20世紀絵画 モダニズム美術史を問い直す (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334033347

作品紹介・あらすじ

私たちは、ある絵画作品に出会い、そこに何が描かれているかを「再認」しえたとき、その絵を「わかる」という。しかし、なぜそれほどまでに私たちは絵を「わかろう」とするのだろうか?20世紀に描かれた絵画は、それ以前の絵画が思いもしなかった無数の認識をその背景に持っている。そして、絵とは具象/抽象の如何にかかわらず、作家のアイデンティティ、或いは民族のアイデンティティと深く結びつき、時代を映す鏡となり、私たちの「鏡像」となっているのだ。本書では「具象/抽象」「わかる/わからない」の二元論に終止符を打ち、"旧東独美術"も視野に収めた新しい解釈パラダイムを提案する。

感想・レビュー・書評

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  • ドイツに対する見解は面白かった。抽象について調べたかったので、その点はちょっと。でも文化とかアイデンティティーの部分で社会学とか心理学もってきてるのは、おおてなる

  • いわゆる「わかる」写実的な絵画というのは近代の人間中心主義が成立したごく限られた時期と地域のものでしかない、という主張は説得力あり。

  • 久しぶりにこの人の本を読んでワクワクして、
    同時に、哀しくなった。自分が離れた場所にいることに。

  • 記述の仕方が理論的というか仰々しいというか。でも、感覚だけで鑑賞した人の記述よりは得るものがある。というかものすごく勉強になる。
    東欧の絵画は筆者もいうように衝撃的だった。必見。
    新書としてはいい本と思われ。

  • これはよかった。
    20世紀絵画というものをどのように捉えるべきか、という指針(“まなざし”とでもいうのだろうか)のようなものを呈示してくれていて、しかもそれらが作品ごとに章立てされているので、非常に分かりやすく、自然な形でそれを受け取れた気がする。

    私たちが絵画を見るときに感じる「わかる」/「わからない」とはどういうことなのか。なぜ、黒い正方形は「わからな」くて、モナリザは「わかる」と感じるのか。それは恐らく私たちが「そこに何が描かれているのか」という点に注目しすぎるからだろう。私たちは絵を観るときに、それを現実世界の延長として捉えているのではないだろうか。このような姿勢に対して、著者は極めて重要な指摘をしている。それは「絵画はイリュージョンに過ぎない」という指摘である。それが何を意味するのかについてはぜひこの本を読んで考えて欲しいと思いました。

    具象絵画=わかりやすいなのか?(じゃあたとえばブロンジーノの「愛の寓意」はわかりやすいのか??)そもそも絵画を「わかる」ということの意味。そういったことを色々考えさせてくれる良書です。

  • 953

  • 知れば知るほどわからなくなる、という点では人間理解と異なるところはどこにもない

  • いやまあ、難しい。予想通り。仕方ない。
    そこまでの知識が今の私には無い。
    少しずつやな。少しずつ好きな絵を増やして、
    少しずつ幅を広げていければ、と思います。

  •  絵画鑑賞の醍醐味は、感覚的な「好き嫌い」にとどまらずその絵画を正しく「理解する」ことであり、人間関係同様相手を「わかる」ことで単なる「好き嫌い」以上のより深く分かちがたい関係を築けると著者はいう。
     本書の軸になっているのは抽象と具象の二元論だが、二次元と三次元、物語性とコンセプチュアルなど、絵画における様々な対立概念も紹介されており、20世紀絵画史を俯瞰できる。作品の成立には社会的風潮・思想・時代背景などが深く関わっており、絵画が視覚的な快・不快を超えた時代時代の一つの結晶であることがわかる。

     様式・概念など単なる絵画好き以上の知識を必要とされるため、読破するのに非常に時間がかかり、この分野での勉強不足を痛感した。学びなおして再読したい。

  • [ 内容 ]
    私たちは、ある絵画作品に出会い、そこに何が描かれているかを「再認」しえたとき、その絵を「わかる」という。
    しかし、なぜそれほどまでに私たちは絵を「わかろう」とするのだろうか?
    20世紀に描かれた絵画は、それ以前の絵画が思いもしなかった無数の認識をその背景に持っている。
    そして、絵とは具象/抽象の如何にかかわらず、作家のアイデンティティ、或いは民族のアイデンティティと深く結びつき、時代を映す鏡となり、私たちの「鏡像」となっているのだ。
    本書では「具象/抽象」「わかる/わからない」の二元論に終止符を打ち、“旧東独美術”も視野に収めた新しい解釈パラダイムを提案する。

    [ 目次 ]
    序章 『モナリザ』も『黒に黒』もわからない?(わからないから嫌い? 新たな謎 ほか)
    第1章 抽象絵画の成立と展開(平べったい裸婦-マネ『オランピア』 行く川の流れは絶えずして-モネ『陽を浴びる積み藁』 ほか)
    間奏 “旧東独美術”の見えない壁
    第2章 具象絵画の豊饒と屈折(風景の形而上学-ベックリン『死の島』 揺れる自意識-ムンク『叫び』 ほか)
    終章 「わかる」ということ(「わかる抽象」と「わからない具象」 『ニュルンベルクのマイスタージンガー』 ほか)

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