若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334033705

作品紹介・あらすじ

「3年で3割辞める」新卒離職率、「心の病」を抱える30代社員の急増、ニート、フリーター問題…。ベストセラー『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』の著者が、若者の視点で、いまの若者をとりまく問題の核心に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 年功序列ってのが絶対的に存在した方がまだ安心できたかも…
    今は問題視されて年功序列なくなりつつある風潮だからこそ、ぬくぬくと過ごしてたら将来痛い目見るなと気付かされました。

  • この新書を買う前は最近の若者の勤労意欲が低下していることなどを書いているものと思っていました。ところが、読み始めたら全く違っていて、若者が3年で辞めるのは若者の責任ではなく、将来に希望が持てない今の日本の会社にこそ問題があることが強調してあり、非常に興味を持ちました。

    年功序列制度の時代には、若いうちは低賃金と長時間労働に我慢して、でも、40代50代になると高い給料とそれなりの地位が与えられるというシステムだったが、それは多くの企業で崩壊しており、今の若い者は報われることのない労働を強いられている、という指摘が繰り返しなされています。

    日本の若年層にフリーター・ニート問題があることはよく知られていますが、その責任が個人個人の資質ではなく、社会の仕組み(とくに中高年を温存する企業)に原因があるとした玄田有史著『仕事の中の曖昧な不安』(中公文庫)と同じく、若者を見つめる目の温かさに惹かれます。

    著者は最後に

    「明るい未来とは本来、人から与えられるものではなく、自分の手で築くものであるはずだ。その自覚を促すことこそ、本書の意図したところである。」

    と結んでおり、私の若い学生さん達にも是非、読んでもらいたいと思った次第です。

  • すごい!
    この本はすごい!とてもためになった。

    〜以下、◇○本より抜粋、●・コメント〜

    ◇p.49:人事制度の違い
    ○「職務給(しょくむきゅう)」:
    担当する職務内容によって給料が決まる
    ○「職能給(しょくのうきゅう)」:
    勤続年数を軸に給与が決まる
    ●自分は、どちらかなぁ。
    半分半分かもなぁ、


    ◇p.53:IT系日本企業の中途採用にくる30代後半以上のコンサルタント
    「優秀なんだけど、即戦力じゃないから」
    断る
    ●あぁ、たしかに実務の話が通じないマネージャはいらないな。。
    (これは、でも反対に考えたときにキビシイ現実)

    ◇p.93:派遣社員ほど使える存在はない
    ●1999年の労働者派遣労働法の改正
    2002年の改正で生産業でも受け入れが認められて
    はじまった大ブーム。

    ◇p.101:派遣労働者が増えたワケ
    ○経営者 「若い人間は必要だ」
    ○労働組合「でも、リストラや賃下げは認められない」
    労使共に50歳以上に限定
    ツケをを受けるのは、若者。
    ●ひどい!
    これが、若者の正社員数激減の原因だな!

    ◇p.135:年功序列制度が柱である以上、人材の価値は年齢で
    決まってしまう。そのため、派遣社員、フリーター
    では、職歴として評価されない
    ●極端に言うとそうかも。

    ◇p.157:「大丈夫、今はきついけど、将来は楽になるから」
    と騙してコキ使い、人生の折り返し地点を過ぎたあたりで
    「あぁ、自分は騙されたのか」と思い知らせるようなシステム
    は一度ぶち壊してしまったほうがマシであろう
    ●ここに筆者の主張が強く出てると思った。
    日本の年功序列の人事制度がもたらす制度の不備
    でも、だからといって「完全能力制」がいいのか?

    ◇p.166:日本の高校生が将来なりたい職業は何だろう
    1999年青年研究所調査
    第一位:公務員
    第二位:教師
    →半数が公務員
    ●日本の将来って、、、、

    ◇p.178:体育会系が好まれるワケ
    強力な昭和的価値観が醸成されており
    その「主体性のなさ」が従順な羊として
    体育会系が好まれる
    ●なるほど〜、たしかに年功序列(先輩後輩)を重んじ
    組織としては使いやすいのかも。
    でも「トビヌケタ」人材を確保しないと存続も危うい
    という採用意志と相反していて、、、う〜ん。
    しかしなぁ。。
    組織として動くときに、この従順さはないと
    統率はとれないな。。

    ◇p.185:「昭和的価値観の正体」
    小学校から始まるレールのなかで、試験によってのみ
    選抜されるうち、人はレールの上を走ることだけを刷り込まれ
    いつしか自分の足で歩くことを忘れは果てる
    最後は果物のように選別され、ランクごとに企業という列車に
    乗り込み、あとは定年まで走り続ける
    ●これがもう通用しない!

    ◇p.205:「楽しんで働く、ということ」
    目標はひとつ、全員が楽しみ、そして全員が食っていくことです
    ●会社ではできないのか?独立しているからできるのか?
    サラリーマンでこの道を歩む方法は?

    ◇p.210:「転職によって成功する人は一割程度」
    というが、明確に、「自分は〜をやりたい」という動機のある
    人間なら、転職は個人と応募企業の双方にとってハッピーな
    結果に終わる可能性が高い
    ●自分の適性? 自分の夢? 何が自分にとってハッピーか?

    ◇p.215「10年後の自分がどうなっているか」
    年収で言えば、30代後半から40代前半で昇給は完全にストップする
    従来、日本企業では、50代後半が基本給にピークだったが
    それより15年近く前でストップすることになる
    ●、、、この現実。自分の幸せをどこに見出すのか。。。??

    ◇p.218:与えられた仕事をこなすだけでは、けっして
    望むものは手に入らない。あくまで自己のキャリア形成の
    ために業務が存在すべき
    ●自分がどんなキャリアプランをもっているか!!

  • 今の若者がいかに駄目かと問う本ではなく、若者に優しくない「昭和的価値観」による労働制度の根底を問う本で、若者の考え方に影響を与えてくれる。一億総中流の時代は終わった現在の競争社会で、いかに生き残るか。僕は別に仕事に愚痴をもらすほど不満は持っていないが、先を見据えて警戒心を持っておくことは必要だと感じた。年配の人々の利権よりも、今後の日本を考えるならば、若い世代に託すべきだ。


  • 最近の若者は、、、という言葉で片付けるのではなく、そのバックグラウンドにある背景を客観的に分析できていると感じます。私自身が若者ですので、名著と呼べる本でした。

  • Thu, 21 Oct 2010

    城繁幸氏のベストセラー本.

    現代日本の病巣の中核をえぐった,一冊とでも言おうか.
    本書は,現在の若者の負担の重さ,年功序列の構造的問題を赤裸々に指摘する.

    現代日本の論点は 労使の格差でも,金持ちと貧乏の格差でもない.それは,年寄りと若者の格差だ.

    こんなことを言うと,
    「いやいや老人にも独居老人とか,いろいろあって大変じゃないか?
    だいたい老人は弱者だ」
    という反論をされる方もおられるだろうが,
    マクロな構造の話である.
    大体,世の中を二つの名詞の対立で議論すること自体,ラフな話なんだ.
    その議論をする以上,要はマクロで構造の話なんだと諒解いただきたい.

    往々にして問題は,固定観念にある.
    メディアが移す,個別キーワードで僕らの発想はドライブされる事が多いが,

    社会保障と言ったときにそのターゲットはどこに向かうか?
    その多くは,年配層に向かう.
    労働者保護と言ったときにそのターゲットはどこに向かうか?
    すでに正規雇用を受けている人に向かう.
    産業活性化,企業の景気対策と言ったときにそのターゲットはどこに向かうのか?
    それは,すでに株式上場しているような既存勢力にむかう.

    そこに隠れた構造は,何か?
    既に発言力をもった,エスタブリッシュメントの保護であり,
    年功序列的システムの保護である.

    しかし,組織がピラミッド型であるという,前提と,
    全員が出世する年功序列の仕組みは,絶対に両立しない.
    これを成立させる要件は,指数関数的に組織が増大するというバブル的状態だけだ.
    つまり,
    年功序列制度は,安定的な制度ではない.
    非常にバブリーな制度なのだ.
    そのバブリーを支えた需要は,
    戦後日本のたぐいまれなる戦後復興という大事業だ.

    現在,そのフェーズから,安定な状態にフェーズシフトするなかで,
    その折れ線部分の前後に位置する世代の考え方,常識,無理解のギャップが
    生まれている.

    それは,自然なことだ.

    経済成長のフェーズがシフトすれば,組織の形態はそれにadoptするべきで,
    それによって,時代を読める人間はなんとか先手を打ってかわすが,
    それが出来ない人は辛酸をなめることになる.

    現在,国民が納税したお金は,相当量,社会の革新のためではなく
    現状の構造維持のために使われている気がする,

    折れる幹の補強に未だ低木の若い芽が折られて用いられている気がする.
    これから,この問題は,より激しく議論されていくだろう.

    ちなみに「若者はなぜ3年でやめるのか?」ってタイトルはちょっと
    ミスリードにおもえるなぁ.

  • タイトルが面白そうだったので読んでみた。今までバブル世代は楽して就職できていいと思っていたが、2章を読んでその印象が変わった。年功序列の長所と短所が色んな角度から知ることができて読んでいて参考になった。会社が若者を切り捨てるような対応をし続けるとどうなるのかがわかった。就職する前に読みたい本。

  • まだよめる

  • 日本の勤労体系

    「年功序列」

    について書かれた本。

    タイトルの付け方がうまい。誰でも、一度は手に取ってみたくなるのではないだろうか。内容も実に明確。ただ、少し男性的であるのが気になる。女性の観点からも書くともっと良いのかもしれない。ただ、もっと複雑になると思うが。

    2006年初版だが、内容に納得できてしまうのは、

    いまだ日本が「石橋を叩いて渡る」精神が抜け切れてないという事なのかもしれない。

    「叩いて壊す」ぐらいの覚悟が必要なのかもしれない。

  • 久々の大ヒット!
    タイトルどおりの内容を、
    鋭くロジカルに考察しています。


    【オススメしたい人】

    ・就活生
    ・内定者
    ・新卒社会人
    ・転職志望の中堅社会人
    ・最近部下がすぐやめる管理職、経営者


    それ以外の人が読むのはオススメしません。
    ヘコむから。向上心のない人には毒になる本です。

    ロジカルで、文才もあり、多数のインタビューで積み上げたであろう
    論拠から展開される内容は大変説得力がある。

    しかもこの作者、若干33歳!
    アンビリーバボー!!

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