すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 624
感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034665

作品紹介・あらすじ

なぜ、サブプライムローンは世界的な金融危機を招いたのか?なぜ、ジャンク(くず)と呼んでもよいようなサブプライム関連の金融商品に、欧米の投資銀行やヘッジファンドなど世界一流の投資家たちが殺到したのか?なぜ、サブプライムショックの際に、日本の株価が最も暴落したのか?なぜ、バブルは繰り返されるのか?-多くの投資家がリスクに殺到するがゆえに生じる、新時代のバブルの正体を、気鋭の学者であり、個人投資家でもある著者が、アカデミックな成果を中心に、著者自らの投資体験も含めて分析する。

感想・レビュー・書評

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  • リーマンショックの直後に書かれた、当時のバブルの発生のメカニズムを描いた本
    1.バブルが起きている最中投資している人はそれがバブルだと承知している。
    2.プロの投資家(ファンドマネージャー)は、バブルが発生しているときにはバブルに投資しないと競争に勝てない。
    3.したがってプロであるほどバブルに投資をする。
    4.バブルには実態がないことが多いが、(実態があっても実態とかけ離れた価格形成になるが)そうであるほど、プロとしての投資妙味がある。

  • 1

  • booklovers和田秀樹より紹介
    おもしろい。バブルとはなにかということを非常に分かりやすく解説してくれている。バブルに関するこれまでの数々の疑問に答えてくれた。

  • 図書館
    経済
    新書

  • 資本主義とは「ねずみ講」である、
    という身も蓋もない話
    (そして、それは本質かもしれない)
    が述べられる。

    バブルの発生と崩壊について、
    後付けではあるものの、
    時系列で説明される4〜6章が面白い。

    今(2011年8月)の株安、円高の状態も、
    同じように、投資家心理からの説明を
    考えてみたい。

    [more]
    (目次)
    第1章 証券化の本質
    第2章 リスクテイクバブルとは何か
    第3章 リスクテイクバブルのメカニズム
    第4章 バブルの実態―上海発世界同時株安
    第5章 バブル崩壊1―サブプライムショック
    第6章 バブル崩壊2―世界同時暴落スパイラル
    第7章 バブルの本質
    第8章 キャンサーキャピタリズムの発現―二一世紀型バブルの恐怖

  • ●証券化
    例えば不動産だったら、地域性や立地などの細かい部分を考慮せず、リスクとリターンに標準化させることで、投資家が判断できるようにする。
    また、標準化されることにより、常に買い手がいる状態となる
    投資家にとっての一番のリスクは、「売りたいときに売れないこと」であり、常に買い手がいることは重要

    ●リスクの変質
    投資の意思決定の焦点が、キャッシュフローが確実に得られるかどうか(値上がりするかどうか)に関するリスクではなく、他の投資家に売れるかどうかに関するリスクに映っている。

    ●流動性リスク
    売りたいときに売れること。流動性のある資産は価値が高い。

    ●バブル崩壊の3つの要素
    ①誰もが今バブルであることを知っていること、一旦売りとなったら全員が売りに回り価格は一気に暴落する
    ②バブル崩壊の合図がなること。バブル崩壊だというコンセンサスが得られる可能性があるイベントが起こること
    ③市場全体が、将来について悲観的であること

    バブル崩壊は、買い手が市場にいなくなったときに起こる

  • 金融資本主義の構造的な矛盾については確かにそのとおりなのだろうし、これからも大小のバブルを通過しつつ次の体制を模索していくという長期の見通しにはなるほど、現状そのとおりであり、よくできた分析である。
    ただ途中はさみこまれた「バブル崩壊実況中継」はあまり意味がない。結果論ではあるが、本当のバブル崩壊は本書のさらに一年あとだったわけで。

  •  一般的には「バブルは終わってみて初めてバブルとわかる」と言われていることに対して、そんなことはないというのが主な内容です。

     簡単に言えば、バブルはそれがはじけるまではバブルでない時よりもはるかに儲かるので(今の日本株がそうですね)、今がバブルかもと思っていても乗らない手はない。そろそろ危ないと思っても、バブルがいつはじけるかはわからないので、皆(特に客からのお金を預かって運用するプロの方々)はライバルとの競争があるので降りるわけにはいかず(もしも自分だけ降りてバブルがそのまま続いたら成績で負けてしまって客が逃げていく)、結局皆がバブルがはじけるまで降りることはなく、はじけたらあっという間に暴落するのでもはや売るに売れずに大きな損失を出すということを言ってます。さらに現代は世界の経済がひとつにつながっており、コンピュータでの売買がそれに拍車をかけるので、以前よりもバブルが起きてそのたびに暴落するという機会ことは増えるだろうとのことです。

     内容自体は私のような素人でも難しくなく読み進んでいくことができ、それなりに面白かったです。ではこれを読んで自分がバブルに乗ってはじける前に降りられるかと言ったら、う~ん、やっぱり読む前と変わらないでしょうねぇ。行動ファイナンスの本をもっと読んだ方がいいのかも。。。。

  • まさにリーマンショック前夜に発刊された、サブプライムローン破綻までの道程を2007年から追って行った一冊。今でもこの書にあるような構造は変わっていないので、経済の仕組みを知りたい人には適当な入門書になるかも。自民政権になったら日銀券をばんばん刷るんじゃないか、という予測から、一昨日あたりから大きく円安に振れている。これも新しいバブルの胞子であることは言わずもがな。円が破綻するのはいつのことやら。

  • 全ての経済はバブルに通じる!!この1冊 非常に理解し易いバブルの仕組みが書いてあります。必読だと思いますよ!

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著者プロフィール

小幡 績(オバタ セキ)
慶應義塾大学准教授
1967年生まれ。1992年東京大学経済学部卒業後、大蔵省(現財務省)入省、1999年退職。2000年IMFサマーインターン。2001年~03年一橋大学経済研究所専任講師。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。2003年より慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應義塾大学ビジネス・スクール)准教授。専門は行動ファイナンス。2010年~14年まで年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)運用委員。主な著書に『ネット株の心理学』(毎日コミュニケーションズ)、『リフレはヤバい』(ディスカヴァー携書)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『成長戦略のまやかし』(PHP新書)、『ハイブリッド・バブル』(ダイヤモンド社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(東洋経済新報社)がある。


「2020年 『アフターバブル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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