- Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
- / ISBN・EAN: 9784331059692
作品紹介・あらすじ
慣行農業が主流のY県大沼村で、有機農業を始めた木村春菜と小原和也。ひそかに惹かれ合う若いふたりは、山奥で暮らすテツジンなる謎のじーさんのもとで修行し、本当に美味い野菜をつくることについに成功。一方、農業生産法人アグリコジャパンの部長で、村中で美人と評判の上田理保子は近代農業で大沼村を再生させようと、アグリパークなる計画を立てていた。経営効率の悪い有機農業を理解できなかった理保子は、春菜と和也の作った野菜の味に感動する。近代農業と古き良き農業、共存共栄への道が拓かれていく-。挑戦することへの興奮を教えてくれる著者渾身の長編小説。
感想・レビュー・書評
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農業シリーズの一つかな。
いろいろあったけど最後は上手く終わる。
よくあるパターンですね。
設定が農業だけで目新しくないです。
でも面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
東日本フーズでの権力闘争に負けた上司に巻き添えをくらった上田理保子は、地方農業法人アグリコジャパンに出向させられた。そこで、農業会社を運営する。オランダの高収量のトマト生産を本社に提案するが、損益計算が甘いと却下される。農業会社のノウハウを生かして、新規参入企業をサポートするアグリパークを作るという。ふーむ。企業が参入するというのは、食品会社であれば、なんとかなるかもしれないが、なぜ農業に参入するのかの位置づけがいるだろう。農地を確保できることで、不動産業を企むというのがオチかもしれない。
有機農業をやりたいという亡夫の遺志を継いだ木村春菜。有機農業については、あまり知らないが、まだら認知症の義母が、スイッチがはいった時に、有機農業の指導をする。何をしていいのか?わからない和也は、春菜に巻き込まれ、有機農業に突き進んでいく。有機農業だから美味しいわけでもない。また、虫が多いのは窒素過剰である証拠でもある。
自然農法のおじいさんに宇宙と繋がるということを聞いて、有機肥料だからたくさんやればいいというわけではないのだと理解する。
1年もしないうちに、美味しい野菜ができちゃうには、出来過ぎだ。
有機農法の説明が、こなれている。
「人間は植物なしには生きられないけど、植物は人間なしでも生きられる。なぜなら、植物は、自分で無機物から有機物を合成できるから。「動物、植物を問わず、生物が生命を維持するためには、有機物が不可欠である」植物や動物が死ぬと、体を構成していた有機物は、速やかに無機物に分解される。つまり、朽ち果てる。その役割を担っているのが分解者である。」「植物の栄養である二酸化炭素や無機塩は、分解者が生み出す」
慣行農法は、人間が主役で、人間が野菜を支配する農法。有機農法は野菜が生育するのを人間が手助けしてやる農法。あくまでも、主役は野菜である。野菜に寄り添わなきゃ、うまい野菜は育たない。 -
農業の良いところ
イマイチなところ
なんとなく わかるようになる1冊
農業、農家等などが 抱えている問題を 割とわかりやすく
でも 本として面白く読めました。
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日本の農業の未来の縮図のような、地方を舞台にしたお話
貿易自由化による外国との競争、機械化&管理によるオートメーション化
企業の参入、高齢化、後継者不足、新参者へのいやがせ
慣行農業と有機農業、さらに、なんちゃって有機農業とか
色々なテーマをぶっこんできたなぁ
この辺のテーマは限界集落~の方で片付いたと思ってたが・・・
まぁ、個人的な考えとしては、どんなことでもやりたきゃやればいいし、買いたきゃ買えばいい
要は多様性がある状態が望ましい
農家の立場でも消費者の立場でもそれぞれ自分の裁量で選べる環境が整っている事が大事
この方法が一番いいからといって偏ってしまうのが一番悪い
あと食品廃棄の問題もさらっと出てきてたけど、主に捨ててるのは外食産業なんだよなぁ
日本人のライフスタイルというか、食品の安全管理とか、流通システムとかその辺も含めて解決しないといけないところだよね -
同氏の本を最近立て続けに読んだが、いずれもセリフがセリフ然としすぎている気がする。
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農家とアグリコの関係性、有機栽培の努力は素敵ってなったけど、読み終わった後に残ったのは農地を転用して利益を得ようとしてた奴らの悪どさと嫌悪感。
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以前、限界集落株式会社を読んでいたので、きっと面白いだろうと読んでみたら、やはりなかなか面白かった。
現在、日本の農業が抱える問題とその解決方法の考え方をしっかりと押さえており、さすがによく準備して書いてあるなと思う。決して適当なことや誤ったことは書かれていない。
有機農法もかなり広まってきているとは思うが、いい加減、見せかけ、あるいは間違った有機農法もあると思っている。また、合理化、大規模化、集約化は簡単に否定できないし、トマトなど、作物によっては成功する場合もあると思う。そのどちらもよい悪いを頭ごなしに決めつけていないところもよかったと思う。
農家を食い物にしようとする悪だくみもうまく絡ませて、農業の抱える問題をうまくストーリーにのせて、面白い、読ませるエンターテインメントに仕立ててあると思う。 -
三年後には 高橋社長(女性)が誕生しているんでしょうか。
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まーちさんの詳細なレポを読んで
興味を持った本のうちの一冊ですが、
農業の教科書のような感じで、いい勉強になりました。
慣行農業が主流のY県大沼村で
革命をおこすかのように、
有機農業を始めた木村春菜と小原和也。
当然、周りの農家の反発や意地悪も発生します。
亡き夫の意志を継ぐけなげな未亡人春菜。
なりゆき上、共同作業をするはめになっていた和也も
いつしか春菜に心惹かれ恋心を抱くようになりました。
そんなとき、
農業生産法人の部長・上田理保子が村にやって来ます。
地元農家と農業に進出しようする企業とを結びつけて
産業をおこそうとする企画を持つ理保子は、
能率の悪い有機農業をする春菜たちと対立をしますが、
会社側の裏の計画を知り、
やがて春菜たちの計画の理解者となっていきます・・・。
閉鎖的な村で新しい試みをしようとするとどうなるのか。
本当に革命を起こすような決意と覚悟がないと
出来ないものなのでしょう。
それでも自分たちのスタイルを守り通していく
春菜と和也に拍手を送りたくなります。
今日本の農業はこんな問題を抱えているのかと
目が覚める思いでした。
現実にはこんなにうまく話は行かないと思いますが、
それでもこの作品のような
明るい農業の未来を願いたいです。