現代アートバブル (光文社新書)

  • 126人登録
  • 3.34評価
    • (5)
    • (9)
    • (24)
    • (1)
    • (2)
  • 8レビュー
著者 : 吉井仁実
  • 光文社 (2008年9月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034726

現代アートバブル (光文社新書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • タイトルにはバブルと称しているけれど、ネガティブでもシニカルでもない内容。馴染みやすい近代アート(ピカソやシャガールやマティス)に代表されるファイン・アート(古典から系譜する芸術)だけではなく、今々に息吹いている現代アートを、もっと楽しもうという主旨。アート鑑賞法という側面ではなく、マーケットやビジネスの現場から、現代アートやアーティストを紹介している。今まで知らなかった世界が垣間見れたので、著者自身のギャラリーの若干の宣伝は許そう。

  • 前半と後半で別人が書いたようなトーンの違い
    著者がいかに人脈が広く儲かっているかを上から目線で語られる本

  • [ 内容 ]
    アートバブルという言葉がにわかに注目を集めている。
    ここ数年、現代美術を扱うアートマーケットが空前の高騰を続けており、投資資産としても関心の的となっている。
    雑誌メディアでは頻繁にアート特集が組まれ、テレビや新聞紙面でもアートマーケットの話題を目にするようになった。
    いま、現代アートの世界でいったい何が起きているのであろうか。
    著者はこの本を通して、多くの人に現代美術の状況や、選び方、そしてなにより楽しみ方を伝える。

    [ 目次 ]
    第1章 現代アートの潮流(アートは社会と連動する 九〇年代のアート 「統合的な理念」から「断片化した現実」へ ほか)
    第2章 アートマーケットの現状(アートマーケットという劇場 「アート」と「マーケット」の蜜月 世界のトレンドがわかるアートフェア ほか)
    第3章 自分と世界を知るヒント(現代美術は難解? 現代美術を楽しむために知識はいらない 日本人と美術 ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • アートを生みたいヽ(・´∀`・)ノ


    以下個人的メモ。

    第1章 現代アートの潮流
    冷戦後:西欧中心の多文化主義→普遍性、現実性(断片から現実捉えるアレゴリー、私的で身近ななインプライベート)
    9.11後:アフターザリアリティ
    ビジョナリティの措定→インテンシティ志向、世界との交感的関係
    劇場化された現実と日常の混在→もはや同じ現実を共有してはいない
    フェティッシュ化されたイメージの不能状態→ベンヤミンの「アウラ」消失

    第2章 アートマーケットの現状
    プライマリーマーケット
    セカンダリーマーケット:オークションハウス(クリスティーズ、サザビーズ)
    アートフェアで今を感じる:アートフェア東京、101TOKYO
    アーティストをサポートするギャラリスト
    作品がコレクターに売れる→美術関係者の注目→展覧会へ→アーティストは評価を得ていく
    総合アートサイトLOAPS
    ヘブンアーティスト
    エルンスト・バイエラー
    日本の流行の移り変わりの速さ
    ワンストップに多様性を求める日本の国民性

  • 2011年8月12日のレビュー
    初めてこの本を読んだ日から約2年、再び手にとってしまった。
    前回と響く部分が少し変わっている。

    [社会の反映としての現代アート]
    90年代:多文化主義

    9.11同時多発テロ ⇢ 多文化主義の限界
    ⇒美術も「アフター・ザ・リアリティ」へ。

    ◯アフター・ザ・リアリティー :ビジュアリティに代わるビジョナビリティ。

    >イメージに固有の強度、インテンシティ(濃密性)を志向し、ユートピア的な世界の複数性の構想に向かう

    >強い既視感を持って人びとに受け入れられたという伝播の様態

    >かつてアメリカ政府の報道担当補佐官が「テレビに映っていない出来事は、存在しないも同じだ」と言い放ったことがありました。9・11のような破滅的な 現実に直面したときでさえ、幻想やイデオロギーを捕食するビジュアライゼーションの網の目、あらゆる出来事を見物のネタへと貶める現実認識のバイアスは、 その事態の受け止め方を和らげてしまいます。

    >あまりにあっけない世界貿易センターの倒壊が教えてくれたのは、このビルがアメリカ的資本主義の象徴であったということだけでなく、私たちを駆り立てる 現実とは、既視感に覆われた見世物ばかりであるということです。

    ※「リアリティ」のふたつの意味
    ①私たちが普通に現実を指すときに使われるもの。キッチュな虚構性にまみれた現実の世界
    ②物事の迫真性を表すときのリアリティ
    ⇢ 一元的なイメージの世界における固有の強度=インテンシティ(濃密性)を意味する。(c.f. モダンアート:見る-見られるという二元的対立)
    ⇢ビジョナリティ:
    >イメージ強度によってもたらされる余示的、予兆的な世界の構想力。それは、眼前の動かしがたい現実に代わる、オルタナティブな世界との関係を予感させるものです。そうした作品の構成要素となるのは、マテリアリズム(物質主義)から切り離されたイメージです。


    >ひとつの現実を共有しているという前提は、いたるところで齟齬をきたしている
    >私たちはそれぞれに異なる現実を生きている

    >9・11は、ハイジャックした飛行機でビルに突っ込むという私的な妄想のレベルであるはずのものが、実体化して公的空間に出現した出来事でした。その標的となったアメリカ的資本主義は、私的な欲求を社会的前進の賭け金とするようなシステムです。


    >20世紀初頭のドイツの思想家ヴァルター・ベンヤミンは『複製技術時代の芸術作品』において、芸術における「アウラ」の消失について述べています。
     アウラとは、芸術作品がもっていた一回性や真正性、「時間と空間とが独特にもつれ合って一つになったものであって、どんなに近くにあってもはるかな、一回限りの現象」を意味します。二十世紀において、このアウラの凋落に代わって芸術作品を特徴付けたのは、フェティッシュ化されたイメージ、ビジュアリティでした。
     そして、このビジュアリティによる皮膜を突き破ろうとしているのが、インテンシティです。それは、視覚的経験のいま・ここという一回性を私たちに取り戻し、より動的で生き生きとした、世界や他者との交感的・交響的な世界へと導いてくれるでしょう。


    ◯アート業界の中の人について

    - フランソワー・ピノ
    >実業家として成功を遂げた彼が、次に狙いを定めたのがアートマーケットでした。過去のマーケットデータを収集・分析し、価値推移・上昇率・取引高など、データマイニングの手法を駆使することによって、アート産業が潜在的な成長力を持ち、ビジネスの対象としても十分な魅力を備えていることを認識したと言われています。
     彼は(略)クリスティーズを買収し、その経営状態を劇的に改善させ、アートビジネスの動向に絶大な影響力を誇るようになりました。

    - 新興国コレクター
    >中東やロシア、中国のコレクターは、日本のバブル期のコレクターのように西洋美術だけを買い集めるのではなく、自国のコンテンポラリーアートにも積極的に投資しています。

    -ジェフリー・ダイチ
    >ハーバード大学でMBAを取得し、シティ・バンクのアートアドバイザリーとして企業のアートコンサルティングやアート・ファイナンス・ビジネスを手掛け、バイスプレジデントまで務めています。生前のアンディ・ウォーホルと密接な信頼関係を築き、ダイチ・プロジェクツのロゴマークはウォーホルがデザインしています。まさにアメリカの現代美術の歴史とともに歩んできた人物と言えます。

    - エルンスト・バイエラー
    >古書店のアルバイトから世界一のディーラーにまで登りつめた
    ・バーセル郊外にバイエラー・ファンデーション

    ◯ヴェネチア・ビエンナーレの日本館運営:国際交流基金と外務省
    ◯ドイツ・ドクメンタ(5年ごと)
    ◯ミュンスター彫刻プロジェクト(10年ごと、ドイツ)
    …招待されたアーティストが二年前からミュンスター市に滞在し、この街の歴史や風景、街の抱える諸問題などを念入りにリサーチし、シンポジウムやアーティストトークを繰り返しながら、住民や街の考える芸術館を理解した上で作品を作っていく。
    ◯シンガポール・ビエンナーレ
    ◯イスタンブール・ビエンナーレ
    …シンガとイスタはアートシーンの周縁ポジションなので、開催国の地域性を反映させ、独自色をだそうとする傾向アリ。
    例)第7回イスタンブール・ビエンナーレ
     …長谷川祐子がアーティスティック・ディレクター。
      コンセプト「エゴ・フーガル」
      :哲学的自我である「エゴ」+中心から離れて四方に拡散してゆくという意味のラテン語「フーガル」。自我から離れて逃げるように周囲に拡散してゆく存在を指す。90年代の行き詰まりから脱却するための光明として、ヨーロッパとアジアの酒井でもあるイスタンブールという場所を象徴。世界で起こる様々な問題を包括し、二項対立的な施行を大きく転換させた長谷川氏のアイデア。

    ◯大事なこと
    >現代において人々の関心は、法律や経済によってコード化された差異ではなく、文化によってコード化された差異に向くようになります。近代的な立身出世位の物語ではなく、自分らしい生き方や個人の感性、充実したライフスタイルなどが人々の抱く夢となります。こうしたミクロな物語のリソースとなるのは、ポップミュージックやファッション、アイドル文化、マンガやアニメ、TVドラマなどのサブカルチャーです。
     アートのような近代化時以来のメインカルチャーもまた、大規模化した文化産業のなかで、人々の関心に応えられるように変容せざるをえないのではないでしょうか。

  • 最近アートが気になるので。アートの中身については分からないが、もっと色々見てみたいと思わされる。090126

  • とりあえずこれ読んでLOAPSに登録しました。
    制作者側からの視点しか持ち合わせていない私には新鮮。
    ギャラリストがいてこそのアーティストって多いのかしら。
    ひたすら感謝よね。
    アートマーケットは凄い、という描写が多くて気になったけど、
    日本も、もうすこしアートに市場をさくべき。
    海外のステータス化されたアートは嫌だけど。

  • ディーラー界の生き馬の目を抜く世界、このところの現代アートの風雲急について書いたものかと思っていたら、現代アート史も盛りこんだ、意外にも知的な本であった。市原研太郎氏のタームとそっくりだなあと思っていたら、彼の同伴的ギャラリスト。なるほど。早いとこ「アフター・ザ・リアリティ」も読んでしまわなくちゃ。

全8件中 1 - 8件を表示

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
椹木 野衣
村上 春樹
宮部 みゆき
村上 隆
村上 隆
有効な右矢印 無効な右矢印

現代アートバブル (光文社新書)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

現代アートバブル (光文社新書)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ツイートする