2円で刑務所、5億で執行猶予 (光文社新書 427)

著者 :
  • 光文社
3.99
  • (16)
  • (39)
  • (9)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 235
感想 : 34
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334035303

作品紹介・あらすじ

おかしいぞ日本の司法と犯罪対策。さまざまな"犯罪神話"を解体し、事実に即した犯罪対策・刑事政策を提案する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「ある刑罰が残虐であるかどうかの判断は国民感情によって定まる問題である」

    そして国民感情は、マスコミによる影響を強く受けている。

    治安はほんとうに悪化しているのか、
    少年犯罪はほんとうに増加しているのか、
    その再犯防止策は功を奏しているのか、
    などなど、テレビを見ていて不安に思うことに対して、データをもとにわかりやすく示されています。

    なぜマスコミがそのように報道するのかにも言及されています。

    さらに、法律家の役割についても自分の中の誤解に気付かされました。

    犯罪について、犯罪者について、再犯について、法廷で扱われることについて、興味のある方におすすめです。

  • 今必要な本ではなかった

  • 社会学部 金澤ますみ先生 推薦コメント
    『“犯罪神話”を解体し、事実に即した犯罪対策・刑事政策を提案する。』

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPAC↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/505039

  • 東2法経図・6F指定:326.3A/H23n/Shoji

  • 内容は著者のこれまでの著書のエッセンスを凝縮したものなので、それらをすでに読んでる人には既知の情報や内容である。
    それでも、犯罪に関する間違った常識や神話を批判していく地道な作業は必要だし、それを続ける著者に感心します。

    犯罪に関する情報をニュースなどの限られた情報源からしか得ていない人には是非読んでほしい本です。

    個人的には「法律と科学」(p148〜p168)で述べられている法律家の論理的思考だけではなく、そこに確率的思考で事件を科学的に分析する必要があるという指摘は、(言われてみれば当然なのだが)参考になった。

  • ●今問題なのは少年犯罪ではなく高齢者犯罪
    ●「昔はよかった」は大ウソ
    ●街灯を明るくすると犯罪が減る
    ●徴兵制や新兵訓練は非行を抑制しない
    ●犯罪の認知件数と刑務所人口には因果関係がない
    ●刑務所に入るかどうかは犯罪の重大性と関係ない
    ●裁判で真実は明らかにならない
    ●人が更生するために必要なものは?
    “犯罪神話”に踊らされてるあなたにぜひ読んでもらいたい一冊.犯罪者はこの世に生まれ出でたる時よりモンスター……などではなくあなたと同じ人であり隣人でありそしてあなたもなる可能性があるものだ.
    『2円で刑務所、5億で執行猶予』これは筆者が5億の詐欺を行ったK氏は実刑になるべきだと言っているわけではない,むしろ,少額の無銭飲食や万引き犯が実刑にならないような,何らかの支援の仕組みが必要ではないかということである.

  • 『罪を犯した人を排除しないイタリアの挑戦』を読み、
    浜井先生の研究分野にとても興味を持った一人です。

    上記の本でも触れられている日本の問題点について、
    さらに詳しくたくさんのデータを元にまとめられている。
    犯罪理論も明瞭に説明されていて非常に分かりやすい。

    また、法律家自体の人材についても言及しており、
    法科大学院での教育内容に警鐘を鳴らしているのが
    とても興味深かった(自分も当事者だったので)。

    2016.11.9

  • 犯罪についての情報というのは、ほとんどの人は「ニュース」に頼っているのが現状。しかし、ニュースでは、一つの事件は伝えるが、定量的なデータを定期的に伝えることは少ない。少年事件が報じられれば、犯罪の低年齢化を心配し、虐待が報じられれば幼児虐待の増加を懸念します。
     が、果たして、実際に日本全体としては、どうなのか?
    それに回答してくれるのがこの本です。
     犯罪者の性別、年齢、犯罪者と被害者の関係、それらの統計を解説しています。
     
     加えて、全ての犯罪が裁判になるわけではなく、それどころか、かなりの割合の犯罪は、和解や示談、身元引受人などの条件で裁判には持ち込まれません。持ち込まれたとしても、執行猶予になるものも多く、この結果実際に刑務所に入所する人は、「お金」と「人脈」がない人となります。
     このように、凶悪重大犯罪者が多いイメージのある刑務所が、実は知的障害や日本語が話せない外国人、身寄りの無い高齢者などの社会的弱者の最終的な受け皿になっていることなど、この本を読むまではわかりませんでした。
     すごーーく面白い!という本ではありませんが、報道だけではわからない日本での犯罪の傾向を知るには非常に良い本です。願わくば、報道も時には、この本のような「俯瞰的」「定量的」な視点で行って欲しいと感じます。

  • のっけからの、「2年前と比較して犯罪が増えたと思いますか?」の質問での、日本全体と、居住地域の答えの違いが興味深い。
    さまざまな、常識としてまかりとおっている、
    根拠のない俗説を、データをもとに分析し、客観的に反論していく。すごいなあ。

  • 犯罪現象に関する誤解や神話をデータによって論 事実に基づいて考えることの大切さがわかります。

    [配架場所]2F展示 [請求記号]080/K-8 [資料番号]2010119493

全34件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

龍谷大学法務研究科(法科大学院)教授1960年生まれ。著書に『犯罪統計入門』(日本評論社)、『刑務所の風景』(日本評論社)、『家族内殺人』(洋泉社新書y)『2円で刑務所、5億で執行猶予』 (光文社新書)、『犯罪不安社会』(光文社新書)、『実証的刑事政策論』(岩波書店)、『罪を犯した人を排除しないイタリアの挑戦』(現代人文社)、『発達障害と司法』(共著、現代人文社)など。

「2015年 『新・犯罪論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

浜井浩一の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×