- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784326550784
作品紹介・あらすじ
太古の昔から人類は生きるためにものを作り、使いつづけてきた。歴史学と経済学の知見を活用しつつ、この経済システムの時間的な流れを明らかにし、歴史のなかで登場した諸システムの特徴のメカニズムと変化のプロセスを追う「経済史学」――その定義、歴史と展望、そして成果をコンパクトに一望する、入門書の新しいスタンダード。
感想・レビュー・書評
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一般的な経済史的現象を経済学の分析ツールで分析した本。ツール自体はそんなに複雑なものを使わずに経済学部2年生程度の知識で充分。そういう意味では「入門」として読みやすい本だ。しかし、普通、経済史の講義ではあまりこうしたアプローチは取らない。たいてい「日本経済史」とか「西洋経済史」といった形で日本の経済発展史などを講じる場合が多いからだ。「一般経済史」とか「経済史総論」系の科目が減っていることもあるだろう。幸い、うちの大学は「経済史AB」という総論系科目があり、今年からに新カリでは「経済史総論AB」と位置付けがより明確になった。
個人的な事情から言えば、当面、「経済史総論AB」を担当する機会はないのだが、もしやるとしたらこの小田中さんの本などは大いに参考になる。ファミリービジネス(小農経営)の誕生などを消費者行動理論を用いて説明するなど、結構、面白い。産業革命の部分もちゃんとソローモデルで説明しているし。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『ライブ・経済学の歴史』『ライブ・合理的選択論』(ともに勁草書房)につづく、シリーズ第三弾です。シリーズのなかで、著者の専門に近い分野ということもあり、経済史という方法論についてもある程度立ち入った考察が展開されています。
経済学の考え方を用いて経済史上の重要な事例を解き明かすという方針で、解説がおこなわれています。本書で著者は、歴史学と経済学のはざまに位置する経済史学という学問の特殊性に触れ、両者を架橋する試みが示されています。こうしたアプローチで人類史における経済の歴史を見なおすことのおもしろさを教えられました。
ただ、歴史学的な観点からの経済史の入門的解説を期待していた読者には、具体的な事実についての言及がすくないことに不満を感じるかもしれません。 -
東2法経図・開架 332.01A/O17r//K
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【書誌情報】
著者 小田中直樹
ジャンル 経済
ISBN 978-4-326-55078-4
出版年月 2017年3月
判型・頁数 四六判・248ページ
定価 本体2,500円+税
太古の昔から人類は生きるためにものを作り、使いつづけてきた。歴史学と経済学の知見を活用しつつ、この経済システムの時間的な流れを明らかにし、歴史のなかで登場した諸システムの特徴のメカニズムと変化のプロセスを追う「経済史学」――その定義、歴史と展望、そして成果をコンパクトに一望する、入門書の新しいスタンダード。
<http://www.keisoshobo.co.jp/book/b280721.html>
【目次】
はじめに [i-iv]
目次 [v-iii]
序章 ウォーミングアップ ──経済史学の定義と方法論 001
経済史学と歴史学(01)/経済史学と経済学(04)/方法論というアポリア(難問)(07)/帰納的方法と演繹的方法、個性記述科学と法則定立科学(11)/経済史学における分析手続(16)/本書におけるアプローチ(19)/読書案内(21)
第1章 狩猟採集経済 023
人類の曙(23)/生産者行動理論(26)/続・生産者行動理論(29)/コモンズの悲劇(33)/コモンズの悲劇をモデル化する(36)/生産性の停滞(42)/読書案内(45)
第2章 農耕革命 047
農耕革命と定住(47)/農耕革命をモデル化する(50)/狩猟採集経済のデメリットは解消されたか(55)/モラルエコノミー(61)/その後(66)/読書案内(70)
第3章 ファミリービジネス 073
ファミリービジネスの成立(73)/消費者行動理論(76)/続・消費者行動理論(81)/主体均衡論(85)/ファミリービジネスにおける意思決定(89)/低賃金の経済か、高賃金の経済か(93)/読書案内(96
第4章 資本主義 99
資本主義の成立(99)/労働市場のメカニズム(104)/資本主義の成長(109)/無制限労働供給モデル(113)/続・無制限労働供給モデル(116)/資本主義確立の条件(119)/読書案内(122)
第5章 小作制度と問屋制度 125
もうひとつの途(125)/生産管理機能のアウトソーシング(128)/小作制度をモデル化する(131)/続・小作制度をモデル化する(136)/問屋制度をモデル化する(140)/二つの途の分岐点(142)/読書案内(146)
第6章 産業革命 149
マルサスの罠(149)/ソローモデルを構築する(152)/ソローモデルを分析する(159)/ソローモデルの政策的含意(164)/イギリス産業革命(166)/日本の経験(171)/読書案内(173)
第7章 企業 175
企業の時代(175)/完全競争市場のメカニズム(179)/中小企業の意思決定(181)/第二次産業革命(184)/独占の成立(188)/独占企業の意思決定(192)/二〇世紀、そして現在(196)/読書案内(201)
終章 クーリングダウン ──経済史学の歴史 203
「学史」を学ぶ意義?(203)/経済史学の誕生(206)/経済史学の発展(210)/日本の経済史学(213)/経済史学の現在(217)/その先へ(220)/読書案内(222)
あとがき(二〇一六年秋 杜の都にて 小田中 直樹) [225-228]
文献リスト
索引