セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるか

  • 119人登録
  • 4.14評価
    • (6)
    • (4)
    • (4)
    • (0)
    • (0)
  • 11レビュー
制作 : 高橋 洋 
  • 紀伊國屋書店 (2017年6月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314011471

セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるかの感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • やや冗長かつ、前振りが長くて読みにくかった。タイトルと中身が合っていないのが、最大の難点。

  • 「生物多様性」がわからない。どの本も「生物多様性は善である」が前提で話が始まる。なぜ「生物多様性が善なのか」を知りたいのに。そのためぼくは外来魚が殺される理由がわからない。パンダは保護されるのに、絶滅に瀕しているみのむしが無視されるのはなぜだろう。ゴキブリを殺すなという主張を聞いたことがない。

    読みはじめてすぐに、あ、これはアタリかも、と思った。話はいったんセレンゲティから離れて、生物学、医学の分野に。生命にとってバランスと調整の機能がいかに大切かを解く。癌も調整の病だという。わかりやすく、読みやすい。翻訳書にありがちなもったいぶったところも、回りくどいところもない。説得力は半端ない。

    で、満を持して、自然界でもバランスと調整が大事、という議論が展開される。それがセレンゲティルール。生態系のバランスが崩れたことで起きるトラブルもいくつか紹介される。が、ここには飛躍があると思う。生命体のバランスと、自然界のバランスはイコールではない。生命体はバランスを崩すと死んでしまう。死んでしまう=NGに決まっているが、自然界にとってのNGとは何なのだろう? ブラックバスが増えて、在来魚が減るのはNG? それは単にブラックバスの側に立つか、在来魚の味方をするかの違いでは? オランウータンの立場からすれば、人間はもう少し減らしたほうがいいのでは? だとしたら人間の駆除は良いことなのか?

    イエローストーンでは一度絶滅したオオカミを再導入したそうだ。その結果は本書に紹介されているが、家畜を襲うからと駆除されたオオカミが戻ってくることでデメリットだって当然あったはずだ。そこが簡単にスルーされているのがどうもモヤモヤする。

    で、結局モヤモヤが完全に晴れることはないのだった。

  • 読了。サバンナにおける食物連鎖から細胞の中のアミノ酸まで、自然界は抑制の抑制による調整で成り立っているという話。といっても難しい話ではなく、主に調査や実験のエピソードで構成されており、興味深く読んでるうちにスッと読み終わってしまった。二十世紀初頭の歴史的なエピソードから始まるが、最後は十数年前に始まって現在も継続中のプロジェクトまで扱っており、リアルタイムで起きていることだということに感銘を受けた。あと、装丁が全然凝ってなくて力が入ってないのがよかった。

  • 生命はいたるところでこの原則に従っている。
    実感としてすごくよくわかる。

  • 遠藤あきら?さんほ誇りに思う。

  • 生命、生態系の調節機構に関して、読みやすく解説している。

    サバンナにおける動物個体数の増減がいかに調節されているのか、このことを、生命現象における酵素の調節と照合し、展開していく論が興味深い。

    全体に、難解な記述は無く、平易な表現が多い。図表、写真の挿入も豊富で、あっという間に読み進んでしまった。

    展開も妙である。生理学者の従軍記録に始まり、国立公園における生態系の回復過程につなげていく、道筋に魅了された。

    何かの新聞の書評で見つけ、すぐに書店で求めた。読めて良かったと心から言える良著である。

  • 生物学者ショーン・B.キャロル氏の著書。自然界の個体調節機能が、生物の体の中でも起こっているというお話し。

    自然界では食物連鎖の頂点に立つ捕食者が、生態系全体の個体数を調整しているらしい。ある科学者が岩場からヒトデを取り除くという大胆な実験を行ったところ、ヒトデが餌にしていた貝が大繁殖し、周辺の海藻をすべて食い荒らしてしまったそうだ。ちなみにこのエピソードは『捕食者なき世界』でも紹介されている。

    実は非常に似たような調整機能が人間の体内でも行われており、血糖値や血圧のバランスを上手に保っていたのだ。このメカニズムの解明に尽力した人々のおかげで、今では病気となる因子に直接働きかける治療が可能となり、人間は自然の調節機能から逃れる唯一の「完全な生物」となりつつある。
    しかしこの調整機能を克服した結果、ここ数百年間で人口は爆発的に増えてしまった。もし今のペースで増え続けるならば、きっと地球は海藻を食い尽くされた岩場のような世界となってしまう事だろう。

    人類はその知恵をフルに活用して、大規模な伝染病を絶滅したり野生動物を守ってきた訳だが、人口爆発というパンデミックをセルフコントロールできるのだろうか。今晩のディナーにしか関心がない、タイタニック号の乗客のようにならないためにも、もっと自分たちの針路に注意を払うべきなのかもしれない、自然が大胆な調節を行う前に。

  • 体内のホルモンやpHといったミクロの調節、そして、生態系における各種生物種の生息数といったマクロの調節。これらが幾つかの似たようなルールに基づいているという内容。これを示すために、生物学と生態学の様々なエピソードが盛り込まれていて、それぞれが中々に面白い。

  • 生態系がどのように自律的に調節されているかを明らかにした本.

    前半では,体の調節のメカニズムを取り上げて,病気が体の調節がうまくいかなかったことから生じること,病気を治すにはその調整のメカニズムに働きかければよいということが説明されています.

    後半では,こうした調節のメカニズムは,実は生態系にも見られることをアメリカのイエローストーン国立公園や,タンザニアのセレンゲティ国立公園を例に示していきます.タイトルは,自律的な調節のルールに,このセレンゲティ国立公園の名前をつけているんですね.

    調節のメカニズムを,誰がどのように明らかにしたのかというエピソードをもとに説明していくので,小説のようで読み応えがあります.

    最後はモザンビークのゴンゴローザ国立公園の再生のエピソードで終わりますが,生態系の自律的な調節を維持する責任が人間にあることを痛感させれられます.

    イエローストーンにオオカミを導入するエピソードも出てきますが,この本の文脈で考えると,日本にもニホンジカ対策にオオカミを導入するというのもあり,だと思いました.

  • 請求記号 468/C 22

全11件中 1 - 10件を表示

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
スティーヴン ワ...
リチャード・ドー...
有効な右矢印 無効な右矢印

セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるかはこんな本です

セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるかを本棚に「読みたい」で登録しているひと

セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるかを本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるかを本棚に「積読」で登録しているひと

セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるかの作品紹介

分子から人間、ヌーの群れから生態系まで――すべては調節されている。

「生体を維持するべく体内で様々な種類の分子や細胞の数を調節する分子レベルのルールが存在するのと同様に、一定の区域における動植物の種や個体数を調節するルールがある」

本書で著者は、生命の《恒常性(ホメオスタシス)》という概念を提唱したウォルター・キャノンや、《食物連鎖》の仕組みを示して《生態学(エコロジー)》の礎を築いたチャールズ・エルトン、分子レベルの調節の原理を解き明かしたジャック・モノーほか、生物学・医学における数々の偉大な発見に至った過程を活写。生体内における分子レベルの《調節》と生態系レベルで動物の個体数が《調節》される様相とのあいだに見出した共通の法則と、蝕まれた生態系の回復に成功した実例を、卓越したストーリーテラーの才を発揮していきいきと綴っている。

E. O. ウィルソン、ニール・シュービン、シッダールタ・ムカジーら絶賛!

ツイートする