金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (501ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334033064

感想・レビュー・書評

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  • 架空の金融広告をもとに、金融商品の選び方を紹介する本。選ぶ際に、前提知識を説明してくれるので、金融商品の罠について、ざっくりと知ることができてよかった。
    ただ、文章による説明より、もう少し図解を入れて、簡潔に書いてくれたら、より良いとは思った。

    ■あらすじ
    本書は、金融機関による金融商品広告を取り上げ、その読み方を解説するものです。
    本書に出てくる金融商品広告の大多数は、よく読めば、そんな商品に手を出してはいけないと気がつくべきものです。
    これは、現実に新聞や雑誌に載る金融商品広告の圧倒的に多くがそのようなものであることを反映しています。
    どれが当たりの商品で、どれがハズレの商品なのか、読者自身の力で見抜くようにしていただければ、金融商品広告のウソをみつける能力がよりいっそう身につくでしょう。

    ■目次と要約
    「高金利預金」の広告―客の選別
     → 広告を理解する客とそうでない客で対応を変える。舐められない客になろう。
    「セット商品」の広告―手数料の水増し
     → 金融商品のセットは割高。内容を吟味しないとカモになる。
    「長期の預金」の広告―インフレの恐怖
     → 長期預金には、インフレによる固定金利の目減りリスク。変動の預金ならインフレリスクを銀行に押し付けられる可能性も。
    「リスクとリターン」の正しい意味と考え方
     → 金融取引のリスクを把握する。具体的には、リターンに繋がらない④~⑦については、なるべく受けない。
      ①価格変動リスク
      ②信用リスク
      ③流動性リスク
      ④法的リスク
      ⑤操作リスク
      ⑥情報リスク
      ⑦知識リスク
    「外貨で運用」の広告―コストの比較
     → 外貨商品と、その外貨国の債権金利は必ず確認。業者の信用も大事(悪徳 or 経営リスクはないか?)。法整備は遅れていることも。
    「国債・社債・地方債」の広告―金利変動の影響
     → 国債の仕組み(クーポン)と、個人向け国債。地方債には僅かな金利で高リスク(取引先がない等)なことも。
    「特約つき○○」の広告―富裕層向け商品はお得?
     → 特約は、販売先の都合。富裕層向けは、高いキャバクラのようなもの
    「年金保険」の広告―老後の不安につけ込む
     → 言葉のトリックで、偽りの安心感を出す。
    「投資信託」の広告―手数料のかたまり
     → シンプルで低コスト運用を。スイッチング無料は、高コストな商品の割合を高く占めるときの手数料を取られていないか注意。
    「流行の投資信託」の広告―毎月分配はお得?
     → 毎月分配は、複利メリットが受けられないか、発売元の体力を削っているかのどちらか。Win-Winにならず、危険なことが多い。
    続「流行の投資信託」の広告―リスクは小さい?
     → リスクとリターンのシミュレーションできない対象は、高コストで売られることが多い。良い商品を見分けられないとカスを引く。
    「新しいテーマを追う商品」の広告―夢と現実
     → IPO株は、アタリの可能性が高いが、「アタリ」は業者が抑え、「ハズレ」を一般客に渡すため、実感の数値より儲けない可能性が高いし、不人気すぎて取引先が見つからず、大損する可能性もある。

  • 経済社会での基本

    「カモからぼったくれるだけぼったくれ」

    きれいごとを並べたって、これは事実だと思う。
    もちろん、そういったこととは無縁な環境もあると思うけど、基本的には。

    金融業界を風俗業界に似ているとして、
    その例えが随所随所で面白い。

    金持ち向けの金融商品=高級ホストクラブ

    ラベルや見かけだけで中身はない。

    「規模の経済」が働かない金融商品は、
    広告が出ればその分商品に転嫁される。

    生命保険の話でもあったが、大々的に広告してるものは、
    よりぼったくり率が高いと考えていい。

    利率や手数料など、細かい注意書きを読んで、
    自分で計算してみることが全て。これも保険と一緒。

    世の中の大抵の人間は努力と勉強が嫌いだと思う。

    これは最近思うこと。だからぼったくれるし、お金もまわって
    経済も発展するんですね。いい意味でも悪い意味でも。
    自分も好きだとは言わない。
    でも損はしたくないし貧乏だからしようと思う。

    リスクの関係を理解するだけで大分違う。
    いつもどおり、大学の時もっとちゃんと勉強しておけばよかったとおもうw

    自分としてはあまりイメージできてなかったんだが、
    銀行はリスクをコントロールしながら、手数料で稼ぐ部分が
    思っていた以上に多い。手数料ってなんとなく、
    小さい支出部分だからあまり気にしないけど。

    実際、大きい単位であればかなりの収入だし、銀行側では、
    リスクを取らずに効率的に収入が取れる部分でしょう。

    向こうは商売でこっちが客なんだから、
    当然向こうが出す数字には根拠があって、
    客より店が儲かるように出来ている。
    リスクもなくハイリターンなんてうまい話は絶対にない。
    そう肝に銘じることも大切です。
    当たり前なんですが、ひっかかっちゃうんだよね~

    基準は国債。外貨ならその国の国債。
    それで計算すれば、妥当なのかぼったくりなのかは、
    簡単に判断できる。
    外貨の場合はもちろん為替リスクが発生しますがね。

    広告の見極めがメインの内容ですが、
    その解説を読むだけで、かなり基本が抑えられるようになってます。
    ページ数が多いですが、なかなかおもしろかったです。

  • 多くの広告事例のトリックをわかりやすく説明。ボリュームがあり,中身も濃い良著。

  • 投資信託買ったのは失敗だったよなあと(株でも失敗もあるがw

  • 金融業は信用できないし好きになれない。本書の出版から13年あまり立っているが、未だにフィデューシャリーデューティーなどと耳障りの良い建前だけ掲げつつ、本質は自社利益本位の手数料商売で変わっていない。なにか勧誘された時にはバカバカしいと思いつつ反論が必要な場合は活用しようと思う。

  • 結局は手数料集めで運用は国債なんだなと。

  • 一時期問題になったので最近は若干減ったのかもしれないけど、それでも新聞によくのってる仕組み預金とかの金融広告の見方についての良書。新書ながらかなり分厚い。無理やり一冊の本にした薄っぺらい中身のない新書より、はるかに充実した解説書。金融商品初心者にはとてもおすすめ。

    オプション取引をつかった高金利に見える銀行預金から、外貨、債権、株、それらを組み合わせたファンド等の金融広告の本当の読み方を丁寧に解説してくれます。本当に過去新聞等に掲載されていた広告を元に筆者が擬似的に作った具体的な金融商品の広告を解説してくれますので、理解がしやすいです。結局年利12%とか見た目の高金利に惑わされる愚かな消費者が金融機関にたっぷり手数料を取られ、おまけに元本を割り込む運用結果になったりして、損をする世の中みたいです。当たりの商品なんてほとんどなく筆者がハズレでないと言ってるのは日本の個人国債くらいなもんです。

    なんでも自己責任な世の中ですが、ウマイ話に乗る前に勉強しましょう。世の中そんなに簡単に儲からないという事を筆者は教えてくれます。儲かるのは筆者みたいなユニークな着眼点で、売れる本を書きあらたな価値を生成できる様な人のみです。

  • カモから儲け、ダマされない人とはそれなりの付き合いをする。

    銀行・証券は手数料で儲けている。
    業者が売りたいの顧客の利益のためではなく自分たちの利益のために働いている。
    損失の可能性を顧客に押し付け利ザヤを抜いている。
    規制を強化することにより騙された人はますます何も考えなくなる。


    取れるところから取る国であっても企業であっても簡単に金を集めたいなら必然的にそうなっていく。
    資産を減らしたくないなら欲をかくのをやめるか、知識をつけるしかない。

  • 2005年6月10日、2刷、並、帯無
    2015年3月3日、白子BF

  • 高金利預金、セット商品(セットになることで割高になる)、長期の預金(インフレと中途解約の扱いに注意)、リスクとリターン(流動性リスクに注意!)、外貨で運用、社債・地方債・国債、富裕層向け商品、年金保険、投資信託(手数料の固まり)、

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著者プロフィール

エコノミスト

「2016年 『学校では教えてくれない経済学の授業』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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