グレブナー基底とその応用 (共立叢書現代数学の潮流)

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  • 共立出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784320016934

作品紹介・あらすじ

 グレブナー基底は、多項式環とそのイデアルについて具体的な計算が可能な手続を用意する強力な手段である。代数幾何学を専門とする立場からグレブナー基底についての基本定理を挙げれば、ブッフベルガーの判定法、消去イデアルへの応用、シュライヤーの定理となるだろう。本書ではこの3つを取り上げて解説する。
 まず、ブッフベルガーの判定法は有限回で終わるグレブナー基底の決定法(計算法)を用意するが、これについては第2章で詳しくみる。グレブナー基底の計算アルゴリズムは多くの改良がなされ、計算機の進歩と相俟って、信じがたいほど速くなり、最近までは夢としか思えなかった応用計算が現実のものになっている。しかし、基本のアイデアでブッフベルガーの手続を超えるものは未だない。ブッフベルガーの判定法が計算機代数という沃野を切り開いたといっても過言ではない。
 また、グレブナー基底の理論は19世紀以来の消去法を包含している。この事実とグレブナー基底が具体的に計算できることは、多くの応用を生み出す。これについては第3章と第5章で紹介する。
 そしてグレブナー基底の代数幾何学への応用の最も有効なものの1つが、射影的多様体上の準連接層の還元列の具体的計算であろう。これに資するのがシュライヤーの定理である。この定理により、この還元列の計算を大幅に簡略化できる。グレブナー基底はイデアルだけでなく多項式環上の自由加群の部分加群に一般化できる。この一般化、シュライヤーの定理、射影的多様体上の準連接層の還元列計算、ヒルベルト多項式とコホモロジーの計算が第6章の話題である。
 なお、第1章で可換環とその上の加群について必要な結果を、第4章で代数幾何学の基本概念をまとめてある。予備知識を線型代数程度にして、それ以外についてはなるべく自己完結的にしようと試みたためである。

著者プロフィール

京都大学大学院理学研究科教授。

「2004年 『代数幾何学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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