- Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
- / ISBN・EAN: 9784323070261
感想・レビュー・書評
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私の住んでる千葉も、今年の夏は、毎日猛暑日が当たり前のようになってきて、さすがに少しは慣れてきたけど、それでも厳しいですよね(^_^;)
そんな時でも、本の力で涼しくできないかということで・・・やっぱり、怖い本でしょう!
それは、いつもの図書館の絵本の特設コーナーが、怖い本特集となっていることからも明らかだし、皆、求めたい物は一緒だよね。
・・って、これは子どもが好きだからか。
というわけで、特設コーナーを見てみると、司書さんの独自のチョイスが光る中、見つけましたよ。
やはりというか、なんというか、「スズキコージ」さんの絵本を。これだ、私の求めていたものは。
しかも今回は、原作が「瀬川昌男」さんなので、原作を受けて、コージさんがどんな絵にしているのかも見ることが出来そうなので、楽しみです。
早速、表紙を見てみると、どうですか?
一見、ごった煮感覚で、ただ無造作に押し込んで描いたように見せながら、それぞれのおばけ同士のバランスを考えた、この絶妙な配置は。
さらに、日が暮れようとしている夕焼けの鮮やかなグラデーションと、不穏な鳥の影たち・・あまりの素晴らしさに、早くもゾクゾクを抑えきれない私。
そして扉絵を見ると、これが意外にも、夕焼け空をバックにして、一軒家の周りに広がる、美しい大自然を取り巻く光の粒たちに、なんとも言えない哀愁感がほのかに満ちているようでありながら、それはまるで蛍の群れにも見える美しさで、コージさんの絵は、不思議なものばかりでは決してないことが、これだけでも良く分かる。
物語は、その扉絵にあった一軒家で暮らす兄弟の会話形式で進行していく、読みやすいタイプで、そこで繰り広げられていたのは、おばけがいるのか、いないのかという、よくある会話でありつつも、トイレに一人で行くのを恐れながら、結構、的確なツッコミを兄に見せる、弟に注目がいく中・・・
「おばけはね、いるのだよ」
「ひゃあああああ!! でたあああ!」
早い! 出るのが早いってば!!
ああ、びっくりしたぁ。
でも、この意外性、悪くないよ。
それはそうと、この磨りガラスの引き戸越しと、それ以外で色を使い分けている、コージさんのおばけの表現が、また素晴らしくて、更に迫力満点にしているのもポイントだと感じつつ、さあ、ここからどうなるんだ!?
「でもね、昔はもっと、いろんなおばけがいたのだよ。見たいかな?」
「わあっ、見たい!」
「ちょっとこわいな…でも、おにいちゃんがいっしょなら…」
「では、いってみようか」
・・・あれっ?
なんだか、私が期待していたのと少し違うような。
『おばけめぐり』って、そういうこと?
なるほどねぇ、そうですか・・・
というわけで、この絵本は、とても人懐こいおばけが兄弟を乗せて、たくさんの興味深いおばけたちを紹介してくれる、いわば、おばけ図鑑的意味合いを持った物語で、もうこれだけで、子どもたちは大喜びですね。
しかも、いったんもめんや、のっぺらぼう、ろくろくびといった、メジャーなおばけたちも、コージさんの絵にかかると、また違った魅力を見せてくれるし、おばけがご親切にも、ちゃんと場所毎に巡ってくれて、山、川、海、町、家の中と、それぞれに様々なおばけたちがいる面白さに加えて、場所毎に独特な迫力を秘めたコージさんの絵の臨場感が、とても効果的です(コージさんの絵といえば、裏表紙の絵、本編と全く関係ないけど、とてもカッコよくて、たぶん好きで描いたんだろうな)。
また本書は、紹介されたおばけの詳しい解説が巻末に書かれているだけではなく、更に、おばけにまつわることを、いっぱい教えてくれているのが興味深く、例えば、おばけとゆうれいの違いとか、今ではあまり見かけなくなったおばけがいるけれど、反対に、昔はいなかったおばけもいることは(トイレの花子さん、口さけ女など)、私も知っているようで、実はよく知らなかった。
中でも、印象的だったのが、「ゆうれいはどうして出るのか?」であり、そこには怖さというよりも、とても感傷的で切なく、その思いが詰まった様子には、以前の姿同様、人間と変わらないようでもあり、その考え方を改めるきっかけとなった。
そして、その後も親切なおばけは、兄弟にいろんな事を教えてくれて、しかもそこでの教え方には、決して人間を下に見たような感じは無く、あったのは、おばけも人間と同じような感情を持っていることや、好きな人間のタイプや嫌いなタイプがいるということで、それはまるで読んでいく内に、おばけも人間と共に、この世界で生きているような印象を受けて、それが意外であったこと以上に、何故か嬉しかったのだ。
思えば、本書でのコージさんの絵の中にあった、たくさんの人間が密集した町の絵には、どこかどんよりとした混沌さや息苦しさが漂っているようで、私はそれに自然ではない嫌悪感を抱き、これならば、他のおばけがいる絵の方が、まだ良いなと思えた、その時、瀬川さんとコージさんが伝えたかったメッセージを感じた気がして、それは、瀬川さんのあとがきでも書かれていた、世界的に進行しつつある、環境破壊を懸念するものでした。
そして、あとがきに書かれていた、私たちの祖先が、祖霊や自然霊を畏れ、身の程を知って暮らしてきたことには、決して臆病などでは無く、賢明であったことに、自然に溢れたこの世界と共に生きていく鍵があることを唱えており、その賢明さには、決して打算的な思いは全くなく、あったのは『謙虚な心』、ただそれだけであり、瀬川さんは、それを子どもたちに知って欲しかった為、彼らが大好きなおばけとの関わりを通して、それを伝えようとしていたのです。
ちなみに、瀬川さんは2011年に亡くなられたそうで、はたして、今のこの世界をどのように見ているのか?
私は決して安心はしていないだろうと感じており、瀬川さんの残した、この絵本にコージさんと込めた思いには、おばけ=怖いという、ただそれだけでは無い、その奥の部分を知ることによって、それが子どもたちの謙虚さを育み、やがては自然保護へと繋がっていってくれれば、といった願いが込められているようで、是非、おばけの新たな素顔を楽しみながらも、そんなことを考えてくれればと、素敵な可能性を期待したいと思うし、私自身、とても勉強になりました。 -
オバケとは? いったい何なのか。オバケはいるのか、いないのか? オバケと幽霊はどこが違う? 良いオバケと悪いオバケの区別の仕方は? ・・・そんな疑問に、ズバリ答えてくれる役立つオバケ絵本。巻末には、この絵本に登場するオバケと幽霊の、懇切丁寧な解説と参考文献まで付いた<瀬川昌男さん>作、<スズキコ-ジさん>絵による、この夏がよけいに熱くなる、ド迫力原色オバケ図鑑!
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昔の人はおばけといっしょにくらしていたようなもんさ
現代の兄弟におばけ・ゆうれいを見せるおばけ。
海のおばけ、現代のおばけ、各種ゆうれいなど分類紹介や、
おばけと幽霊の違い、ゆうれいにあったらどうする?悪い霊がこないようにするには?など、対応方法まで。
スズキコージさんの絵が相当インパクト強いので、乳幼児には対応策はさておき絵だけでも反応ばっちり。 -
2014.09 4-2
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日本のいろいろなお化け、妖怪、幽霊、都市伝説…。
スズキコージの絵で見る妖怪図鑑というだけで一見の価値があると思う。
巻末にはそれぞれのお化けの解説も。 -
スズキコージさんの絵がすごく素敵。
怖いようで愛らしい。
おばけはいると思う。ただし、私には見えない
自然や生活や人の心の変化などを「おばけ」や「神」などになぞらえて
怖がったり崇めたりすることで秩序を守り、
その中で人間は文化を発展させてきた。
想像の産物 かもしれないけれど
想うモノはかならず根拠があるはず。
そう思っているほうが、心も生活も豊かになるような気がする。 -
こわかったけど、迫力がありました。
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2010年6月17日
文/南谷佳世
構成/南谷佳世+小野明
装幀/羽島一希 -
妖怪・幽霊を知ることが出来る絵本。スズキコージさんの絵が魅力的なモノにしてくれています。
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数あるスズキコージさんの絵本の中でも、とびきりグロな一冊!おばけや幽霊のイラストの不気味っぷりが半端じゃないです(笑)最近、『地獄』の存在が気になっている長男は、「こういうのは借りてきて欲しくなかったー」と涙目でした〜♪←とは言いながら、コワイモノ見たさで、何度も読み返してましたけど(^_^)
お返事をありがとうございます(^^)
こちらは、そこまで強い雷ではありませんでしたが、点いたり消えたり! それ...
お返事をありがとうございます(^^)
こちらは、そこまで強い雷ではありませんでしたが、点いたり消えたり! それは怖いですね(>_<)
今は停電が回復していれば、いいのですが。
ごめんなさい。私、勘違いしていたようで、なおなおさんのご実家が千葉だったのですね。
神奈川は仕事関係で、綱島に住んでいたことはあります。もう5年ほど前になりますけどね。
山武市、行ったことないので、イメージし辛いのですが、離れがあるのは凄いですね! 平安時代の寝殿造みたい。私もそこまでは未体験なので、逆に行ってみたいです(^^)
幽霊はいるかいないか、誰も証明できないと思うので、見たのなら見たで、自信もって良いと思いますよ。人間は知らないものに対して、恐怖を覚えるので、幽霊の存在を否定するのは、恐怖の裏返しだと思います。
ええ、そうです。
ピースでもいいですし、写真は是非、なおなおさんがいちばん輝いているものにすれば、皆さん、笑顔になれますよ、きっと(^∇^)
おばけには遭遇しませんでしたよε-(´∀`*)ホッ...
おばけには遭遇しませんでしたよε-(´∀`*)ホッ
私の書き方が悪かったです。
千葉県山武市は父の実家で、築100年以上でつい最近まで茅葺屋根でした。寝殿造りではないですよ〜^^;
私は千葉市美浜区生まれで(この家に幽霊がいた!)、小3の終わりに一家で神奈川へ(;_;)/~~実家は神奈川なんです。ちなみにここには幽霊はいません笑
綱島…近いです。案外ブク友さんとどこかですれ違っているのかもしれません。話しかけたら不審者扱いでしょう。そんな時はブクログアプリのMy本棚が名刺代わりなんでしょうね。また話逸れましたね^^;
最後にお祝いを。
レビューが900冊記念、おめでとうございます。
たださんの丁寧な語りのレビューをこれからも楽しみにしております。
取りあえず、おばけに遭遇しなくて良かったですね(^^;)
お父さんのご実家、築100年以上! ご...
取りあえず、おばけに遭遇しなくて良かったですね(^^;)
お父さんのご実家、築100年以上! ご家族の歴史が刻まれているようで凄いですね。
ご丁寧に教えて下さり、ありがとうございます(^^)
ちなみに私の生まれは、福島県伊達市なのですが、父の転勤をきっかけに、千葉へ来てからは、そこが一番長いですし、両親の実家も千葉になりました。
綱島、近いのですね。
もしかしたら、どこかですれ違っていたなんて・・・ありますかね♪
あっ、でもその時は、ブクログやっていませんでした(^^;)
そういえば、当時、軽のバンであちこち回る仕事をしていた時期がありまして、その影響で、割とその辺の地理は覚えました。場所によって、もの凄く狭い道もあったので、結構大変だったりもしましたけど(特に、菊名より南方面)、今では良い思い出で、特に港北区はよく行きましたね(´-`).。oO
最後のお言葉、とても嬉しいです。
ありがとうございます(´▽`)
私からも、なおなおさんの記念の際には、是非お祝いさせて下さい。