- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334033538
作品紹介・あらすじ
現在、われわれが知りうる歴史というのは、史料から復元されたものであり、かつ史料からしか復元されえないものです。現代に生きるわれわれは、織田信長の肉声を聞くことも、関ケ原の戦いを目撃することもできません。すべては、残された史料をもとに、歴史家たちによって紡ぎ出された「歴史」なのです。ですから、固定された正しい歴史などというものはどこにも存在しません。歴史とは、新しい史料と新しい解釈によって、この一秒の間にも書き替えられ、更新されていくべきものなのです。-本書では、「一級史料」を題材に、歴史家がどのように史料を読み、歴史を描き出していくのか探っていきます。そのうえで、教科書や歴史書の記述を鵜呑みにしない、自分なりの「歴史感覚」の身につけ方を学んでいきます。
感想・レビュー・書評
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史料に基づいて歴史を考察する、その「歴史感覚」を伝授する本。
第1章 有名時代劇のもと史料・・・宮本武蔵、忠臣蔵の真実とは。
第2章 歴史家は何をどう読む?・・・東京大学史料編纂所の歩みと
史料に関する仕事。編纂とは?史料の読み方。
第3章 新しい史料を発掘する・・・全国各地に残る史料を探訪。
大名家の膨大な史料から、古書店から、旧家からの発見。
第4章 一級史料の宝庫「島津家文書」を読む・・・史料でわかる、
島津家の内情。
第5章「歴史学」への招待・・・一級史料との出会い、データベース化、
時代劇の見方、史蹟散策。
江戸時代一級史料一覧、著者が訪問した史料所蔵期間一覧有り。
過去から遺された史料。
中でも一級史料と云われるものとは?
東京大学史料編纂所で多くの史料に関わってきた著者による、
一級史料を介し「歴史感覚」を身に付ける入門書です。
歴史書や歴史小説を鵜呑みにせず、正しいかどうかを判断する
「歴史感覚」を身に付けるためにも史料を読むのは大事、と。
読み易い文章で、史料について分かり易く、書かれています。
島津家文書から読み取れる事や藤沢作品の時代考証は
面白かったし、史料の大切さもよくわかりました。
そして、著者の他の本も読んでみたくなりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本史の資料は様々ある中で、一級・二級・三級…とそれぞれカテゴリー分けで分別されているらしい。
やはり大学の教授が書いた本、めちゃくちゃ分かりやすい。
色んな史跡や博物館などに展示されている古文書等の資料は膨大な数過ぎて
展示してあるのものはほんの一部にすぎないし
全てデータベース化していこうと思うと途方もない時間と労力。
オークションなどで取引されたり、あるいはまた個人の私物として持っていることもあるし
今歴史の教科書や本なども新しい情報が更新されていき、少しずつ解明している謎もある
それでもまだまだ、今も尚更新され続けている歴史はやはり面白いもんだと感じた。
そういえばだいぶ前に「るろうに剣心」実写版の映画を観に行った際
一緒にいた友人が「これって実話でしょ?」という一言に驚愕した。
そんな馬鹿な!と思うけど世の中にはそういう人もいるということ…
歴史を学ぶって大事だなと心の中で思ったのである。 -
歴史の痕跡である史料とは何か?
ヨーロッパの中世史は好きだし、日本史だってまぁまぁ興味がある。
歴史上の有名な出来事について、いろいろな事が起こったことを知っている。
昔から映画やテレビで時代劇を見るし、扱う時代によっては今でも大河ドラマを見る。
気に入ったものが見つかれば、歴史小説や時代劇だって読む。
あぁ、歴史上の有名人であるところのあの人は実はこんな人であったのか…こんなことやあんなことも言ったのだな…などと感心しながら楽しんでいる。
で…巌流島の戦いで武蔵が小次郎に言い放った名セリフ。
「小次郎敗れたり!」
いや、これを言ってないってどういうこと?
言ったでしょう…いや、言っていて欲しい。
いかにも言いそうでしょう?
いやいや、そもそも五輪書は武蔵が書いたものではないって…それはさすがに不味いでしょ…
武蔵の死後、弟子たちは流派を守り、発展させていく中で、自らの出自を正当化する必要に迫られ、五輪書を捏造し、その秘伝書を授かったという事実も捏造した。
私こそがかの秘伝を相伝した正統なる弟子。
秘伝を受け継いでない、貴方は違うでしょって感じ?
そもそも秘伝なんかなかった(?)のに…
伝説だけが独り歩きしてしまっている。
一方、それは正真正銘本物の文書だった場合でも、それを持っている者が、自らを正統であることを主張できるとしたら…
己が正統であることを証明するために、時にはその文書を奪い合う。
書物や記録の持つ力って、本当にすごいのだ! -
【要約】
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【ノート】
・「グーグル・アマゾン化する社会」の関連本宣伝で
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赤穂義士には史料がたくさん、宮本武蔵にはほとんど史料がない。へ〜。一次史料を丹念に読み解くことで日に日に歴史が書き換わる。
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メモ
史料を読む人間によって -
東京大学史料編纂所の教授で著書も多数ある著者さまの、史学入門書というか、史学の心得を説いた本。
史学とは何ぞやという初心者の方にも分かりやすく「です・ます調」で書いてあるので読みやすい。これから史学を学びたい学生さんは勿論、すでに学んでいる方々にも初心を思い出すのに良いと思う。
ウィキペディアやネットでの知識で「私歴史詳しいんだから!」とか言っている方々にも是非読んでいただきたい一冊。 -
古本で購入。
東京大学史料編纂所教授による日本史入門書。
史料を巡るあれこれを述べていくわけではあるけど、テーマになっているのは「如何に歴史に親しみ、自分なりの歴史を見る眼を持つか」。
教科書の丸暗記的知識ではなく、歴史の中で生きてきた人々のことを考えるのは楽しいよ、ということを著者は言う。
そのための格好の素材が「古文書」であると。
そうは言っても古文書を読んで理解するにはそれなりの知識が要るわけで。
だから本書は「日本史を勉強して知識を得たけどそれで満足している人」向けと言っていいと思う。
少しでも日本史に興味のある高校生あたりに読んでもらいたいね。
内容については、個人的には不満。
著者がこれまで触れてきた「一級史料」を紹介していくのいいとして、広く浅くなので物足りない。
例をもっと絞って深く突っ込んだ史料論を展開してほしかった。
史料編纂所の生い立ちや藤沢周平作品の検証なんかは読み物としておもしろいけど。
それにしても本書には著者の自分情報がやたら多い。
これほど「○○については私の著書『~~』で述べたので繰り返さない(読んでみて下さい)」というのが多い文章も珍しいような。
著者の卒論・修論も史料を用いた一例として出てくるのだが、「一級史料をきちんと読み解けばこれほどの成果が出るんです」という勢い。
卒論でそんなに堂々と出せるほどの研究成果を出したのだろうか…
ダメ学生だった自分には到底理解できませぬ。 -
歴史学、特に文献史学における史料の重要さ、読み方、史料に対する向き合い方を著者の具体的な経験から分かりやすく書かれています。
分かりやすいし、読みやすいので近世に興味を持ちました。
他の著書も読んでみたい気にさせる1作でした。 -
史学科に入学する大学生に読んでもらいたい本って感じだった。
でも、史料について見直す部分もあったので、勉強になった。