黒山もこもこ、抜けたら荒野 デフレ世代の憂鬱と希望 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034344

感想・レビュー・書評

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  • 「高度成長期最終世代」「就職氷河期世代」はたまた熾烈な競争社会。親たちとの世代間ギャップに挟まれ、時代に翻弄され続けた70年代生まれの谷間世代。そんな世代たちの言葉にできないモヤモヤっとした感情を筆者は懸命に言葉にして伝える。

  • 思索

  • 1970年代生まれとしては、共感の持てる内容であった。我々の世代の生き辛さについての原因が、「世代間の幸福感のギャップ」や、「普通とはなにか?」を紐解くことで次第に明らかにされていく。自分は量産型ザクだったのか!?

  • おもしろかった。
    水無田さんの生い立ちをきき、とても惹かれた。
    仕事できるけど、ちょっと損な人だと思った。

    なんか内容はあんまり覚えてない汗けれど、ミナシタさんの時代の就職・雇用・子育て問題を扱っていた気がする。大変そうだけど、ママとしてエネルギッシュに生きてる姿は魅力的。

  • 面白かった。内容は社会学者の新書、というよりもエッセイのようなかんじだったけど、自分たちよりも少し年長者(就職氷河期第一世代だそう)の労働環境の厳しさや、社会の感じ方が書かれてあって新鮮だった。なんせちょっと上はどうせバブルだろ……!とか思ってたから。学校への無条件のリスペクトとか、真面目にコツコツやっている人間は幸せになれるとかいう考えかたは、この世代に比べれば私たちの小学生時代の方が薄かったように思う。ギリギリでバスに乗り遅れた、という表現が切実だったが、労働環境がこんなに上の世代から混沌としているのだと思うと憂鬱wwwでもwwなんてかけてしまうくらい、文章自体が軽快でサバサバしてて笑える箇所が多い。厳しくても、多少開き直りつつでも、社会を観察して、そこそこしたたかに生きていければいいなぁと思った。絶版なんて勿体無い…是非再販して大学生とかに読んでほしいなぁと思います。10年後にこの本にかいてあることが、本当に笑い話になっていればいいのになぁ!

  • 自分は筆者である水無田さんのファンであり、彼女のことをもっと知りたいと思い
    エッセーのつもりで読んだ。

    語り口が軽快で、各所の表現もおもしろく、一気に読める。
    内容は社会学チックだが、体系立ったものではない。

    バブルを膨張期に子供時代を送り、崩壊を就職直前に経験した筆者の世代。
    価値観や社会のシステムの転換に翻弄された世代を
    主に自身の親世代と比較しながらメタ的な視点で捉えている。

    ご自身もあとがきでおっしゃっているように、私憤がこもっている面もある
    (もちろん、何か対して直接的に文句を言っているわけではない)が、
    ゆえにリアルにその世代の経験を感じられる。

    今日は経済・社会の変動が大きく、また速い。
    世代間の格差(金銭面、価値観)が大きく、また世代の区切りの幅も狭い(つまり数歳の違いが大きい)といえる。
    異なる世代の価値観、生き様を知ることは、メタな視点を持って時代に翻弄されずに生きる一助になるのではなかろうか。

  • 詩人・社会学者が、個人史を織り交ぜながら時代を語るという本。1970年生まれの主観であることを隠さず、自らの世代の不遇を嘆くので、力強さがある。研究者として職を得ることの困難さは、切実。自分語りの部分は、私を平凡・汎用だと語ったと思えば、私は浮いていたと述懐したりと、読んでいてやや混乱したが、「それでこそ個人史」と思って楽しむ方が良いか。

  • [ 内容 ]
    不安、絶望、締念―「体感格差」の正体。
    中原中也賞受賞、気鋭の30代女流詩人が問う、「凡庸な人生」から見える、ニッポン社会のゆがみ。

    [ 目次 ]
    第1章 黒山もこもこ、抜けたら荒野(思い出の人混み/人混みの思い出 あらかじめ失われた世代 ほか)
    第2章 「普通」へのノスタルジア(「三種の神器」時代を遠く離れて 母親はお見合い結婚世代 ほか)
    第3章 世代観闘争(世代論はなぜ好まれる? 日本社会は「単一的」なのか? ほか)第4章 一九八〇年代―文化系女のサブカルチュラル・ターン(不思議少女と呼ばれて 文学少女はサブカルにより更新された ほか)
    第5章 自分のことは自分で決められる、の罠(選んだものが負けていく またしても過渡期の世代 ほか)

    [ POP ]


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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 2時間ほどかけて,さらっと『黒山もこもこ,抜けたら荒野』という奇抜なタイトルの本を通読する。あまりこういった社会学的な本は読まないのだけれど(読むと立ち直れなくなるため・・),著者の出身地が相模原というぼくにも馴染みがある「郊外」であること,そして個人史的な視点から語られていることから楽しく読めた。とくに,「腐女子」について書かれた第四章は面白かった。政治家の密室会談の「密室」に萌えるなんて,知らなかったわあ。でも気持ちはなんとなく分かる。考えてみれば政治ほど男性原理が強く働いている場はないかもしれない。でもその男性原理って,なんと儚く脆く危ういものだろうと最近思うのです,オトコの一人として。。

  • 詩的に、就職氷河期世代の絶望を詠った現代論。

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著者プロフィール

國學院大學経済学部教授。1970年神奈川県生まれ。早稲田大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得満期退学。修士(学術、哲学)。専門領域は文化社会学、ジェンダー論。詩集『音速平和』(思潮社)で中原中也賞、『Z境』(思潮社)で晩翠賞をそれぞれ受賞。主な著書に『「居場所」のない男、「時間」がない女』(ちくま文庫)、『無頼化した女たち』(亜紀書房)、『多様な社会はなぜ難しいか』(日本経済新聞出版)などがある。

「2023年 『離れていても家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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