- Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334032081
作品紹介・あらすじ
本書は、現代言語学の方法を決定したスイスの偉大な言語学者フェルディナン・ド・ソシュールの学説を、できるだけ具体的にわかりやすく解説したものです。特に、私たち人間が、コトバを使ってどうしてコミュニケーションができるのかという、ソシュールが解明したかった問題を中心にしながら、コトバの本質的なしくみを探っていくことを目標にしています。
感想・レビュー・書評
-
人間の性質から言語とはどういうものか説明しているところが面白かった。 人間の記憶力には限界がある。しかし、表現したいこと(事柄)は無限に存在する。無限にある事柄を1対1対応で記号(言葉)を割り振っていたら、無限の記号が必要になる。それを回避するために、有限の単語が生まれ、それを組み合わせて表現する過程で規則が生まれ、無限の事柄を表現できるようになった。 単語は、有限であるため具体的なものを包括的に表現する必要があり、抽象的で体系を持つようになった。事柄は無限であるため、言語に構造が生まれた。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読みづらい。言語学者にあるまじきとは思うが、多くの言語学者のいわゆる初心者向けの入門書はその多くが読みづらいし、つまらない。金川欣二くらいだ。この人のは面白すぎるのだが。
ソシュールが比較言語学へ失望したあげくアナグラムに没頭したエピソードなどは、まともじゃないイタイ奴だったという記述は興味深い。
結局、ソシュールは構造主義の走りとして影響を与えたものの、肝心の言語学においては、画竜点睛を欠くどころか不明や手落ちが随所に見られるということのみ理解できた。
しかし分かりにくい図解だったり、抽象概念を抽象のままスルーしてしまったりと本当にわかりづらい。専門用語よりも文章を学ぶべきではないのか?言語学者っていったい。 -
研究課題としての言語
-
【由来】
・
【期待したもの】
・
※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
・
【ノート】
・
-
ソシュールをよく知らなかったので、なんとなくその業績を知るには役立ちました。
著者の「ソシュール研究」の結果とソシュール自身の研究が話の中でコロコロと変化するので、ソシュールの著作そのものの概説という内容ではなく、「ソシュール研究」の概説に近いものになっているのかなぁと感じられました。 -
記号学の入門本として読み始めました。
第1章でソシュール以前の言語学について、第2章でソシュールが論を展開するために持ち出した言葉(ラング・パロール・共時態・通時態・シニフィエ・シニフィアン等)の説明、第3章でソシュールが考えた言葉の仕組みについて書かれています。
わかりやすく噛み砕いてはあるものの、筆者の考えが所々に挿入されていて(そもそも記号学についてソシュール本人が書いた論文はないのですが)そこの判断を間違えないようにすることが大切だと思います。 -
ソシュールとは、言語学のニュートンのような存在かと思っていたが、そのイメージが裏付けられたような覆ったような、微妙な読後感だ。コトバ(正確には「ラング」というソシュール自身の定義がある)の要素体系は、何かの規則に支配されているというのは、たぶん正しい真理だろうが、その規則そのものがなかなか解明されていないともどかしさを感じる。つまり、ソシュール自身は、言語学の問題の枠組みを定めたまでで、残念ながらその問題を合理的に説明可能な解は出していないようだ。しかし、物理学者が自然界の大統一理論を求めるが如く、コトバを謎を解明するための普遍的な理論を求める姿勢は強く感じられる。現代言語学では、ソシュールの頃より研究は進んでいるのだろうが、将来は脳科学や認識論とも結合した、言語の大統一理論が登場することを期待しよう。
-
文章が回りくどくてわかりづらい。ソシュールの考えと筆者の意見や感想が入り乱れていてさっぱりわからない。これじゃあ、入門にならないと思うなぁ。
-
『ソシュールと言語学』がソシュールを含めてソシュール以後の近代言語学史を中心に書かれているのに対し、この本は「ソシュール『の』言語学」という内容で、要するにソシュールの勉強した比較言語学から新しい言語理論を創始するに至った経緯を含め、ソシュールの言語理論について、有名な「ラングとパロール」、「能記と所記」、「共時態と通時態」、「連合関係と連辞関係」など分かりやすく説明されたソシュール入門書。重要な概念は繰り返し説明されており、また例も豊富で非常に分かりやすい。『ソシュールと言語学』同様、町田先生の自論も豊富に紹介されている。