東井義雄「いのち」の教え

著者 :
  • 佼成出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784333015719

作品紹介・あらすじ

せっかく生まれた「いのち」なら、光り輝いて生きていきたい。
キラキラ光る多くの人の「いのち」の光を見ていこうと願い、55年の教育者生活を貫いてきた著者の生命の尊厳に根づいた教育エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • ハウトゥー本ばっかり最近読んでいる気がした。それでいくと、この本は、それ以前の心を養うものというように伝わってくる。

    もともとが婦人誌に載せるために書かれたものなので、世の のお母さんに向けて書いある。さらに時代が少し古いものなので、男性と女性は違うと言うことがちょっと耳障りにも聞こえる。その辺は、時代に合わせた自分なりの読み替えが必要なのかなぁと感じた。



  • ●「村を育てる学力/東井義雄」(明治図書)

    「ほんもの」がキーワード。子どもの命に触れるといった記述も多くあり、本気で向き合うからこそ教育になるというメッセージが込められているのだと感じた。著者がダメだと分かっていながらもつい叱ってしまう、声を荒げてしまう…といった失敗談も書かれており、親近感を感じた。
    また60年以上前から「自分ごと」の意識が大切にされていると知り驚いた。現代でも、主体性は重要視されてあることであり、通ずるものがある。
    ここに教育の深みの面白さがある。

    ・村を育てる学力とは、根底に「愛」の支えがないといけない。「愛」とは、「わしのもの」意識のこと。幸せを築く力になる。

    ・昔は長男は学校に行かせず百姓にするのが一般的であった。→学校の軽視。非生産的ループ。

    ・当時の日本の一人当たりの支える人数は1人に対し、外国は35人ほどのところもあり、日本の非効率さが伺える。→体でなく頭を使う大切さ。

    ・「教える教育」には限界あり

    ・子どもの「いのち」=ピチピチ、伸びたがり、太りたがり、喋りたがり、勉強したがり、えらくなりたがる+仲間意識

    ・学習帳の可能性大!

  •  講演会に参加した際に東井義雄先生のことを知り、本を読むことにした。
     人は意識したものを目で見ているというところが特に印象に残った。×じゃなくて、⚪︎を見るようにするように意識すること。
     大人の発言で子どもの伸びたい気持ちを摘み取ってしまうのは、残念でならない。
     子どもたちの伸びたい学びたい気持ちを大切にして向き合っていきたい。

  • 本書を読み、教育者として2点のことを大事にしたいと思った。それは、解説に井上先生が書かれていることに、つながるのだが、一つ目は、子どもの痛みを想像することである。(ともに悲しむ)。本書に出てくる、悪い子になりたい子なんかひとりもいない。という言葉。現場にいると、子どもたちは「よくなりたい」と、願ってやまないことはひしひしと伝わってくる。その実体験とこの言葉が繋がった。悪いことをしてしまう子、何かを堪えている子の痛みを想像して、寄り添い、よくなりたい!!の力を増大させれる教育者でありたいと思った。
    二つ目は、子どもの何ができるかを大切にする教師になりたい。本書は母親に向けて投げかけられた言葉が多いが、それを教育者に変えて考えると全て自分にも当てはまる。子どものできないことよりもできることに注目してやりたい。そういった心が、「人としての通信簿」の章に書かれている悲しい事実を減らすことに繋がるのだと信じて止まない。
    そんなことを考えさせていただいた、良書であった。

  • 最後の日記は胸がつまるとともに、当たり前の日常が改めて尊いと感じる。良本。

  • ”東井義雄さんが月刊婦人誌マミールで連載していた文章をまとめたもの。

    巻末に収められた「最後の日記」にこめられた想いがヒシヒシと伝わる。
    (亡くなる一週間前まで書かれていたもの)


    <キーフレーズ>
    ・「吹雪の中の父に負けてはならぬと、僕は勉強を続けた」
    ★八木橋雄次郎さんの詩「通信簿」
     その潔白と信義と新設とは
     人間として生きていくための至上のものだ
     それなのに
     おまえの通信簿のどこに
     そのことが記載されているというのだ
    ・祝出発の親心(p.56)
    ★親や教師は、子どもに知識を与えようとあせりがちだが、何がほんとうであるかを、追求する態度を育てることのほうが、もっと大切ではないだろうか(p.63)※保母さんの記録から
    ★そのとき、背広のままプールに飛び込んだ人がありました。(略)校長先生でした。(p.128-129)
    ・小さい勇気をこそ(p142-)
    ★七十九歳の誕生日を迎えさせていただいた
     これまで
     誕生日を迎えても
     別に大した感慨をもち得なかった私だが
     ようこそ ようこそ
     こんな年まで生きさせていただいたことだと思う
     (略)
     ここに寺を開き
     守りぬいてきた父親たちのことを思うと
     せめていのちをいただいて
     この寺のゆき先を見守り 私の責任を果たし終えるまで
     もうしばらく
     何とかいのちをいただきたい思いを禁じ得ない(p.171)
    ・兵庫県立八鹿町立八鹿小学校 校長のバトン(東井義雄先生→井上和昌さん)

    <きっかけ>
    ・人間塾 課題本(不参加)”

  • 教師や親など、子供の教育者に向けて書かれたであろう本。著者の暖かな眼差しを感じる。教育者ではない自分も、このような親の思いがあったのかと胸が熱くなる。

  • 教員を10年もしていながら、東井義雄氏の著作物を読むのは初めてであった。
    教員としていろいろなことを考えてきたつもりだったが、目の前のことを教えるのに精一杯で、確かに教えたかもしれないが、育てることができていたのかと自問自答する。
    授業をする、指導をする、働きかけをするという以前に、同じ場所にいる大人として、教員として子どもの存在を輝かせるような教育をしていきたい。
    それは、自分の見方を変えることからだと思う。
    子どもの作文の紹介をしながら、子どもの内面、変容に重きを置いた書きであるが、子どもの周囲の環境は変わっても、内面は大きく変わらないように思う。
    例え変わっていたとしても、「子どもが変わった」と言い訳をしないようにしたい。

  • 引用している作文自体、ずいぶん昔のものだと思うが、子供の素直な声が聞こえてくる。
    この本の伝えたいこととは離れるかもしれないが、そんな素直な声を表現できる子供、それを育ててきた先生方がすばらしいと思った。
    いま、現場は忙しく、いろんなことを省略したり、諦めたりしなければならなくなっている。
    こんな時代でも忘れてはならないことをこの本は伝えていると思う。

    心に残った言葉↓

    口よりも耳を大切に

    聞いた上にも聞くことに努める

    一方的に聞くのでなく、その真反対の声もよくよく聞く

    ことばにならないことば、声にならない声をもよくよく聞く

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