上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください (光文社新書)

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334036478

感想・レビュー・書評

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  • 26歳の古市憲寿と63歳の上野千鶴子、30以上離れた二人の社会学者の対談です。

    親の老後や介護問題、さらに世代間格差についてこの国の現在と未来について語られます。

  • 「団塊世代の代表・上野先生」と、「若者代表・古市くん」の対談。
    世代間格差とはいうけれど、そこはかとない被害者意識と不安が対談の中で少しずつ可視化されていく。といっても主に可視化されたのは「古市くん」の甘ったれっぷりですが…

  • 最近や介護や市民社会についても発言することの多い上野千鶴子さんと、新進気鋭……もとい若手の社会学者とされる古市憲寿さんの対談。話題は自分の親の将来の面倒を見る覚悟のない古市さんに対して、上野さんが介護保険など社会の仕組みを説明しつつ、古市さんの漠然とした不安に迫り、緩和させる相談に乗っているといったところ。
    とにかく、古市さんがカッコつけたり知ったかぶることなく、情けない青年っぷり丸出しで上野さんに教えを乞うているのがいい。このくらい地に下りないと、読者は実感をもって上野さんの教えが染み込んでこないだろうから。
    介護保険制度はなかなかによくできた制度で、ある程度、下りていく覚悟を持って将来を見据えて生きていけば、いたずらに不安になる必要はないんではないかな。
    ややヨコな話だが、古市さんの育った家は、友達のような親子関係で、食事中にケータイいじるのなんか普通の家なのだとか。自分との世代差も感じたし、こういう家だから親に対する責任の持ち方、距離感に迷うのかなとも思った。

  • なんてゆうか、ものすごく同族嫌悪を感じた。

  • 上野千鶴子と古市憲寿の対談集。
    基本的には「介護」がテーマなのだが、お互いの専門であるジェンダーや若者論だけでなく、経済、歴史と幅広く議論している。

    大学院に入ることを本学のごく一部の先生は「入院」という。この言葉結構広まっているみたい。本書では次のように説明されている。(p.29)

    入院……大学院に進学すること。特に文系大学院に進学すると、将来が非常に限定されてしまうため、「入院した」と皮肉られる。一般の病院とは違い、入院したからといって「病気」が治るとは限らず、むしろより病状が悪化する可能性が高い。

    団塊世代は親からの援助が得られない人がほとんど。何が何でも歯を食いしばって就職せねばならんという覚悟はあった。スキルがなくても魚をゲットできた時代かもしれないけど、(団塊世代は)親は釣った魚を与えてくれないという予期はあったはず。(p.33)

    親が突然死ぬのは珍しい。病気になってジワジワ弱っていく。それに気づかずに(心の準備ができずに)突然親が弱ると驚く。介護するのも大変。その準備のためにも、親と関係を気づくことが大切。「あそこが痛い」と話を聞いているうちに親の介護(どのように死にたいか、老後はどうしたいか、お金はどれくらいあるか)について話をしておくことが大事だと上野はいう。(pp.62-63)
    家での食事で各人が違うものを食べたり、一人だけコンビニ弁当を食べたりといった「食卓の崩壊」をセンセーショナルにレポートした岩村暢子『変わる家族 変わる食卓』(勁草書房)が気になる。

    最後に考えたいこと。(pp.241-242)

    古市:ブラック企業に勤めている人や、非正規雇用ですごい低賃金で働かされている人がいたとします。客観的には不幸なんだけど、本人はその状況に不満を感じていない。その時に「本当はあなたはこんなに不幸なんです」っていうべきなのかどうか。それとも主観的に幸せなら、何の問題もないと放っておけばいいのか。

    上野:(略)その余計なおせっかいをフェミニズムはしてきたわね。「あなたは幸せそうな顔をしてるけど、ほんとは不幸だ」っていうことを、たくさんんお女に言ってきたから。そう、やってきましたね。

    古市:(略)上野さんの本を読んで不幸になった人も多いと思うんです。たとえば専業主婦とかの人が読んで「こんなことだったの!?」と気づいてしまって、平穏な日常が崩れる、なんてことがあったかもしれない。それはすべきなんですか、しないべきなんですか。

    上野:たとえばどんなにつらい現実であっても、まず事実を知ることが必要。それに対処する選択肢が生まれるから。選択肢を示すってことは大事だと思う。(略)選択というのは、知っていて選ぶのと、知らずにそれだけしかなくて選ぶのでは、大きな違いがある。たとえ結果が同じになってもね。


    (まっちー)

  • 世代によって考え方の違いが良く分かる本でした。

    印象的だったのは、上野さんが古市さんに「親より先に死にたいと思ってない?」という話をしていたところでしょうか。
    あと、自分たち団塊の世代は子育てを間違えたというような事を話していたことも印象的でした。

  • ホント今後が心配

  • 正社員が期待できないこれからの社会、これからはいろいろ複数のことで細々と稼ぎ、小金をかき集めて生きること、という上野千鶴子のコメントがいいなと思う。

  • 上野千鶴子の独壇場。痛快。
    介護保険の基本的な内容を知る。ケアマネの存在は安心。
    親世代はなんとか乗り切れるとして、自分たちの世代は?備えの必要性感じる。
    子供世代には、魚を釣る方法を教える必要性あり。
    社会は変えられるという意見が印象的。

  • 百姓(ひゃくせい)ライフ。裏も表も全部知った上での選択。同居=24時間介護。老後にソフトランディング。

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著者プロフィール

上野千鶴子(うえの・ちづこ)東京大学名誉教授、WAN理事長。社会学。

「2021年 『学問の自由が危ない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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