- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784320025639
作品紹介・あらすじ
大きなシステムを作る、というのは大変な仕事である。その成功例を調べてみると、「ほとんど全部が少数の傑出した技術労働者の働きに依存している」という。本書は、こういう「スーパーエンジニア」を志す人のためのガイドである。
感想・レビュー・書評
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# 時代を経ても変わらない、本質的なリーダーシップ論
## 面白かったところ
- よりによって、筆者がリーダーの役割に対してかなりネガティブだったことで親近感が湧いて読みやすかった
- 人間の成長に関する、現代にも通じる成長理論を30年以上も前に提唱していた事実に脱帽した
## 微妙だったところ
- 個人的にはかなり読みづらかった。とても素晴らしい内容ではある
## 感想
久々に本にぶん殴られる感覚を得た。だってこれ30年以上前に上梓された本だぜ?
「人間は自分自身が盲目なので、日記を書いて `自分からは見えない自分` を観察しよう」だとか、
「問題を解決するために、問題設定をちゃんと見直ましょう」だとか、
「仕事を片付けるために組織を作りましょう」だとか。
令和の時代においても通じる本質を突いているワインバーグ師匠はすごい。
また、技術リーダーシップが必要になったときには、またじっくり読み直したい一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とてもよい。
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ワインバーグ氏による、技術リーダーシップとして知っておくべき知識や考え方が幅広く記載されています。本書(翻訳本)の初版は1991年ですが、今でも決して枯れることのない内容だと思います。
マインドセットから組織での動き方、変わり方に至るまで、リーダーに必要な要素は広く扱っており、この一冊を読むだけでも自分の悩みについての突破口が得られると思います。 -
エンジニアがリーダーになるためにはどうすればよいのかというのが直接的な主題だが、エンジニアのチームや技術的な開発プロセスに関するリーダーシップに限定されない、広く有効性を持った本だと思う。
「動機づけ(M)」、「組織化(O)」、「アイデアないし技術革新(I)」の3つの要素において変化を起こすためのリーダーシップの取り方を、具体的なアドバイスをもとに展開している。
「アイデアないし技術革新」の項においては、単に技術者としてアイデアを創発する側であるだけではなく、議論や試行錯誤の中でアイデアの流れを生み出し、それを調整しながらアウトプットのクオリティを高めていくための振舞い方が述べられている。
「問題ない症候群(NPS)」や「答えは一つ、の信念」といった非常にわかりやすい表現で、優秀なエンジニアがなぜ他のメンバーや集団での問題解決のための技術革新を阻害してしまうのかを説明している。
「動機づけ」の項は、主にコミュニケーションのありかたについて述べられているように感じた。
なぜ他者とのコミュニケーションは途中でねじ曲がり、双方の誤解を生む結果に終わることが多くあるのか?その背景には、コミュニケーションの過程で、双方の当事者の中に様々な解釈や感情が生まれ、それらが少しずつ会話の意図をずらしていってしまうプロセスがある。
また、個々人の中には過去の経験や自らの立場に対する自己評価といったものから生まれる「サバイバル規則」があり、それらがアウトプットとしての会話の表現を規定する働きを持っている。
そういった複雑な状況は、エンジニアがコンピュータプログラムを書く際には生まれないものであり、それゆえ他者を動機づけるのはプログラムを走らせるのとは全く異なる難しさをはらんでいる。
結局のところ、筆者が提示するのは、「誠実」かつ「不整合のない」やり方でコミュニケーションをとることという、とても謙虚に見える方法である。そのためには、自分の中の「サバイバル規則」を規則ではなくガイドに変換するなど、自らの変容も必要とされる。そういった事柄を、筆者は具体的なイメージがわくように実際のやり取りを再現しながら丁寧に説明している。
「組織化」の項では、エンジニアが個人ではなく有機的な組織で課題を解決するために避けるべき障害の数々が取り上げられている。
「偉いさんゲーム」や「有効でない組織作りに報償を与える」といった、組織の形骸化につながるような障害もあれば、「人を機械扱いにする」や「自分でやってしまう」といった有能なエンジニアが陥りがちな障害もあり、非常に示唆に富んでいた。
そしてここでもまた、「不整合」や自己と他者の相違に対する観察力や理解力が非常に重要であることが述べられている。
最後に、この本を通じて繰り返し述べられているのが、自らが変化することへの意欲がなければ、リーダーシップを発揮することはできないということだ。変化するというのは、出来合いのリーダーシップ像に自らを当てはめることではなく、筆者の述べていることに従うならば、まず自分自身についてよく学び、他者とのコミュニケーションを改善していくことから始まるように感じた。
そのようにして自己と他者の関係性を構築しなおしていくことが、他者から必要な支援を受け、他者に必要な支援を与えることのできるリーダーシップを生む、最も大きな要素であり、そのような意識や意欲を持つことが、まず第一歩ということだと思う。
一読して、多くの人との対話や観察から生まれてきた本であるということが感じられ、非常に具体性に富んだアドバイスが書かれている。その分、自らの体験に引き合わせてみても思い当ったり納得できる点が多くある本だった。 -
スーパーエンジニア、つまり、問題解決型リーダーとは何かを書いた本。海外の本にありがちな、だらだらと長いだけの本。ぎっくり腰の話とか、何のサジェスチョンにもなってない。そんな中で良いことは以下。
成功するプロジェクトは、全て少数の傑出した労働者の働きに依存する。
セルフマネジメントを重視する。他人をコントロールはできない前提に立つ。自身の言動によって、他者の動機を殺さない、混乱を生まない、アイデアの流れを抑制しなければ、良い方向に行く。つまり、リーダーは、利己的であってはいけない。
ビションがあってこそ、仕事は重要性を獲得する。
人は誰もが自分は役に立っていると感じたがり、貢献することを望むというのは、仮定である。
組織作りとは、仕事を解決するためである。
人に割り振った仕事を自分でしないこと。
マネージャーになりたい理由は?
リーダーとして持っている資産と負債は?
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著者がワインバーグなので、悪い本であるわけがないと思うのだが、どうも私とは相性が悪く、読んでいてとても疲れた。それ以外の感想は記憶にない。
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問題解決型リーダーシップ像。
当時かこの視点があったことが画期的。そして普遍。
今でも使える。
メタな話と事例が多いので読み進みにくいが自己認識高ければわかる話。 -
サブタイトルの「技術リーダーシップ」と「人間学」というキーワードに惹かれて買ってみた。 君リーダー・マネージャやってね、と言われた時に、リーダーなんてやりたくない!エンジニアとしてやっていきたいんだ!という葛藤と戦うときに読むと、どういう心構えが必要となってくるのか、どういうマインドセットの変更が必要となるのか、という観点で読むとよさそうです。 とはいえ、ワインバーグ先生の本は読むのに根気が必要・・・
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文章の言い回しがちょっと回りくどいかな。スーパーエンジニアとあるけど、あんまりエンジニアとは関係ない普遍的な内容だと思う。さらに、リーダーシップとあるけど、「リーダーになりたい人は、他人からよく見られたいだけだろ?そんな理由ならやめとけよ。リーダーになるメリットなんてないよ」と、リーダーにならないように注意してくれる。本書は理性的で知的になるための心構えを教えてくれてる。
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リーダになることについて書かれた一冊。多角的な視点から書かれており、勉強になることが多かった。
20年前以上に書かれているにもかかわらず、変わらないことはたくさんあるのだなとも改めて感じた。
ただ、解釈が難しいところもいくつかあり、その辺は何度か読み直したなと感じた。