上越新幹線物語1979―中山トンネルスピードダウンの謎 (交通新聞社新書)

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著者 : 北川修三
  • 交通新聞社 (2010年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784330145105

上越新幹線物語1979―中山トンネルスピードダウンの謎 (交通新聞社新書)の感想・レビュー・書評

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  • 上越新幹線は東北新幹線に遅れること五か月、1982(昭和57)年11月に開業しました。本来なら同時開業の予定だつたのですが、種々の理由からそれは叶はなかつたのです。
    この両新幹線は、常に「東北・上越」の順番に呼ばれ、何かと上越は東北の陰に隠れて不遇な扱ひを受けてきたと存じます。せめて開業は同時にしたかつたでせう。それを妨げた「種々の理由」のひとつが、本書で語られる「中山トンネル」であります。

    本書『上越新幹線物語1979』の著者・北川修三氏は、鉄建公団の技術者として中山トンネルの工事に大いに関はつた人。中山トンネルとは、高崎駅と上毛高原駅の間にあり、小野子山と子持山の間をすり抜けるやうに掘られたトンネルであります。総延長は14,830メートルで、一万メートル級のトンネルが珍しくない現在、特段長い部類ではありません(まあ長いけど)。しかしその名を知らしめたのは、その長さではなく、史上稀に見る難工事ぶりで、二度にわたる大水没、それに伴ふルート変更などで、結局工期が伸びてしまつたのでした。
    しかも単なるルート変更ではなく、二度目の変更はやむなく規定を超える半径曲線が生じてしまつた。それゆゑ、本来時速240キロで走り抜ける筈のトンネル内を、時速160キロに減速しなければならぬ箇所が発生したのであります。トンネル屋としては、真に悔しいことでせう。しかし本書を読めば、「その程度の変更でよくぞ開通したな」と感嘆するところです。

    著者によると、上越新幹線の基本計画が決定したのが1971(昭和46)年の1月、建設開始は同年10月だと言ひます。素人目には、そんなに短い準備期間で大丈夫かと思ふところですが、実際短すぎたやうです。地質調査など十分な時間が取れず、結局工事の工程に禍根を残す事になつたと。東海道新幹線がわづか五年の建設期間で開業したのが、却つて後続の新幹線計画に悪影響を与へたのでせうか。

    著者は自らの記憶と経験から本書をまとめました。当時の関係者などに特に取材などしなかつたさうです。本来なら「手抜きぢやないのか」とでも言はれさうなところですが、著者はノンフィクションライターではなく、当事者そのものであります。本来なら専門のライターが取材をする対象ご本人が執筆するのだから、それでいいのでせう。お陰で臨場感あふれる一冊となりました。水没しさうなエレベーターから危機一髪脱出する話などは、まるで映画みたいです。
    また、地元の人たちとの折衝は重要な仕事でした。著者は自らは加害者であるといふ立場を崩さず対応したため、地元と険悪になることなく(小さなトラブルは色々あつたやうですが)、良好な関係を築いたといふことです。

    本書が世に出なければ、恐らく埋もれたままの事実が多くあつたことでせう。労作でありますが、表題(書名)の付け方に問題があるのでは。本書は徹頭徹尾中山トンネルの工事に終始してゐます。しかも北川修三氏個人の視点から述べられてゐますので、上越新幹線の歴史を客観的に俯瞰した内容を期待して手にした人は、肩透かしを喰らふのでは。そこだけが心配と申せませう。
    デハデハ。また逢ふ日まで。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-691.html

  • 上越新幹線の中山トンネルの建設にかかわった本人による、苦労と達成の物語。
    新幹線の車窓から、景色は見てもトンネルは見ないので…こんな苦労があったなんて思いもよらなかった。
    のちに振り返ったときに、「あの時の仕事は思い出深いなぁ。」なんて思えるような仕事ができたら、幸せだと思いました。

  • 1982年開業の上越新幹線は、比較的新しい路線なので線形がよく、ほとんどの区間で200km/h以上の速度で運転されている。その上越新幹線、高崎~上毛高原間の中山トンネルという約15㎞ほどのトンネルの中で、160km/h制限の小半径S字カーブが存在する(地図でも確認できる)。掘削中に遭遇した未固結透水性地層を直線で突破できず、やむなく挿入されたカーブである。そして、このトンネルの完成遅れによって、当時国鉄が意図した東北・上越新幹線同時開業が断念された。先の本で紹介した鍋立山トンネルに匹敵する難工事とされている。

    著者は、トンネル工事の国鉄側工事責任者であり、本書では、トンネル工事の技術的な説明のほか、国鉄内部の事情、地元対策、中山トンネル工事がその後のトンネル設計に与えた影響など、幅広い説明が与えられている。特に、二度にわたる大規模なトンネル水没事故に関しては、人命に関わる事柄でもあり、迫真の筆致で描かれている。

    最近、仕事で上越新幹線を使うようになった。このトンネルを通過するときには、スピードダウンとカーブを感じ、先人の苦労に報いたいと思う。

  • 上越新幹線の建設の中でも屈指の難工事だった中山トンネル建設にまつわるノンフィクション。
    当事者だった著者の目から見た実際の工事状況が克明に記されている。
    上越新幹線をかなり利用しているので、この人たちのおかげなんだなあと感謝せずにいられない。

  • 上越新幹線屈指の難工事箇所「中山トンネル」の壮絶な工事の記録。 設計、立坑の失敗、2度にわたる水没、前代未聞のボーリング工事、減速を伴うルート変更という苦渋の決断と、完成に向けて尽力した関係者達の記録。

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上越新幹線物語1979―中山トンネルスピードダウンの謎 (交通新聞社新書)の作品紹介

上越新幹線は東北新幹線と同時開業する予定だった。しかし建設中の1979年、群馬県内の高崎駅〜上毛高原駅間にある全長1万4830メートルの中山トンネル内で、日本トンネル建設史上最悪といわれる出来事が発生。その結果、開業は大幅に遅れ、さらには高速の新幹線がスピードダウンせざるを得ない半径1500メートルのカーブがトンネル内に残された。当時の建設担当者が語り残す苦闘と真実のドキュメント。

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