自由と保障―ベーシック・インカム論争

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制作 : 武川 正吾  菊地 英明 
  • 勁草書房 (2005年5月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326601851

自由と保障―ベーシック・インカム論争の感想・レビュー・書評

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  • 所得税を全員同率にして集めて
    基本所得として全員に同額配り直すと言う
    二重三重の事務コストの無駄とも思えるこの
    ベーシックインカム(BI)=基本収入システムが
    生産の歪んだ分配を是正する逆転の可能性を見つけてくれたのは
    トマスペインによる1969年の「人間の権利」から始まると言う

    BIには無駄な作業と思えるほかにも同額と言う平等性の視野の狭さなど
    依然として矛盾を残しているけれども
    現代社会が現状で選べる共生化へ向かう最大の効果を上げるだろう

    にもかかわらず二世紀半もの長い間に何度も政治の舞台に途上しながら
    表舞台に出れなかったのは無条件の分配が生み出す守備範囲の広さが故に
    成熟度の低い市民に受け入れられなかったことと
    政治家が打ち出す一つ一つの具体的政策と強く結び付けなかったからだろう

    そのオールラウンドと言う欠点が逆に八方塞がりの行き詰った混沌から
    抜け出すためにBIの単純さと守備範囲の広さが役立つことになる
    今後思想的に市民権の原理とも重なって本領を発揮できるかもしれない

    第一にBIは個人の自由を本質的に確保する
    個人がやりたいことを見付けて実行できるためには
    権利だけでなく実行可能な環境と手段を必要とする
    働き者(クレージー)は金品の所有(固定的空間)を重視できる
    そのために自由な時間を削ってでも稼ぐことに執着できる
    怠け者(レージー)は心の自由な時間を重視して
    誰はばかることなく自分の世界を構築できる

    これを私流に解釈するならば
    働くことつまり仕事を稼ぐことに限定した者は金品の所有を目的にして
    自分の人生を彩る時空間を費やせる
    働くことを自分のために活きることと考える者は人生を学ぶための冒険として
    未知との出会いと発見に戯れて楽しめる
    いずれにしてもBIは働き者と怠け者の間にあるあらゆる形の人生を創造して
    自由に選ぶことを可能にしてくれる

    第二にBIによって労働市場が柔軟化して幅の広い雇用の確保を可能にする
    訓練や学習のための期間やその費用を個人負担から除くことができる
    BIによってある程度の生活が保証されれば
    収入のために職種や条件を限定せずに自分に合った仕事を選べるし
    雇用する側もお互いの選択による実情に合った人と出会うことができる

    第三にBIによって税の徴収とその還元の間で起こる悪循環を減らすことができる
    複雑な税制と予算確保のあり方は差別と格差をつくりだす不透明さを培養する
    BIのシンプルさはそれを透明にしてくれる
    但しBIは手段であり道具であるから使う人間側の思想や生き方によって
    その使われ方が違ってくる
    人を苦しめる武器にすることもできるし平和利用することもできるから
    社会とその構成員の精神的成長をまたなければならない

    第四に生活の困窮によって起こる犯罪を激減することができる
    鍵のいらない暮らしは市民全員にとって幸福である

    第五にプライベートの侵害を激減させる
    お互いの対立関係が減れば秘密の必要もなくなり覗く意味もなくなり
    暴かれる怖さも減る
    従ってそうした職種も利害関係もゲームも世の中から一掃されるだろう

    一律の所得税率と一律の還元である故にタダ乗りの危険性を取り上げて
    BIそのものの是非を問う人がいりけれども
    この透明性の中での個人の判断を一つの価値観に当てはめた善悪で
    評価すること自体に問題があるだろうし
    現状の不透明なシステムに隠れてどれだけの不正が
    意識的に行われているかを考えれば無いに等しいのではないだろうか

    第五に税務の単純化によって管理の煩雑さが減り
    どれだけの納得が得られるかを考え併せると
    市民がどれだけ豊かな心を取り戻せるか
    計り知れないものがあるのではないかと思わざる負えない

  • BI論、必読本、なのかな。

  • ベーシック・インカムって、全貌を理解しようと思うと難しいと再確認。

    ベーシックインカムの定義:市民権を持つ個人に対して無条件に与えられる所得

    議論は大きく3つの側面がある。
    1)経済学点側面~実行可能か~
    2)政治学的側面~政治的支持を得られるか~
    3)哲学的側面~望ましいのか~

    ごちゃごちゃした議論がこれで若干整理できた。が。話を難しくしすぎると一気に頭がパンクしそうなのは変わりない。

  • 図書館

  • 未読

  • 原タイトル:Freedom and security : an introduction to the basic income debate

  • こんな考え方があるんだ!!
    って驚いた本です。
    斬新で好奇心が喚起された。

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自由と保障―ベーシック・インカム論争の作品紹介

経済と福祉をトレードオフさせず、自由と保障の両立をめざす「基本所得」構想の社会哲学。市民権に基づく個人の権利として、属性や地位に関わりなく、誰にでも無条件に支払われる「ベーシック・インカム」。財政面からも倫理面からも批判が強まっている「保険と扶助」型の社会保障に変わりうるものとして注目されるこの構想を、自由至上主義、社会民主主義、フェミニズム、エコロジズムなどの立場とクロスさせ、それはどこまで支持され実現可能なのかを丁寧に描く。

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