- Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
- / ISBN・EAN: 9784327761448
感想・レビュー・書評
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駿台予備校の人気講師だった伊藤和夫の主著です。
悪しき受験英語の典型として名指しで批判されることも多い本ですが、著者自身「はしがき」の中で、「訳読中心の学習法を批判することは戦後の流行である」が、批判者たちは訳読に替わる方法を提出していないと反論しています。そして、「英語で読んで英語で考える」と言われるときに、その人の頭の中でおこなわれている理解の仕方を、ていねいに分析・解説したのが本書であって、その意味では「直読直解への具体的な1つの方法の提示」だとさえ述べています。
ただ、そうした頭の働かせ方を実地に身に着けるためには、やはり多読が必要なのであって、著者自身も「あとがき」で、本書を読み終えた後に「原書を読む道」へと進むべきだと述べています。そして、「本書の説く思考法が諸君の無意識の世界に完全に沈み、諸君が本書のことを忘れ去ることができたとき、「直読直解」の理想は達成されたのであり、本書は諸君のための役割を果たし終えたこととなるであろう」と書かれています。
内容に関しては、受験英語にしてはかなり手ごたえのある文章が並んでいます。ただ、修飾関係についての解説などは、やや煩瑣な分類に陥っていると思えるところもありました。コンパクトな解説で、文章の構造について理解できるように導いてくれるという意味では、原仙作の『英文標準問題精講』(旺文社)の方に分があるのではないかという気がします。 -
随分昔のことになりますが、田舎の高校生であった私は、英文読解の論理的な読み方など露も知らず、ひたすら感覚的に読んでいました。当然のこととして、複雑な文章に出くわすと文意がはっきりとは理解できないので、とりあえず理解できるフレーズをあれこれつなぎ直してみて、日本語としてしっくりくるものを選びだすといったようなことをしていました。高校2年生の終わり頃に、本書を読み始めた時は、論理的に読むというのはこういうことであったのか、と蒙を啓かれる思いがしたものです。その後、日常的に英語を読んだり書いたりしなければならない職業についたのですが、なんとかやってこられているのも本書での勉強が基礎となっているのだと感じています。