める。

  • 人が動けばそれにくっついてきた病原菌や文化が現地の生命や生態系を壊し、新しい発展をもたらす。グローバル化って怖いんだなって思った。

  • この本は、科学でもあり、歴史でもあり、非常にエキサイティングで面白い。

    1492年にコロンブスが大西洋を越えてから、世界にどういう変化が起こり、現在に至っているのかという壮大な物語を、大陸間の生態系が出会った「コロンブス交換」という観点から解き明かしていく。歴史で習った様々な人間の所業も、病原菌や昆虫、動植物たちの大陸を超えた大移動と、見えないところで密接に関わっている(というより、その上に成り立っている)ということに新鮮な驚きを覚える。

    以前に読んだ『銃・病原菌・鉄』もそうだったが、家畜の普及や病原菌の伝播ということが人類の歴史に非常に大きな影響を与えている。「生物多様性の維持」ということについても、改めて考えさせられる。

    新しい発見や、新しい検証技術の進歩により、歴史観はどんどん刷新されていく。
    そこが面白い。

  • 今まで何となく興味があって病原菌や人類学、土壌資源やグローバル経済の本を読んできたが、それぞれの本で聞きかじった知識が本書で結びつき、「世界の在り方」を説明する力になったのを感じた。読書の醍醐味を味わえる一冊。

    旧大陸から新大陸に持ち込まれた病原体により、免疫のなかった先住民が大打撃を受け、スペイン人による侵略が容易になったことは知っていたが、牛や豚、ミミズやミツバチによる生態系への影響や、開拓による蚊の繁殖とそれにともなうマラリアの蔓延、マラリアによる軍隊への影響(病気で命を落とさなくとも高熱による消耗で「戦力」にはならなくなる)は知らなかった。

    アジアやアフリカの植民地は第二次大戦後に独立したのに、南米の植民地は第一次大戦前に独立していたことを疑問に思っていたが、労働力としてアフリカから南米に連れてこられた「奴隷」は、それまでイメージしていた「抵抗の意思を失い、慈悲深い主人の恩寵にすがるだけの無力な民」ばかりではなく、アフリカでの出自は王族や軍人だったが「たまたま」戦争に敗北して奴隷として売られた人々もいて、彼ら(彼女ら)が、脱走し、ジャングルに根拠地を作り、逃亡奴隷を匿って勢力を増強し、植民地の補給路を脅かす戦術で食料と交換に武器を入手して抵抗することで、少なくとも一部の地域では「自力で」独立を勝ち得ていたことを知り、納得がいった。

    グローバルな経済とは、突き詰めれば「自分たちが住んでいない地域の産物」を交換することであり、その結果世界は「均質新生」という、どこでも同じような風景(生態系)に変わっていく。

    インディオやアイルランドやフィリピンの先住民が、「自分たちの風景」を維持してきた農法は、グローバル経済の競争原理に従い、有利な換金作物栽培に置き換えられていく。
    「グローバル経済」は環境や伝統を保護する(本来の)政府機能とは相容れることなく、貪欲に目先の利益に従って利益を分配し、環境破壊という負債を現地「だけ」に負わせ、後には不毛の土地が残される。

    エントロピー増大による熱的平衡と同様、経済のグローバル化が「必然」であれば、遠からず人類は滅ぶのだろう。

  • 奴隷にしたインディアンも白人もマラリアでバタバタ死んだ、奴隷買入れよりはロンドンの失業者を雇入れするほうが安くついたが、幸か不幸か、アフリカ黒人はマラリアに耐性があった。彼らが合衆国を作った。タバコと砂糖製造で繁栄⑨可哀想なアメリカインディアンや黒人奴隷といったイメージを裏切って、両者が協力して合衆国と戦いプランテーション破壊し熱病蔓延を待つ戦術で勝利した例/アマゾン流域で、奴隷の子孫の共同体との地権争いは今も続く。二百年続き独自の文化を形成した村落は戸籍がなく盗電しかなかったが今や法的地位と電話を持った

  • 今読み返すと、良くも悪くも感染症が世界史の欠くべからざる1ピースだったことが実感される。

  • 植物,病原菌などの情報はなるほどと思いながらも他の本で読んだこともあったが,奴隷達がただ気の毒な存在だと思っていたのが,中南米では意外と自由を求めて戦い,コロニーを作っていのは驚きだった.また中国の明清帝国の崩壊がサツマイモやトウモロコシにも原因があるとの論説にも目を見張る思いだ.また,一人一人にスポットライトを当てた展開は物語を読んでいるようで,とても面白かった.とにかく読み応えのある,グローバルということを本当の意味で考えさせられる本でした.

  • タイトルにある1943は、コロンブスが米大陸を「発見」した1492年の翌年であり、これを境に世界が大きく変わったことを象徴する数字。この「発見」を機に、ヨーロッパと北・南アメリカ、アフリカ、アジアの間で様々なもの(植物、動物、病原菌、奴隷、文化、発明品など)が交換される(いわゆるコロンブス交換)ようになり、世界は均一化していく。類似の書籍として「サピエンス全史」とか「銃・病原菌・鉄」などがあるが、本書の特徴は、ヨーロッパが起点になっていること、コロンブス交換が奴隷制や米国の独立戦争、人種差別の意識の起点になっていることを解説する。世界の成り立ちを理解する上でとても参考になる一冊。

  • 歴史

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著者プロフィール

【著者】チャールズ・C. マン
ジャーナリスト、サイエンスライター、「アトランティック」誌、「サイエンス」誌の通信記者。ナショナル・マガジン・アワードの候補に3 度ノミネートされたほか、米国物理学協会、アルフレッド・P. スローン財団などの機関から数々の賞を受賞歴している。『1491――先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見』(NHK出版)は全米の話題をさらい、米国科学アカデミー・コミュニケーション賞を受賞。続編『1493――世界を変えた大陸間の「交換」』(紀伊國屋書店)も全米ベストセラーとなり、「タイム」誌の2011年度ベスト・ノンフィクション部門で第1位を獲得した。ほかに邦訳された著書(いずれも共著)に、『素粒子物理学をつくった人々』(ハヤカワ文庫NF)、『アスピリン企業戦争――薬の王様100年の軌跡』(ダイヤモンド社)がある。

「2022年 『魔術師と予言者――2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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