美女たちの西洋美術史 肖像画は語る (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334035969

感想・レビュー・書評

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  • ・ルーベンスの「マリー・ド・メディシスの生涯」がでかすぎる。
    ・よっぽどすごい運命なのかと思いきや逆で、ルーベンスが頑張って盛り盛りにしたんか。
    ・ヴィンターハルター、そんなにあかんか

  • 一人一人の肖像画がドラマティックに見えてくる。
    社会的身分に相応しく理想化し、そこに人間性も表していくという肖像画の役割は、当時はなくてはならないものだったんだな。
    王の愛人を公式化していく流れや、それでのし上がっていく女性達のパワフルさに驚き。若くして亡くなる方も多く、その心労や、子供を沢山産んで体も酷使していたことを知った。
    山あり谷ありの人生ばかりで、夢中になって読んだ。

  • 新書文庫

  • 肖像画に描かれた「美女」と美女以外の視線の温度差がはっきりしている。やはり「美女」とは強い力を持つ存在なのだと思わされた。

  • 外見の理想化ばかりしてモデルの内面を描くことができなかったことに対して、美術史でヴィンターハルターに厳しい評価が下るのは致し方ないのかもしれません。

    「名画の言い分」の木村氏の最新刊。美術も歴史もどちらもお腹いっぱい堪能できる一冊だ。冒頭のヴィンターハルターは、あの有名なエリザベートの肖像画を描いた人。でも確かにこの絵は知っているけれど、ヴィンターハルターさんについてはあまり知られていない。肖像画を見る時、「眼光がすごい…」「怖そう!!」「わがままそうだもんね」など、つっこみを入れたくなるものだが、このエリザベートは、「すてき~」「きれい~」しか出てこない。一国の主たる者、そんなアイドルのプロマイドのようなものではないけないらしい。出てくる王妃や寵姫たちのエピソードもたくさんあって興味深く、今回もすぐに読んでしまった。

  • ★2.5かな。
    ちょっと主張が大人しいというか平板な印象。
    じゃあ自らやってみろと言われても困るのだが。最後のジャッキーの話はきっと新機軸を打ち出そうという意気込みだろうし、その心意気や良しなんだけれども、その主張が幾分熟していない感あり。もしかすると無理線なのかもしれないが、それを乗り越えていく迫力が足りないかな。

  • 絵がいっぱい。内容は新しいものではないかな。

  • 序章に、【「赤の他人の肖像画なんかを観て、何が楽しいんだろう」と感じる方もいることでしょう】とあります。まったくそう思っていた私ですが、この本を読んで、描かれた人の物語を知った今、肖像画を見る目が変わりそうです。

    ヨーロッパの宮廷で行われてきた政略結婚、権謀術数、その背後にある愛とロマンなど、今でもお偉方の世界では行われてる駆け引きにも似た物語の数々、面白く読めました。

    15人の女性が取り上げられていますが、麗しいポーズの裏で、野心に燃えていたり、運命に翻弄されたり、ジェットコースターのような人生を送っていた彼女たち。人生いろいろですねぇ。

    新書だけども、絵の写真は良かったです。簡単なものでいいので、年表や地図がついていれば、さらに分かりやすいかな。

  • 「エリザベート皇后の肖像画家へのダメ出し!」

    イザベッラ・デステ、エリザベス1世、ポンパドゥール夫人、ジャクリーン・ケネディ等々…中世から近代まで著名な女性たちの肖像画にみる愛と欲望の系譜。

    世界で最も有名なオーストリア皇后・エリザベートの肖像画といえば白いドレスにエーデルワイスジュエリーの髪飾り、寂しげな微笑で見返る立ち姿のアレです。私もこの画の美しさに魅了された一人で、会社のPCのデスクトップにも置きたい!と試みたわけですが、あれ?どういうわけかこの画を見ていると、やる気が出てこない。好きな画のはずなのに、なんだか気持ちが寒々とする…
    本書を読んでその理由に合点がゆきました。

    この肖像画の作者はヴィンターハルター。モデルを美しく描くことで19世紀ヨーロッパの王侯貴族にもてはやされたドイツ人肖像画家です。彼は、この代表作・エリザベート皇后をはじめ、ヴィクトリア女王、フランスのウージェニー皇后、ロシア皇后マリア・アレクサンドロブナと当時の名だたる女性の肖像画を手がけました。その作品はどれも「美しい」というのに彼の名は美術史の中ではほとんど評価されていない。

    その理由を著者は「モデルの極端なまでの理想化には長けた画家だったが、その内面を伝えることは出来ない画家」と喝破しています。冒頭のエリザベートについても、この画のインパクトとその劇的な生涯が小説に舞台に取り上げられて、あまりに美しく伝説化していますが、実際の彼女は、いくら自由に育ったとはとは言え、その身分や環境から性格には傲慢で尊大なところがあり気に入らないことがあると平気で侍女を平手打ちにし、しかも責任感がなく気まぐれで怠惰なところは皇后に相応しいとは言えず、あまりにも自己中心的な人物だっと、かなり手厳しい。

    一時が万事ではありませんが、内面が表現されていない肖像画には良い悪いも含めてその人間の持つ「生気」が感じられないということになるのでしょう。結局美しいだけの人形をそのまま写しただけの画になってしまうのだということがわかります。

    <外見の理想化ばかりしてモデルの内面を描くことができなかったことに対して、美術史でヴィンターハルターに厳しい評価が下るのは致し方ないかもしれません。しかし19世紀における「慎み」を最上のモラルの一つとする価値観からすれば、彼の内面を表さない描き方は肖像画家としての最上の顧客サーヴィスだったことでしょう。>

    「写真」という人間を写し出す新たな表現方法の登場とともに肖像画の持つ意味合いが大きく変わろうとする時代に在ったヴィンターハルターへの著者の最大の評価です。彼が完成させた肖像画を見て、モデルとなった高貴な女性たちが満足そうに微笑む姿が目に浮かぶ…。著者の言うとおり、彼は画家ではなく顧客の要望に十二分に応えることが出来たとびきり腕の良い職人だったに違いありません。

  • 歴代公式寵姫などが一望できる。

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著者プロフィール

1966年生まれ。カリフォルニア大学バークレー校卒業。専攻は西洋美術史。ロンドン・サザビーズ美術教養講座にてWorks of Art修了。講演、セミナーなど開催多数。著書に、『名画の言い分』(ちくま文庫)、『世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」』(ダイヤモンド社)、『名画は?をつく』シリーズ(ビジュアルだいわ文庫)などがある。

「2019年 『カラー新書 ゴッホとゴーギャン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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