コウモリであるとはどのようなことか

  • 勁草書房
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本棚登録 : 244
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326152223

作品紹介・あらすじ

死、性、戦争、意識ect.-明晰な表現と誠実な議論によってととの関係を問い続ける。

感想・レビュー・書評

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  • ものすごい勉強になった。
    自分は人間機械論に近い(けど同じではない)ところにいるので、物理主義の限界に言及してるところがとても面白く、ためになった。(「12章 コウモリであるとはどのようなことか」)
    あと授業中に「4章 性的倒錯」とか真剣に読んだりしてた。
    引用、
    「サディズムとマゾヒズムは認知の第二段階―欲望の対象として自分自身を認知する段階―における異常であると言えるだろう。」など。
    哲学書として私みたいな若造には難解なんだけど、固い中にユーモアを入れ込んでくるあたりがたまんなくてときどき眩暈がするくらいネーゲルが愛おしくなる。
    いちばんはデネットだけど。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「物理主義の限界に言及」
      小国で育った人の常のような気もするが、注目度は高いですよね。もっと邦訳出ないかなぁ~
      「物理主義の限界に言及」
      小国で育った人の常のような気もするが、注目度は高いですよね。もっと邦訳出ないかなぁ~
      2012/05/10
  • これ、コウモリなかなか出てこないですよ。12章から。

  •  僕が高校生の頃に話題になっていた本。当時ちょっと読みかじった記憶はあるが、30年を経てほぼ記憶はゼロ。柔和な印象を与える書題に比べ内容がハードだったことと、訳者の永井均氏の名をその後よく一般向けの哲学解説書で見かけるようになったことだけが印象に残っている。数ヶ月前、「世界は『関係』でできている(カルロ・ロヴェッリ)」でネーゲルの名が挙げられていたので今回改めて再読したが、ほぼ初読に近い新鮮味だった。

     訳者あとがきにあるように、まず最終章の14章を読んでから他章にあたると著者の論点が明確となり理解やすい。どの章も「ある主体にとって固有の命題と、その主体外部のより大きな視点から見た同じ命題との間の相剋」を扱うものであり、つまりは14章の章題である「主観と客観」つまり自己の統制下にあるものとそれを超え出ようものとの関係を論ずるものだからだ。

     その観点から読み進めていくと、本書のような他からの参照が多くなされる本にありがちではあるのだが、他の論者からのネーゲルの引用に誤読が多いことに気付かされる。例えば先に挙げたロヴェッリのネーゲル批判は「ネーゲルによれば主体の内観は物理世界の第三人称視点からは把握できないとされるが、そもそも物理世界は第一人称による都度生成的な記述過程によってしか認識されないものだ」というものだが、本書を読めばわかるように、ネーゲルは主観を消去して客観を追求することの不毛さ、つまり「誰の視点でもない」ユニヴァーサルな視点を措定することの無意味さを論じているのであり、これはロヴェッリの実在論と何ら矛盾するところがない議論である(もちろん、ロヴェッリが物理現象の公共性は間主観性のみで説明可能、とするのに対し、ネーゲルはそのようなウィトゲンシュタイン的間主観性のみでは足りず外在性・超然性を備えた視点が必要だがそれは獲得不可能、とするところに大きな相違があるのだが)。このように「ネーゲル=ハードプロブレムやクオリアの提言者」というようなスレレオタイプの当てはめが多くなされてしまうのも、本書がいかに検証の対象とされる頻度が多かったか、ということの証左でもある。

     最後に、あまり他で指摘されているのを見たことがないが、ネーゲルの「客観的超越」つまり特定の誰かにとってではなく「それ自体として」存在するもの、という概念は、カントの「物自体」とほぼ同じことを言っているように僕には思えた。

  • ひょえ〜哲学的で難しい、腰を据えて読み始めないとすぐには頭に入らなかった。でも面白い!

    「人間の活動には限界があるとすれば、世界がわれわれに提示する道徳的問題の全てに対して解答がある、と考えるのは無邪気にすぎる。われわれは世界が劣悪な場所であることは昔から知っていた。それはまた、邪悪な場所でもありうるように思われる。」 p117戦争と大量虐殺より

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