「生きづらさ」について (光文社新書 358)

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034610

感想・レビュー・書評

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  • 貧困、アイデンティティ、ナショナリズム 他人を蹴落としてでも勝ち残れ、あるいは自分を押し殺してでも社会にとけこめ、それでだめなら自己責任という重苦しい空気。その先に死があるとすれば、「甘えるな」の一言で片付けるのはいささか乱暴にすぎる。

  • 細かくいえば評価は3・5。納得できるところとできないところがあったが、社会的に立場が低いと見られている人たちがどのようにしてその状況から脱却しようとしているか。というのが書いてあった。国や国民が利己的ばかりになるなってことだったのかな。

  • 読了。所有

  • 貧困とナショナリズムの親和性についての記述が、暗澹とした気分にさせられる。

  • 中国に行く前に空港で買った本。
    現代の日本を取り巻く生きづらさについて原因を探った本。解決策が十分提示されているとは言えないと思うが、とてもよく現状を捕らえていると思う。

    持論では、人間の欲求はマズローの欲求段階説に従っており、これらが満たされないことに人は不満や生きづらさを感じるものだと思う。

    現代の日本に生きづらさが蔓延しているのは、もっとも基本となる生存欲求が満たされない人(働きたくても働けない人)ばかりでなく、働いている人の中でも所属の欲求や承認欲求が満たされないことに原因がある。

    本の中で「犠牲の累進性」という言葉が出てくる。世の中にはもっと苦しんでいる人がおり、、下を見ることで現状に満足させるエクスキュースの言葉として否定的に使われているが、様々なレベルで不満が渦巻いているというのは事実だろうと思う。

    生存のレベルで苦しむ人と承認のレベルで苦しむ人の課題はそれぞれ解決されなくてはならないと思うが、問題はこれらがトレードオフではないかということである。

    本にも書いてあったが、我々は生まれてすぐに他人と競争する主体として存在し、誰かを犠牲にすることでしか我々の社会や暮らしは成り立たないのではないか。

    実際自分はそういう会社で働いているし、多くの同僚は同じ感情を抱いているのではないかと思う(実際にそういう発言をした上司はいた)。

    もちろん生存の欲求は承認の欲求より優先されるべきだと考えているが、これが社会全体の問題である以上、トレードオフ・合成の誤謬・囚人のジレンマが生じ、個人の努力によっては解決されない問題だと考える。知恵と合意によってルールとして社会が選択しなくてはならない。

    知恵として個人的に魅力を感じているのは、ベーシック・インカムという仕組みである。最低限の生存欲求を満たすことですぐに救える命があると思うし、生存欲求を離れて人がよりリスクをとって生きることのできる社会で、人はゼロサムではなくよりwin-winな関係を築けるのではないだろうか。

  • 面白かった。
    対談形式なのも読みやすかったし。

    「高いコミュニケーション能力を求められる世の中で、KYを意識し過ぎている」ことが、精神的な面での「生きづらさ」に繋がっているという内容はすごく納得できた。

    それと、社会問題化している派遣や貧困問題についてもとても勉強になった。

    アイデンティティをナショナリズムに求める過程がちょっと厳しいが、読むに値する一冊。

  • 3

  • 09/07/06

  • 生きづらさについて!

    共感する部分もある。

  • 社会現象になるほどの状態では、自己責任でやれることは少ない気がしました。

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著者プロフィール

萱野 稔人(かやの・としひと):1970年生まれ。津田塾大学総合政策学部教授。哲学者。早稲田大学卒業後に渡仏し、2003年、パリ第10大学大学院哲学研究科博士課程を修了(博士・哲学)。専門は政治哲学、社会理論。著書に『新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか』『名著ではじめる哲学入門』(ともに、 NHK出版新書)、『暴力はいけないことだと誰もがいうけれど』(河出書房新社)、『暴力と富と資本主義』(KADOKAWA)、『死刑 その哲学的考察』 (ちくま新書)、『リベラリズムの終わり』(幻冬舎新書)ほか多数。

「2023年 『国家とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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