社会科学のリサーチ・デザイン: 定性的研究における科学的推論

  • 勁草書房
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326301508

作品紹介・あらすじ

手にしうる事実からどれだけ多くの「わかること」を引き出すか。「社会科学者のように考える」うえで必要な問いの立て方や議論の進め方を教える、実践的方法論。

感想・レビュー・書評

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  • 今更ながらこの本を全部読んだ。
    本書は、社会科学の研究をする際にどのような事に気をつけるべきか、その哲学的な部分について書かれた本である。特に第一章と第二章はそのエッセンスが凝縮されているので必読である。第三章以降は基本的に統計の話であるが、実証的な研究をされない人や、数字を扱わないから読む必要がないと感じている人こそ読むべき章だと思う。というのも、第一に、本書の主たる主張であるが、定量的な研究も定性的な研究も、研究のスタイルの違いだけであって本質的な違いはなく、なおかつ実証的なお話は定性的な分析でも役立つため、学ぶ必要があると本書で主張している点、第二に、数字が苦手な人でも分かるような、なるべく事例を多く挙げて文章で統計の話をしている数少ない本である点が主な理由である(数式は確かに所々でてくるが、あれは文章で書いてあることを数式で表すとどのようになるかを書いてあるだけで、シカトしても全く問題ない)。
    敢えて難点を挙げるとするならば、本書のノーテーションはやや特殊である。例えば、第三章は小難しく何の話をしているかと言えば、要はRCT(ランダム化対照試行)のことである。このように、統計学などで一言でビシッとした名称があるものを、なんだか造語に近いような日本語で名称化されていて、そのまま擁護として覚えるのは危険である。もっとも、訳が悪いのか、原文が悪いのかはわからないが。
    しかしながら、やはり本書の肝は第一章と第二章であり、この本の7割の価値はここにある。社会科学を専攻する人間なら、この2章はなるべく読まれたいところ。

  • いわゆるアメリカ的な、公開性のある数字・データに基づいた研究を薦める本。
    科学性のある論文を書く上で、大切なポイントを再確認できた。

  • 理論をしっかりと検証するために、できるだけ多くの観察可能な含意に関係するデータを集めることである。
    あらゆるデータ収集において最も重要なルールは、そのデータが作成された方法とそのデータを入手した方法を明示することである。
    研究プロジェクトは現実の世界において重要な問いを立てるべきである。
    研究プロジェクトは現実の世界の一側面を実証的・科学的に説明する学会全体の能力を高めることによって特定の学問研究の発展に具体的に貢献しなければならない。

  • econometricsをある程度勉強した人間にとっては,あまり得るところはない.

  • 研究計画段階で、理論とデータをつなぐ観察可能な含意を列挙しておくこと。科学とは、明確な問に答えること。
    計量政治学や統計を専門とする著者らが書いた、定性的研究の教科書。タイトルのとおり、研究をデザインするときの考え方の枠組みが明快に書かれている。訳本だが、日本語が自然。

  • ・社会科学研究の中には、少なくとも研究者の主観的には科学的な推論作業を行っていると思い込んまれてしまっている例もある という痛い指摘が印象的でした。
    ・この主張では如何に事例の数を揃えるかが重視されているわけですけど、修論を書き始める前に、Small N研究の可能性をがっつり書いてある本を探したいです。

  • 国際政治経済学の大家、コヘーンや他の社会学者が書いたリサーチ・メソッドに関する本。正直、冒頭の所が一番わかりやすくて、当然のことかもしれないけど、核心部分だと思う。自分の研究の意義をこれで確認できたのは嬉しい。しかし、数式による説明は余計にわかりにくくしているんじゃねーか・・・。後半は数式による説明が益々多く展開される。正直本書は一回読んだだけでは内容の半分くらいしか理解できないと思った。それは数式が理由ではなく、経験的なものだと思う。論文を書いたり、より高度な研究をしたり、そうした必要性に迫られ悩んだ時に本書が役立つだろう。また細かい説明よりも箇条書き的な明瞭な説明の方が良いのではと数式などの理解に苦しんだ際に感じたが、前述のように本書は国際政治学の大家らによる著作なので、事例も政治学によって展開され、これは俺には理解しやすかった。国際政治学の視点からリサーチ・メソッドについて説明する書籍は少ないので価値はある。多分、研究に悩みながら再読すれば理解は高まると思う。

  • <シラバス掲載参考図書一覧は、図書館HPから確認できます>https://libipu.iwate-pu.ac.jp/drupal/ja/node/190

  • 東2法経図・6F指定:301.6A/Ki43s/Usui

  • 放送大学

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