数学的思考: 人間の心と学び

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著者 : David Tall
制作 : 礒田 正美  岸本 忠之 
  • 共立出版 (2016年12月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (493ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784320111424

数学的思考: 人間の心と学びの感想・レビュー・書評

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  • 数学的思考が成長と共にどのように発展していくか,幼児期から形式数学を専門とする人に至るまでにわたって検証する内容.
    前半は初等教育〜高等教育での,生徒の様子を通して,具象・記号・形式と3分野の理解力・思考力が向上する過程を表す.
    後半はより高度な,大学以上の数学的概念について,より下位の概念を理解する具象や記号だけでは適切なイメージを構築しづらいものを,数学者がどのようなプロセスを経て思考しているかを,明らかにする.
    全体を通じて抽象的な言葉が多数出てきていて,門外漢の私にはかなり難しかったが,微積分についての「顕微鏡・望遠鏡」の考え方は初めて触れたもので,分かりやすいと思った.
    数学的思考は,対象を認識し,その性質を記述し,それを吟味して定義とした上で,演繹することにより他の概念との関係を明らかにする,というプロセスで発展する.より高度の概念を,限られた時間の中で理解したり処理したりする上では,既知の概念を適切に圧縮し,カプセル化することが肝要である.これは実際の場面では,その概念に繰り返し触れて習熟する,という過程に対応している.

  • 請求記号 410/Ta 75

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数学的思考: 人間の心と学びの作品紹介

本書は,あらゆる段階の数学の教授・学習に関わった著者による,誕生から大人になるまでの発達を通した数学的思考の枠組みに焦点を当てた書である。
 最初に,本書で示す理論の概略を示す。次に,高校までの学校教員用の教材を取り上げながら,形式的・公理的思考に結びつく洞察を体験していく。これは,すべての段階の数学教員に役立ち,学校数学を包括しており,さらにその成果も紹介していく。その後,本書の理論を数学の歴史的発展に位置づける。さらに,大学段階にふさわしい発展教材を紹介し,数学的思考を引き続き体験していく。これは,数学を専門としない人でも可能である。最後に,全体の枠組みと他の理論の枠組みとの関係を振り返る。ある文脈で通用するが別の文脈では通用しなくなる事例を取り上げながら,様々な理論を組み合わせた新しい理論をも示す。また,様々な理論の中でどれがよいかを議論するのではなく,様々な文脈に活用できる理論を検討するとともに,相矛盾する理論が一貫した意味になるためにはどう組み合わせたらよいかも示す。
 総じて,様々な背景を持つ読者が,数学の教授・学習における広い理論の枠組みと関係する実際の事例を理解できるよう,簡単な工夫を凝らしながら,基本的な考えを定式化し,数学的思考の発達を捉える枠組み全体を明らかにしていく。その枠組みは,子どもから大人までの人間発達に活用できるだけでなく,歴史上の数学の文化的発展や今後の数学的思考の理論の発展にも活用できるだろう。
 数学を教授する立場にある人にはもちろんのこと,数学を学習する人にとっても,どのように数学の理解が進んでいくかに関する示唆を受け取ることによって,大いに有益なものとなるであろう。

数学的思考: 人間の心と学びはこんな本です

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