英語のあや

  • 研究社
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784327490218

作品紹介・あらすじ

日本人が書く英語に滲み出る"味"とは?ネイティブ・スピーカーの限界とは?外国語教育論争は二百年前から進歩していない?外国語能力のリアルな経済価値とは?日本語に堪能で、翻訳や辞書編集を通して"日本人の英語"を見つめてきた米国人が、二つの言語の狭間で発見したことを綴る。

感想・レビュー・書評

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  • おすすめ資料 第176回 (2013.2.15)
     
    「言葉」がいかに揺れ動くものであるか。
    著者は答えのない問いを投げかけることを楽しんでいます。

    言葉や辞書、そしてもちろん英語(と日本語)に興味を持つ人は、その問いを楽しめるでしょう。

    ただし、第II部は実用的です。
    冠詞の使い方や英語の依頼表現などについての考え方を説明しています。
    これが非常に腑に落ちるのです。

  • 日本人が英語を書く際、どうしても日本語っぽさ、言い換えれば「日本語の味」が英語の中に出てきてしまいます。本書では、長年にわたり日本人の英語を見てきた著者が、英語の中にあらわれる「日本語の味」をうまく取り除き、英語らしい英語を書く方法を紹介しています。
    例えば、日本人がよく使う「など」と、その英訳として考えられている”and so on”が取り上げられています。「など」は例えば「その事は国会などで問題になった」のように、国会以外の指示対象(マスコミや都道府県議会)が具体的に想像できない曖昧な場合であっても問題なく使えます。一方、「など」を”and so on”を使って訳した英語 “That matter became an issue in the Diet and so on.”は英語として不自然になります。”and so on”は読者が”the Diet”と同類のものを具体的に推測できる文脈でなければならないからです。「など」と同じ感覚で”and so on”を使ってはいけないことがわかります。
    この他にも、冠詞の使用方法や英語らしい単語の並べ方など、英語らしい英語を書く上で日本人が気を付けなければならない情報が豊富に盛り込まれています。英語で論文を書く機会がある方にとって、とても参考になる一冊と言えます。
    (ラーニング・アドバイザー/人社 IKARASHI)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1396825

  • わずか160ページの一文一文から匂い立つような知への探求心が感じられた。生涯の大部分を「言葉」と誠実に格闘してきたのだということが文章からにじみ出ており、敬服の外はない。普通の日本人でも書けない美しく読みやすい日本語で綴られている。著者にはぜひ『日本語のあや』を教わりたい。

  • [図書館]
    読了:2011/12/14

    so-called が使われる場合、書き手は修飾される名詞に対して、疑念・軽蔑などの気持ちを持っているとのこと。初めて知った。

    そういえば、DUO3.0での使われ方も、ずっと中立的なものだと思っていたが、よく読み返すと確かに "gene therapy" に良くない思いを抱いている書き方だった!
    (On ethical grounds, they are opposed to so-called gene therapy.)。

    英英辞典を引くと、
    ・Longmanでは、"used to describe someone or something that has been given a name that you think is wrong"
    ・Dictionary.com では "incorrectly called or styled thus" と、
    きちんと書いてある。

    関係代名詞と冠詞の共通点。Grammar in Use の制限用法、非制限用法の解説と一致していて、なるほど、そういうことか、と思った


    p. 110 「言葉の習得コスト(教材、学校、留学)が言葉から得られる価値を超えたら、損をすることになる。」

    考えたこともなかったなぁ・・・。コストと利益の関係を考えてなかったという意味ではなく、「言葉から利益を得る」って考え方自体が。

    p. 81 unlookables
    ・This isn't a movie movie.
    「これは映画らしい映画じゃないんだ」
    ・Now what am I going to do as a job job?
    「さて、仕事らしい仕事として何をしようか」

    辞書には、movie movieも、job jobも載っていない。

    p. 127 連続コンマについて
    ・cities, towns, and villages
    の towns の後に来るコンマのこと。作者は昔コンマ挿入を繰り返すのが正しいと信じていた。

  • 【目次】
    I 日本語の味、英語の味――文体、文法、そして作文指導
    II 科学英語から考える
    (コミュニケーションの基本として、相手が何を知っているかを考慮する/the は相手が知っていることを表す/冠詞と関係節/「相手が知っているかどうか」で変わる情報の流れ/科学英語の書き言葉と話し言葉/英語での口頭発表の準備/同じに見えても同じではない英語と日本語/英語らしい英語を書くコツ/相手を配慮した英語表現)
    III 言語の狭間で考える
    (1) 言葉の蹉跌(失敗へのこだわり/辞書の失敗/意味の流れ/言葉の海に溺れて)
    (2) 言葉の価値(馬鹿の言葉/言葉のコスト/言葉不況/ 怒りの言葉/上機嫌な起源)
    (3) 言葉の綾(飾り気のない言葉/歩道の上にも)
    など
    “日本人の英語”から見えてくる言葉の真実
    日本人が書く英語に固有の味とは?
    外国語能力のリアルな経済価値は?
    最近の外国語教育論争の争点は、実は二百年も昔からのもの?
    ネイティブ・スピーカーの限界とは?
    日本人が犯しやすい英語の間違いとは?
    言語は失敗でこそ学べる?

    日本語に堪能で、翻訳や辞書編集に長年携わり、“日本人の英語”を見つめてきた米国人が、二つの言語の狭間でこそ知り得た、外国語学習の機微。
    内容(「BOOK」データベースより)
    日本人が書く英語に滲み出る“味”とは?ネイティブ・スピーカーの限界とは?外国語教育論争は二百年前から進歩していない?外国語能力のリアルな経済価値とは?日本語に堪能で、翻訳や辞書編集を通して“日本人の英語”を見つめてきた米国人が、二つの言語の狭間で発見したことを綴る。

  • 2011/ 1/20fin
    前半の冠詞の話などは面白いが中盤以降はつまらない(ほとんど読まなかった)

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著者プロフィール

東京大学教養学部附属教養教育開発機構特任准教授

「2012年 『プロフェッショナル・ディべロップメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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