- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784324083918
作品紹介・あらすじ
バブル経済以前の東京、未開の研究領域をひもとく!豊富なデータと調査を元に、実証的方法によって「モダン都市東京」最後の姿を描写。
感想・レビュー・書評
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1980年後半をゴールとした、都市「生活」の変遷を実証的に研究したアンソロジー。
都市「生活」と、生活を強調したのは、都市の変遷は研究されてきたが、多くが建築などの分野からの研究で、社会的な生活の実態は省みられてこなかった、という主張に鑑みたつもり。
主に、居住の階層分離や、都市内のコミュニティ、政策への参加、などのトピックスが取り上げられています。
アンソロジーと言うことで、独立した論文から組み立てられており、それぞれが、欧米諸国での社会学理論の提示と、それに基づいた東京のケース研究、という流れである。
確かに、アンソロジーで、しかもこれまで研究が普及していなかった分野の論文と言うこともあって、欧米諸国の研究が限られた字数で紹介されているのでは「それがどんな理論なのか?」という理解が及びにくい嫌いも或る。
また、ロジックの面から組み立てられた仮説を欠いており、(考察はしっかりしているものの)、漠然とデータを読まされていると感じる嫌いもある。
それでも、「こういう見方があったのか!」という発見はあり、しかもそれが、身近なものの見方が変わると言う、刺激の強い発見であると言う点では、十分に恵まれている本だと思う。
例えば、生活における人と人のつながり。
「希薄化している」と批判することは簡単だが、類型化して分けてみると・・・
確かに、バブル以前の東京が対象と言うことで、身近なはずなのに距離を感じる部分もある。
それでも、こういう見方があり、こういう接近方法があるのか、という発見は得られたと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示