ちょっと気になる社会保障 増補版

著者 :
  • 勁草書房
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本棚登録 : 80
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326700967

作品紹介・あらすじ

画期的入門書として話題をよんだ第1版に厚労省所得再分配調査等、社会保障にかかわるデータを最新のものに更新するほかあらたな「知識補給」を加えて構成した第2版。少子高齢化の進行により改革が迫られる日本の社会保障制度の現状をどのように把握し、未来をどのように設計すべきか。正しくデータを把握し、論理的に考えるために。

感想・レビュー・書評

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  • 社会保障(年金・医療)と民間保険や生活保護との比較、税:救貧から社会保険:防貧への流れや社会保険方式のメリットなど大変丁寧に説明されている。
    特定の人を信じすぎるのは良くないが、こういう方が社会保障改革の中心にいて良かったと思えた。
    社会保障、特に年金への世間の批判、著者曰く誤解や「憎悪」については、自分も例えば普通に考えて積立方式の方が公平なのでは?とか思っていたが、そう単純ではないようだ。
    「問題は賦課方式で税金を投入することではなく、その税金を赤字国債で賄っていること」とはもっともだが、現時点ではそこがイコールになっていることが年金の一番の問題のように感じた。
    世間で言われる問題がそもそも問題ではない(ことも多い)こと、改善すべき点は改善に向かっているがまだまだ前途多難なこと、大事なのは将来にわたり高齢者を貧困から守ることで、そのためには社会保障への正しい理解が不可欠であることなど、多くの人に知ってほしい内容だった。
    が、誰にでも読みやすい本でもないのが悩ましいところ。

  • 支える人数、福祉国家三類型、生涯社会保障給付

  • ざっと読んだが、とても2週間で読破できるレベルではないということだけはわかった。
    必要になったら購入することにして返却する。

  • 364||Ke

  • 財源(不足)論に踊らされないで社会保障の本質を見つめるには打ってつけの良書。ざっくばらんな語り口で鋭く切り込む著者の姿は痛快ですらある。

  • おもしろい!年金の捉え方(Output is central)、世代間格差や賦課方式のネガティヴイメージ問題など、気になるところが網羅されていて、新しい考え方に脳が楽しんでいるのがわかる。少し難しいところも、著者ならではのくだけた語り口で説明してくれるので、どんどん読めてしまいます。

  • 増補版ではないものを読んだ。
    社会保障特に年金に興味も持ち読んだ。語り調で読みやすい。が、内容はこってり。最後の方は医療・介護の話。
    年金は将来の退職世代に「将来の生産物に対する請求権」を事前に約束しておく公的な取り決め。生産物こそが重要(Output is central)
    扶養の社会化(勤労期に高齢期を扶養が、家族から国民全体へ社会化)さらに子育て費用の社会化が期待
    年金 積立方式でも賦課方式でも少子高齢化の影響は受ける。
    生産物は積立られないため、どのような分配手段でも、現役世代が生み出した付加価値を、現役世代と高齢者が分け合う構造は変わらない。高齢者の取り分は増す。
    生産性が変わらなければ、生産物の合計は少なくなる。パイの縮小
    債券・株で蓄えた請求権も、現金化の際、金融市場で調整(現役世代からは資産に対する需要小)。高齢者向け、財・サービスに超過需要が発生すれば物価で調整(購買力の低下)
    1万円は100万円分で1cm、1兆円で10km
    年金は保険。「長生きリスク」のヘッジ
    公的年金 世代間格差は当然に発生する。
    老親の扶養費用 社会化・保険化の過程は世代をおって順次拡大。
    不確実性がある現実社会で「引退直前前数年の賃金支払額にリンク」しながら「死亡時までの所得保障がある」制度 設計・運営は困難。不確実性による世代間不公平の発生もありうる。

  • 分かりやすく、個人的には大きな気づきのある本だった、、、!

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著者プロフィール

慶應義塾大学商学部教授 博士(商学)
1962年福岡県生まれ。1985年慶應義塾大学商学部卒業、1990年同大学院商学研究科博士課程修了。嘉悦女子短期大学専任講師、慶應義塾大学商学部助手、同助教授を経て、2002年より現職。この間、1996年~1998年ケンブリッジ大学経済学部訪問研究員、2005年ケンブリッジ大学ダウニングカレッジ訪問研究員。
公務では、社会保障審議会、社会保障国民会議、社会保障制度改革国民会議、社会保障制度改革推進会議の委員や社会保障の教育推進に関する検討会の座長など、他にもいくつか引き受けたり、いくつかの依頼を断ったり、また、途中で辞めたり。
主要業績に、『医療介護の一体改革と財政 ―― 再分配政策の政治経済学Ⅵ』(2015年)、『社会保障の政策転換 ―― 再分配政策の政治経済学Ⅴ』(2009年)、『医療政策は選挙で変える ―― 再分配政策の政治経済学Ⅳ[増補版]』(2007年〔初版2007年〕)、『医療年金問題の考え方 ―― 再分配政策の政治経済学Ⅲ』(2006年)、『年金改革と積極的社会保障政策 ―― 再分配政策の政治経済学Ⅱ』(2004年、労働関係図書優秀賞)、『再分配政策の政治経済学Ⅰ ―― 日本の社会保障と医療[第2版]』(2005年〔初版2001年、義塾賞〕)(以上、慶應義塾大学出版会)、『医療経済学の基礎理論と論点(講座 医療経済・政策学 第1巻』(共著、勁草書房、2006年)、翻訳としてV. R. フュックス著『保健医療政策の将来』(共訳、勁草書房、1995年)などがある。

「2016年 『年金、民主主義、経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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