レイシズムを解剖する: 在日コリアンへの偏見とインターネット

著者 :
  • 勁草書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326299089

作品紹介・あらすじ

「在日コリアンは日本人より劣っている」という古くからあるレイシズムと、「不当な特権を得ている」とする新しいレイシズムはどのような関係にあるのか。偏見を持つ人はもともと右翼的傾向にあるのか、それとも別の要因によるのか。インターネット利用との関係は? 偏見を理解するための社会心理学。

感想・レビュー・書評

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  • 勉強不足のせいですが統計プロセスは第二章の途中で追いつかなくなりました
    ツイッター上の言説等とレイシズムの相関関係の解説が丁寧であるほか
    因果関係の有無については頷かされる部分が多かったです

  • 感想
    本能の言い訳を理性に求める。だが逃げた先の理性にも見放される。個人を見ることができれば。差別とは不十分な理性によってもたらされる。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/688263

  • 東2法経図・6F開架:316.8A/Ta27r//K

  • 社会

  • インターネット(Twitter)上に見られる在日コリアンへの差別言説の計量分析と、大学生を対象とした質問紙調査の2部構成から成る。個々の研究の分析の精度は(おそらく)高く、研究間のつながりも意識的に書かれているのでわかりやすい。おそらく結果的には副次的な成果なのだろうが、インターネットの利用方法や友人・友人の友人に在日コリアンがいることなど、レイシズムを軽減する効果があることが示されているのが興味深い。
    博論をもとにした書籍ということなので、些末な点ではあるが文章の重複が見られる箇所がいくつかあったのが気になった。また、これは計量研究の性質なのかもしれないが、せっかく堅実な結果を出して面白い論点も見られているのに、国内外のレイシズム研究との理論的な接続があまり見られない点は勿体無い。が、刺激的な結果が数多く示されているので、筆者の今後の研究に期待したい。

  • 難しかったわ。著者は若手の社会心理学者なのだが、その著者の
    博士論文を母体にして加筆された作品なのでデータ抽出の為の
    数式なんかがバンバン出て来る。

    この数式だとか分析に使われているソフトウエアのことがまったく
    分からないのは私の頭の中身の問題。

    しかも、普段、少々ふざけて読後感を書いているので、真摯に書かれ
    た本書のような作品の感想を書いてもいいのかとも思うんだが…。

    「朝鮮人はすべてにおいて日本人に劣っている」という古典的レイシ
    ズムに加えて、在特会などが主張したありもしない「在日特権」という
    現代的レイシズム。

    ふたつのレイシズムがどのようにインターネット上で拡散されて行くの
    かを、一定期間、Twitter上で収集し、分析している。

    薄々は気がついていたのだけれど、著者の分析でも差別的発言をして
    いる投稿者の数って言うのは本当は少ないのだと分かった。

    リツイートなどで最初の差別的発言が拡散されたり、同じ発言が自動
    敵に繰り返して投稿されたりするから「げっ、差別主義者ってこんなに
    いるのかよ」って思ってしまうのかもしれない。

    本書では特定のサイトの抽出だけだけれど、そんなサイトに投稿され
    た発言に触発されて、それが差別的だとの考えもなしに鵜呑みにして
    他のサイトで借りて来た言葉を書きこむ人がいるんだな、きっと。

    実際、某所で私も目撃しているしな。在特会のデマを鵜呑みにしてい
    る人の書き込みを。たしなめたら在日認定やら、非国民認定された
    もの。

    学術書であるので一般には理解しにくいかもしれない。多分、私も
    全部は理解出来ていない。ただ、誤解やデマに乗ったまま特定の
    人たちに対して憎悪を募らせる人たちが一定程度はいるんだよね。

    それはストレスのはけ口なのかもしれないけどね。

    しかし、いくら研究目的とは言え、罵詈雑言を集めて分析するって
    苦痛だと思うわ。

  •  アメリカ合衆国における黒人差別研究の知見をもとに、日本における在日コリアンへの差別を扱う。とりわけTwitter に投稿された言葉を分析しているため、ブクログ利用者には身近なテーマだろう。
     ウェブ上の超ラウドなマイノリティの存在を指摘した『ネット炎上の研究』を読むと、この本の理解が進むはず。

    【メモ】
    ・インタビュー記事@シノドス
    https://synodos.jp/newbook/16538

    ・公開されている「はじめに」@勁草書房
    https://keisobiblio.com/2016/06/21/atogakitachiyomi_racism/

    【版元】
    四六判 上製 250頁
    価格 2484円(本体2300円)
    ISBN:9784326299089 C3011

     「在日コリアンは日本人より劣っている」という古くからあるレイシズムと、「不当な特権を得ている」とする新しいレイシズムはどのような関係にあるのか。偏見を持つ人はもともと右翼的傾向にあるのか、それとも別の要因によるのか。インターネット利用との関係は? 偏見を理解するための社会心理学。
    http://www.keisoshobo.co.jp/book/b208642.html

    【目次】
    目次 [iii-iv]
    はじめに [001-006]

    第1章 問題と目的 007
    1―1 在日コリアンを巡る社会情勢――蔓延するレイシズムとヘイトスピーチ 007
    1―2 レイシズムの社会心理学的解明――新旧二つの偏見 012
    1―3 本書の構成 018
    注 020

    第2章 Twitterにおける言説の分析 023
    2―1 研究1 コリアンについての言説:誰が、どのような投稿をしているのか? 024
    2―1―1 問題と目的 024
    2―1―2 方法 028
    2―1―3 結果と考察 031
    投稿者の性質/頻出語の分析/コードに基づく分析/発言の感情価
    2―1―4 研究1のまとめ 046
    2―2 研究1補足 レイシズム関連ツイートをさらに分析する 048
    2―2―1 目的 049
    2―2―2 方法 049
    2―2―3 結果と考察 049
    発言の感情価/投稿の形式/投稿のシェア/頻出語の分析/コードに基づく分析
    2―2―4 研究1補足のまとめ 062
    2―3 研究2 中国人についての言説を用いた比較 063
    2―3―1 問題と目的 064
    2―3―2 方法 064
    2―3―3 結果と考察 065
    発言者の性質/頻出語の分析/コードに基づく分析
    2―3―4 研究2のまとめ 071
    2―4 研究3 日本人についての言説:意識されるコリアン 072
    2―4―1 問題と目的 073
    2―4―2 方法 073
    2―4―3 結果と考察 074
    発言者の性質/頻出語の分析/コードに基づく分析(国・地域・民族)/コードに基づく分析(頻出テーマ)
    2―4―4 研究3のまとめ 081
    2―5 第2章のまとめ 081
    注 084

    第3章 質問紙調査によるレイシズムの解明 087
    3―1 研究4 レイシズムは2つに分けられるのか? 088
    3―1―1 問題と目的 088
    3―1―2 方法 090
    3―1―3 結果 093
    3―1―4 考察 097
    3―2 研究5 2つの“レイシズム”は“2つのレイシズム”か? 100
    3―2―1 問題と目的 101
    3―2―2 方法 107
    3―2―3 結果 108
    予測的妥当性と弁別的妥当性(人数推定課題)/矛盾する不満/価値観とレイシズム
    3―2―4 考察 115
    予測的妥当性と弁別的妥当性(人数推定課題)/矛盾する不満/価値観とレイシズム
    3―3 第3章のまとめ 118
    注 119

    第4章 インターネットの使用とレイシズムの強化 121
    4―1 研究6 インターネットの使用と右翼傾向に関係はあるのか? 122
    4―1―1 問題と目的 122
    二つの保守イデオロギー/メディアとイデオロギー、レイシズム/性差とイデオロギー
    4―1―2 方法 128
    回答者/質問紙
    4―1―3 結果 129
    相関/構造方程式分析
    4―1―4 考察 137
    インターネットと右翼傾向/他のメディアと右翼傾向/感情温度に対するイデオロギーの影響/レイシズムの性差におけるイデオロギーの役割
    4―2 研究7 インターネットの何がレイシズムに関わるのか? 144
    4―2―1 問題と目的 144
    4―2―2 方法 145
    4―2―3 結果 147
    4―2―4 考察 154
    使用目的別の分析/2ちゃんねると2ちゃんねるまとめブログ/インターネットのニュースサイトとレイシズム/TwitterとSNS/メールの使用
    4―3 第4章のまとめ 161
    注 162

    第5章 集団間接触によるレイシズムの低減 165
    5―1 研究8 友達、友達の友達の効果 165
    5―1―1 問題と目的 165
    5―1―2 方法 168
    5―1―3 結果 169
    5―1―4 考察 173

    第6章 全体考察 177
    6―1 本書の構成と研究結果 177

    6―2 在日コリアンに対するレイシズムの解明 179
    6―2―1 レイシズムの構造――古典的レイシズムと現代的レイシズム 179
    6―2―2 ソーシャル・メディアにおけるレイシズム 182
    6―2―3 インターネットの使用と右翼傾向 185
    6―2―4 レイシズム低減の可能性 189
    6―3 本書の意義 191
    6―4 本書の限界と今後の可能性 193
    6―4―1 研究サンプルの問題 193
    6―4―2 横断的調査の限界 194
    6―4―3 現代的レイシズム概念の応用的意義 195
    6―4―4 Twitter調査の方法論上の限界 196
    6―4―5 他の民族・人種集団との比較 197
    6―4―6 態度研究の限界 198
    注 198

    おわりに [201-204]
    あとがき [205-209]
    引用文献 [5-18]
    事項索引 [3-4]
    人名索引 [1-2]

  • 著者Twitter @Fumiaki_Taka
    https://twitter.com/Fumiaki_Taka/status/649082712335093761
    「"生々しい問題"を扱おうとしない日本の心理学に一石を投じたいと長年頑張ってきた、その最初の成果です」

  • 正体の見えづらい在日コリアンバッシングを分析した本。
    従来の人種差別とも共通点があるというのは意外だった。
    古典的レイシズムと現代的レイシズム、右翼的権威主義と社会支配指向の概念は知れてよかった。
    2chまとめブログはやっぱりクソだなと思った。

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著者プロフィール

社会心理学者。主たる研究テーマは偏見・ステレオタイプ・差別。特に在日韓国・朝鮮人に対するもの。東京大学大学院人文社会系研究科単位取得退学。博士(心理学)。現在、神奈川大学非常勤講師。著書に『レイシズムを解剖する』(勁草書房)、共著に『偏見や差別はなぜ起こる?』(ちとせプレス)など。

「2020年 『無意識のバイアス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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