予言がはずれるとき: この世の破滅を予知した現代のある集団を解明する (Keisoコミュニケーション)
- 勁草書房 (1995年12月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784326101061
作品紹介・あらすじ
大洪水にもならず、救出のためのUFOも来ない…そのとき、教団はどうなったか。「認知的不協和の理論」を検証する社会心理学の古典、堂々の完訳。
感想・レビュー・書評
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かなりの流し読みで返却せざるを得なくなったのだけど、社会心理学の古典的1冊。
特定の(そして成就されない)予言を行う社会運動に参加した人々の行動に関連した実証報告なのだが、3/4ほどは実際あった団体(カルト的集団)に入り込み信者のふりして観察し続けた詳細なレポートで、最後の1/4エピローグと題されるところからその手法も含めた結果検証になっていて、やはりここが面白い。
著者の一人レオン・フェスティング博士が発表した『認知的不協和の理論』は、社会心理学の動向に大きな影響を与えたとか。
「○月○日に世界は滅亡する」などの予言がはずれたとき、信者たちの結束はさらに強固になり進化し続けるという論証。
いわゆるキリスト教(だけに限らないが)もそのひとつなんだよな…的視点は重要ってこと。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私はノストラダムスの大予言が外れた後に産まれたから、予言の日が近づく恐怖や不安を体感していない。そのため、この論文を読んでいる時にずっとフィクションを読んでいるような、「そういうテイストの作品」を読んでいるような感覚があった。
予言を外すということはある種の失敗でもあり、ギャンブル的な「負け」でもある。予言が外れた時の信者の行動は言わば失敗を失敗にしないための逃避行動であり、ギャンブルの負けを直視せず他に得られたものを必死に探すようなものなのだなと感じた。
だからこそ、見限る(損切りをする)信者もいればより熱心になる(負けを取り返そうとする)信者もいてそこにかなりのばらつきが生じるのだろう。 -
黒人はジャズには向いているが、数理的なものには向かない、という偏見をもっている。目の前に黒人の偉大な数学者が現れる。自分の認知に合致しない不快なものになる。認知的な不協和。不快感を減らしたい。認知を一貫させたい。現実を否定しはじめる。きっと父親が白人だったのだ。認知的な不協和がいやなので、人は自分のすでに持っている意見や態度に一致する情報を探し求め、一致しない情報を回避する。選択的に情報に接触する。▼面白くない仕事でも給料が高いと、報酬のためにやったのだと正当化できる。しかし、面白くない仕事で給料が安いと、報酬のためという正当化ができない。そこで「仕事が面白いからやっている」と無理やり合理化する。不協和を解消しようとする。フェスティンガー1957
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『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』で引用されていた一冊だ。原書刊行が昭和31年である。戦勝国アメリカの余裕が咲かせた花のひとつといっていいだろう。日本では経済企画庁が「もはや戦後ではない」と経済白書に記述し流行語となった頃である。
https://sessendo.blogspot.com/2020/03/lhws.html -
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放送大学『社会心理学』(2014年2学期履修)第4章:認知的不協和
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認知的不協和理論の基礎となった論文。選択的情報接触や予言の自己成就などの概念を理解するにも役に立った。翻訳は原文にかなり近づけているので、読みにくいが、その分その場の状況が鮮明に浮かぶ。
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世界の破滅を予言するカルトに潜入、参与観察を行った社会心理学の研究記録。大洪水も来ず、信者救出の宇宙人も現れず…と教祖の予言が外れれば外れるほど信者の結束が高まる…所謂〈認知的不協和〉の実録。
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2004