世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか (光文社新書)

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著者 : 菅原琢
  • 光文社 (2009年12月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334035372

世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか (光文社新書)の感想・レビュー・書評

  • 新書にしてはあり得ないほど濃密な内容
    著者のブログやTwitterとも合わせて、小泉氏以来の国政選挙に関して多くの知見を得ることができると思います
    社会学関係の物書きの人たちが自業自得とはいえ完膚なきまでにやられていますが多少同情しないでもない

  • 麻生さんが人気があったのは、産経新聞がそういう報道をしたから。それによって麻生さんは国民に人気がある、選挙に強いという言説が広まっていった。

  • 話題になっていたのは知っていたけれど、もう古いことだしなあと思って読まなかった本。
    読んでみたら、たしかに扱っている事項は古いんだけど、充分に普遍的なリテラシーのすすめが書かれていた。タイトルが悪いなあ。

    あの名著『社会調査のウソ』のバリエーションって感じ。

  • 世論というのは曲解されるらしい。
    かばしまさんのお弟子さんだってね。

  • データを検証して政治状況を適切に分析していくという内容には共感。けれど、「小泉政治が不人気だから自民党は政権交代した」のではなく、「小泉以降の総理大臣が古い自民党に戻る政策を推し進めたので有権者は離れた」という分析には半分納得・半分腑に落ちない。たしかに小泉以後の総理大臣にそういう側面はあったかもしれないが、やはり小泉の進めた(と言われる)構造改革路線・規制緩和路線による格差社会の進行は評価されたなかったのではないか。そのことが政権交代の要因になったのではないだろうか。そのことに触れられてないのが残念。

  • これを読んだ上で、2013参院選をどう分析するか。→『Voice』2013 9月号

  • 2007年の参院選及び2009年の衆院選での自民党敗北を受けて、なぜ自民党は世論調査とは異なった政策を打ち出したのかを考えている。この時期の自民党の敗北は、小泉改革(=ネオリベ的市場原理主義)政策を推し進めたことによる負担を国民が嫌がったことが原因であるというのが通説である。が、本書で著者が行った分析によるとこのような改革路線が嫌われたのではなく、改革路線をぶれさせ愛国的な懐古路線(「戦後レジームからの脱却」に象徴されるを嫌がったものによることが原因であるという。その他社会調査によって色々なこと(若者が右傾化している傾向は見られないetc...)がわかる。
     が先日の選挙(2012年12月の衆院選)は一体何だったのだろうか。自民党が前に出したのは、2007年時点の総裁である安倍である。もちろん愛国的な懐古路線である。この路線が支持されたという事であろうか。

  • 目の前に間違いのない情報、データがあったにもかかわらず自らの考え方に合致する都合の良いものだけを選び取ってしまった。07年参院選の大敗を正しく総括できず09年総選挙において大惨敗を喫した自民党。データ、図表を客観的冷静に眺めながら大敗の真相に迫る。データ一つを読み取るにも身勝手な先入観で見たり、単眼でしか見なかったりで、真実を大きく見誤ってしまった。得られる教訓は少なくない。

  • データの読みほぐし方がよくわかる。世論は簡単に誘導される。でも、自力でここまで真偽を見分けるのは大変そう。

  • 小泉純一郎という美酒に酔った自民党が、ねじれ国会の中でだんだんと世論を曲解していき、その後の衆院選で大敗を喫したということが、詳細なデータを元に語られていく。

    要するに自民党は未だに小泉人気とはなんだったのかを理解できていないのだと思う。最初の齟齬はすでに安倍政権での郵政造反組の復党ではじまっていて、あの高支持率が靖国参拝やタカ派の政治スタンスによって醸成されたのだと。それを好む人もいるけれども、実際には政権を支えるほどの人数はいなかったことが、政権交代に結びついてしまった。

    でも、それは自民党どころか民主党もメディアも見誤っていることだと思う。自民党は相変わらずタカ派で保守回帰路線を突き進んでいるし、民主党は小泉純一郎の否定というところから先に進んでいない。で、目を転じると、その辺りを把握していそうな橋下徹が一大勢力になってきている。

    そういう意味では、なぜか停滞している日本政治を読み解く一冊だと思う。でも、書いている内容は相当難しい。

  • 読むのに疲れたが面白かった。先の政権交代を世論の読み違えという観点から多くの世論調査・選挙データを分析して謎解きをするように解説する本。質問事項がひとつ増減するだけで大きく結果が変わってしまう世論調査など目からウロコ。

  • 人は自分の主義・主張においては本質を逃しがちである事、自分勝手な編集を行っている事を受け手は意識する必要があります。

    本書では自民党大敗の原因を始め、当時の政治状況を統計的データを用いてあらゆる角度から検証して解説しています。
    その内容の濃さと説得力は圧巻です。

  • 2010/2/15
    小泉政権後の自民党はどちらへ進むべきだったのか、なぜ自民党は昨年の総選挙で壊滅的な敗北をしたのか、データを基に極めて緻密かつ説得的に論証される様は圧巻と言ってよい。

    ただし、全編通じて徹底的に客観的な筆者が、麻生太郎を論ずるときだけは、極めて主観的になっていると感じるのは私だけだろうか。評者は、それこそ何のデータにも基づかない「主観的な」意見としては、麻生太郎は時宜を得ればなかなか立派な宰相となっていたのではないかと思っているのだが・・・。

  • 世論と正確に捉えるということは実に難しい。私たちはステレオタイプ的思考に陥らぬよう、偏った情報に振り回されない訓練が必要だ。

  • 小泉政権での隆盛(?)から麻生政権での没落に至るまでの自民党の流れと世論との関係を分析している。

    正直、あまり日常的に政治に関わっていないので、興味深いテーマであるとは言えなかったが、タイトルからメディア社会の脆弱性についても書いてあるのでは?と思い読み始めた。

    読んでみたら、読みは的中。
    ソースとしては自民党の政治であるが、その根底にあるのは、曲解された世論と、どうしてそのような事柄が起こるのかというのは、データ分析によって詳細に解説している。

    総じて興奮するようなストーリーではないが、著者自身の感情を抑えて、冷静に記述しているのがすばらしい。


    著者の言葉を借りれば、
    「たまたまテレビに捉えられた(テレビ局側が放映したい)人物の挙動・発言が日本を代表している」
    という勘違いは、自分でも無意識に感じてしまっているほど、日常性が高い。

    自戒を込めて、このような世論の曲解に挑んでいける冷静で強い情報リテラシーが広がってほしいものだ。

  •  読み方としては、各章にあるまとめを読んでから、その章を読むと理解が早い。

     ・得票率と若年層の投票率は上がっているというデータほ目から鱗。
     ・民主党の躍進の主原動力は、野党同士の選挙協力。
     ・麻生人気を支えたのはフジサンケイグループ。同グループが最保守であると認識していたが、読者層も同様であると言うデータ。

     結論としては、自民党が墓穴を掘りまくって、どうしようもなくなったから民主党への消極的投票になったというところ。きちんと元のデータとその注意点をしつこいくらいに提示していたのは好印象。

  • 世論の曲解が、政権からの滑り落ちのきっかけとなった。

  • データを駆使して、世論の解釈よりも、実際の有権者の動きを追っている。また、選挙などのデータの集め方の問題点も指摘している。

  • 麻生総理が国民的人気だと思われていたのはネットに書いてあった少数意見をあたかも国民の意見のようにメディアが報じたからだ、というのは興味深かったが逆に麻生総理の人気という幻想にとらわれ過ぎてる感もあった。そんなに人気あったっけ?

  •  2007年参院選、2009年衆院選と立て続けに自民党が大敗した理由について、公的機関などのデータに基づく世論の変動やネット上の言説から分析した本。この本で述べられているのは、主に以下の通り。

     ・自民党が2007年参院選で大敗したのは小泉構造改革を支持していた世論を読めなかったため。それは安倍内閣による郵政造反組の復党が、自民党支持者の間でも評価されていなかったことからもわかる。社会保険庁の不正発覚や従軍慰安婦問題の認識も同様に失点となった。

     ・自民党が2009年衆院選で辛うじて100議席を確保できたのは、農村部での支持が目立ったため。昔ながらの自民党支持者や都市部の無党派層の多くは民主党に流れてしまった。

     ・「若者の右傾化」という言説は嘘。ネットでは保守的、右翼的な発言をする若者が多いように思えるが、これは人口比から見れば0.5%にも満たない。

    ・「国民的な麻生人気」という幻想を生んだのは2ちゃんねるの「麻生太郎研究スレッド」の書き込みを熱心に取り上げたフジサンケイグループのマスメディアであった。このスレッドは発言率上位者10%が全書き込みの半数を占めるというごく少数の人間によるもの。

     ・「ネット世論」という言葉は全く的を射ておらず、「ネット小言」と言うほうが実態をよく表している。政治家やマスメディアが相手にすべきなのは、少数の熱心なコピペ作業員の意見ではなく、全国的な世論である。

     ・「メディアの世論調査は嘘で、ネット世論が正しい」という妄言を吐くような専門家や評論家は淘汰されるべきである。

     全体を通して、自民党の政治家やマスメディアがネット界隈や自民党本部前で熱烈にエールを贈ったごく一部の「自民党ファン」を過大評価し、それまでの国民全体の世論に配慮しなかったことが自民党の敗因として述べられています。

     民主主義国家においては声を挙げることが不可欠ですが、声を挙げないサイレントマジョリティを軽視してノイジーマイノリティを重視しすぎるのは民意に反するということが身に染みてわかった。

     全体的にはよく分析された良書。あえて苦言するなら、ネットでの政治的発言を調査するのだったら、2ちゃんねるや一部のブログ以外のサイト(mixiなり他の掲示板やブログ)も参照にするべきだった。

  • 選挙を扱った政治学者の本を初めて読んだ。
    定量的な分析を中心に据えようとしているのは伝わってきた。

  • [ 内容 ]
    新進気鋭の政治学者が、印象論を排したデータ分析を駆使して、マスコミ報道の問題点や、世論調査を曲解して惨敗した自民党の迷走を描き出す。

    [ 目次 ]
    第1章 寝た子を起こした?―2005年総選挙・郵政解散の意味
    第2章 逆小泉効果神話―曲解される2007年参院選の「民意」
    第3章 逆コースをたどる自民党―安倍政権はなぜ見限られたのか
    第4章 「麻生人気」の謎―2007年総裁選・迷走の構図
    第5章 作られた人気―「次の首相」調査の意味
    第6章 世論とネット「世論」―曲解が生まれる過程
    第7章 「振り子」は戻らない―2009年総選挙・自民党惨敗の表層と底流
    終章 自民党大敗の教訓―世論の曲解を繰り返さないために

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • マスコミの世論調査を元に、データの取り方から丁寧に仕組みを書いていてわかりやすい。
    よくよく考えると政治に無関心だから「上辺の数字」しか見ていなかったことを指摘された気がする。

    データは難解ではないものの切り口が独自性高い。一方、読み解く力が必要であるとも感じた。

    コメンテーターなる人々が乱立する中では、ニュースの見方、いわゆる有権者の基礎知識として読むべき本だと思い強く推奨できる一冊。

  • 面白かった。

    いや、国民が小泉路線を望んでいるのなら、まだこの国にも希望がある。
    もう目をそむけるのはやめなければいけない。
    自分がよければいいという考えが、1000兆円の借金を生んだのだ。

    やはりここでも「人は自分の信じたいことを信じる」のだと再度認識した。
    俺もマクロとミクロをしっかり区別して世の中の情報を消化しないといけないと思った。

    --気になった言葉--
    そういう意味では自民党はB層の動員に失敗している。したがってB層動員の選挙戦略を担った「コミ戦」なるものが自民党の圧勝を導いたとするのは神話である。(P43)
    (民主党の)最も大きな躍進理由は、野党間の選挙協力である。(P91)
    小泉の評価が高いままで、自民党や安倍の評価が落ちていることからすれば、むしろ、小泉の示した方向性、政策路線を踏襲しなかったために、自民党から離反したのだと解釈したほうが自然だということになる。(P104)
    産経新聞は、こういった右寄りの購読者を背景とした新聞なのである。(P131)
    彼らは「世の中のひとびとは麻生が好きに違いない」という先入観を抱いており、その結果、それをサポートする数字に飛びついてしまったのである。(P195)
    筆者の感覚では、政治や社会に強く関心を抱いている人々ほど歪んだ「世の中」のイメージを有している。(P204)
    小泉後の自民党が指示を失ったのは、この世論と「世論」の乖離を理解し、整理できなかったからである。(P273)

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