科学哲学入門―知の形而上学

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著者 : 中山康雄
  • 勁草書房 (2008年10月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326153985

科学哲学入門―知の形而上学の感想・レビュー・書評

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  • 【目次】
    まえがき 科学哲学という歩みの再考 001-011

    第I部 科学哲学小史――論理実証主義から科学論まで

    第一章 論理実証主義という出発と誤り 023
     1 論理実証主義とは何か
     2 論理実証主義が抱えた諸問題
     3 論理実証主義の誤りと意義――クワインの全体論から

    第二章 『論理哲学論考』の世界――ヴィトゲンシュタインの前期哲学 047
     1 『論考』の形而上学
     2 命題論理の体系と『論考』
     3 『論考』の誤り

    第三章 批判的合理主義という個人主義の哲学――ポパーのアプローチ 069
     1  ポパーの科学哲学
     2  ポパーの社会哲学
     3  ポパーの三世界論

    第四章 科学哲学と数学基礎論――論理学への招待 091
     1 伝統的論理学――定言三段論法
     2 現代記号論理学
     3 現代論理学と数学基礎論の形成
     4 数学基礎論の発展

    第五章 パラダイム論の視点――クーンの科学哲学 115
     1 クーンのパラダイム論
     2 パラダイム論と集団の認識論

    第六章 パラダイム論を超えて 137
     1 科学的研究プログラムの方法論――ラカトシュのアプローチ
     2 問題解決としての科学活動――ラウダンのアプローチ
     3 科学知識の社会構成主義――科学論のアプローチ

    第II部 科学と文化――科学哲学のための形而上学

    第七章 言語の多元性・多層性 161
     1 形而上学的実在論の検討
     2 唯名論的世界概念
     3 語りの多元性と物理主義

    第八章 事実の分類 187
     1 内省的事実
     2 社会的事実
     3 制度的事実と規則体系

    第九章 知の伝承と集団的認識論 211
     1 知の伝承
     2 権威と正当化
     3 生成される知と伝承される知

    第十章 社会的構成とは何か 235
     1 何についての社会的構成か
     2 分類がもたらす相互作用
     3 科学知識の社会構成主義への批判

    あとがき 259
    文献表 261-271
    事項索引 272-275
    人名索引 276-278

  • 科学哲学入門と銘打っているが既存の科学哲学における議論の紹介にとどまらず、それらに対する批判や著者自身の主張がかなり前面に押し出されている意欲的な書であった。しかしそれゆえに、全く科学哲学を知らない人にはあまり薦められない内容となっており何とも中途半端な印象を受けた。

    第一部は1920年頃に展開された論理実証主義からポパーやクーンといった科学哲学を語る上では欠かすことの出来ない重要人物の主張までを紹介する。ここではそれぞれの主張の内容というよりも思想の変遷が重視されており、紹介の仕方も駆け足であって内容は確認する程度であるため、予めある程度知識がないと理解できないのではないかと感じた。単純にこの間の議論の内容を知りたいのであれば他の入門書をあたった方が良いかもしれない。

    第二部では、一部での議論を前提としてその克服を企図して、特に社会構成主義に対する批判として、著者自身の主張が展開される。しかし、著者の見解は、『現代唯名論の構築―歴史の哲学への応用 (現代哲学への招待)』や『共同性の現代哲学』において詳述されているようなので、社会構成主義に興味がなく、著者の意見を知りたい方はそちらをあたった方が良いかもしれない。
     本書から受けた印象では、著者の世界観は素朴な科学中心主義、あるいは科学信仰に過ぎないように感じた。世界そのものを認識の対象とするのは自然科学だけであるという表明が、そのことを率直に表しているように思う。あらゆる言明が世界に対する解釈であり、部分に過ぎないと言ってしまってどのような不都合があるのであろうか。また、著者は世界を根源的な構成要素の集合として観念し、それに対してある融合体を見いだすことが言語による解釈であり、自然科学だけをその根源的要素を示す言語を有するという主張する。しかし、世界をそのような根源的要素に分割できるということ自体が自然科学に伴う一つの信仰に過ぎない。結果として、著者は社会構成主義を科学哲学に対する本質的な批判であるという認識を持つことが出来ておらず、その批判も成功しているとは言えない。単純に、世界は存在すると言えば社会構成主義は退けることが出来るのであり、自然科学を信奉するから自然科学を研究していると言った方がよほど説得的なのではないか。

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科学哲学入門―知の形而上学の作品紹介

自然科学が発展し、論理学が整備された現代において、哲学はどのようなものでなければならないのか。論理実証主義者たちの営みを訂正しつつ前進してきた、20世紀における認識論=科学哲学の歩みを再考し、集団的認識論の意義を問う。

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