動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか

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制作 : 松沢哲郎  柴田裕之 
  • 紀伊國屋書店 (2017年8月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314011495

動物の賢さがわかるほど人間は賢いのかの感想・レビュー・書評

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  • 言語の最大の利点は、時間と場所を超えてものごとを伝えられること。その時、その場所にいなくとも、そこで起きたことを他者へ伝えることができる。自ら体験したことではなくても、他者から伝えてもらうことでその知識を拡大することができる。

    リスが人間のように10まで数を数えることができないからといって「人間はリスよりも優れている」と云えるのか?
    リスは生存するために10進法を知る必要がないのであって、むしろ生存に必要のない余計なことにエネルギーを割くことは害なのである。
    冬眠前のリスは森の地面のあちこちに穴を堀り木の実を埋める。その数を千を超えるという。人間にはとてもリスの真似事はできない。

    大学院生や初学者向けとあとがきで訳者は書いていたし、比較的やさしい文体で書かれていたけれど、それでも文系人には読みづらかった。

  • やっと読み終わった。ずいぶん時間がかかった。
    タイトルは「人間は賢いのか」という疑問形だが、もちろん論旨は「動物の賢さがわかるほど人間は賢さを定義できていないし、だから当然測定もできやしない」である。

    スティーブン・グールドが『人間の測りまちがい』で人間の人種・民族間の知能の測定方法の誤り(たとえば、生得的な知能測定のつもりが如何にアメリカナイズされているかを測定する内容だったとか)を告発し、白人を特権的な地位から引き摺り下ろすのに一役かったが、本書ではその対象が人間という種全体に及んでいる。

    どうもアメリカはキリスト教保守派という票田があるからかエセ科学がはびこっていて、こうした一般向けの科学書を書く人(著者や上記グールドやドーキンスなど)は闘志をむき出しに書かざるを得ないようで、これも読んでいて非常に疲れた。日本人向けだったら半分ぐらいの内容で済んだと思う。

  • 表題の通り。動物も充分に知性的で、愚かなどではない。

  • 門外漢なので一つ一つの話が初めて聞く話が多く非常に興味深かった。

    人間の病気、障がいなどの医療分野、人工知能分野など、生物の世界を知ることで人間をより深く知れるのではと期待が膨らむ名著である。

  • 『私たちは人間をあらゆるものの尺度とするのではなく、他の種をありのままのかたちで評価しなければならない』

  • 進化認知学
    人間とは何か。動物には心はあるのか。それを研究すにはどうすればよいのか。

  • 動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか フランス・ドゥ・ヴァール著 内的な世界知る科学的態度
    2017/10/7付日本経済新聞 朝刊
     オランウータンにねじ回しを与えると、その使い道がわかるばかりか、飼育係がいないときに檻(おり)のボルトをはずし、はずしたボルトが見つからないように隠しながらゆっくりと作業を続け、やがて脱走するという。この手の逸話は、動物の研究者や動物園の飼育係の間では数多く知られている。
    こんなことをするには、どんな能力が必要だろう? 檻の構造と道具の機能とその使い方、飼育係の行動の予測、将来の計画などなど、いろいろなことがわからねばならないはずだ。それができるなんて、オランウータンは人間と同じくらい賢いのだろうか?
     カラス科の鳥も負けてはいない。膨大な数の木の実を隠し、その隠し場所を正確に覚えている。ほかのカラスに隠したところを見られたときには、彼らが見ていない間に隠し場所を変えるのだ。
     著者は、長らくチンパンジーなど霊長類の行動と認知の研究をしてきた第一線の研究者である。本書には、著者自身の研究のみならず、イルカや鳥や魚やタコにいたるまでの様々な動物の行動とそれを支えている認知能力について、興味深い実験結果がいっぱいつまっている。それらに驚き、感心し、笑っているうちに、読者は深い疑問と向き合うことになる。
     動物の内的な世界を、私たちはどうやって理解できるのだろうか? 動物もいろいろなものを感覚し、いろいろと「考えて」行動している。人間とは異なる種に属する生物の内的世界を知るには、私たちも常識を捨てて工夫せねばならない。果たして、私たちはそれができるほど賢いのだろうか。
     著者が属する西欧の文化では、人間と他の動物を峻別(しゅんべつ)し、人間だけが特別に賢いとする考えが染み付いている。他の動物に高度な能力が見つかると、まずは信用されない。それが否定できなくなると、今度はその能力自体の定義を変えて、人間だけにあてはまるようにする。そんな西欧文化の態度に業を煮やした著者が、それは科学的な態度とは言えないだろうと、挑戦状を突きつけている。
     日本文化はそこまでではないと思うのだが、カラスやゾウの「考え」がどうやったらわかるか、あなたも挑戦してみるとおもしろい。結構、難しいですよ。

    原題=Are We Smart Enough to Know How Smart Animals Are?


    (松沢哲郎監訳、柴田裕之訳、紀伊国屋書店・2200円)


    ▼著者はエモリー大教授。
    《評》総合研究大学院大学学長
    長谷川 眞理子

  • 請求記号 481.78/W 11

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動物の賢さがわかるほど人間は賢いのかの作品紹介

進化の末に、動物は「賢さ」を獲得した。
それは人間も、サルも、カラスも、イルカも、タコも、みんな同じである。
われわれは自分たちだけが賢いと思っていないか?

心理学との境界線を行くユニークな動物研究の分野を開拓してきた著者が、動物行動学の歴史から最新の研究まで、豊富な事例を示すとともに読者へと問いかける。ドゥ・ヴァールが新たに提唱する「進化認知学」とは――
人間中心の科学から脱却し、動物の認知とは何かを見つめなおす。

驚きのエピソード満載、著者自身の手によるイラスト多数。待望の最新作!

●チンパンジーは食べ物のありかを知っていることを悟られないようにふるまう
●カケスは相手が何を欲しがっているか見極めてプロポーズの贈り物を選ぶ
●アシナガバチは一匹ずつ顔が違い、仲間の顔を見分けている
●タコは自分を攻撃した人間を覚えていて、怒りをあらわにする

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