上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください (光文社新書)

  • 光文社
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感想 : 121
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334036478

作品紹介・あらすじ

ベストセラー『おひとりさまの老後』を残して、この春、東大を退職した上野千鶴子・東大元教授。帯の名文句「これで安心して死ねるかしら」に対して、残された教え子・古市憲寿が待ったをかける。親の老いや介護に不安を覚え始めた若者世代は、いくら親が勝手に死ねると思っていても、いざとなったら関与せずにはすまない。さらに少子高齢化社会で、団塊世代による負の遺産を手渡されると感じている子世代の先行きは、この上なく不透明。だとすれば、僕たちが今からできる心構えを、教えてほしい-と。これに対し、「あなたたちの不安を分節しましょう。それは親世代の介護の不安なの?それとも自分たち世代の将来の不安なの?」と切り返す上野。話は介護の実際的な問題へのアドバイスから、親子関係の分析、世代間格差の問題、共同体や運動の可能性etc.へと突き進む。30歳以上歳の離れた2人の社会学者の対話をきっかけに、若者の将来、この国の「老後」を考える試み。

感想・レビュー・書評

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  • 団塊世代の上野先生と、
    そのジュニア世代よりちょっぴり若い古市さんによる
    介護不安についての対談です。

    インタビュー形式ですが読みやすく
    1時間半くらいで読み終わりました。

    私は古市さんの方と年齢的に近いので、
    抱いている介護不安は参考になるものが多かったです。

    親は親のままでいてほしい、という心理が子にはあること、
    社会になんとかしてほしい、
    解決策は誰か考えてという意識がジュニア世代には強いことがわかりました。

    これはまさに
    今まで受けてきた「答えのある教育」の負の側面かもしれません。
    当事者意識が低く、誰かが回答を準備してくれるものと思ってしまうのです。

    教育は恐ろしいものです。
    どんな教育をするかで、10年後の国の姿が変わってしまうのですから。

    そんな風に育ってしまったことは
    もはや仕方ありません。
    若者を責めても何も変わりません。

    そんな誰が悪いとか不毛な争いをするくらいなら、
    日常のちょっとした困り事に気づいて
    少し工夫をして解決する方がよっぽど良いです。

    そういう小さなことから始めていけばいい。
    それは、問題を解決する力を少しずつ身につけることにもなります。

    自分の足元を見つめてみることが
    結局は社会が変わることになる。
    そんなことを教えてくれる本でした。

  • 『海外旅行とか車が欲しいとか、欲はないのか?』
    『会社でのし上がっていこうとか思わないの?』
    今の生活に満足して、まったりとした日々を送る息子をみていて、いつも不思議に思っていました。
    若者よ、それで良いのか?!と。
    この本を読んだところによると、これからの世の中は、どうやらそれで良いらしい。。。
    何かにつけうっかりバブル世代の癖が出てしまう私や、バカの一つ覚えのように『原発再始動』『景気上昇』しか考えてない財界の偉い人達の方が
    これからの世の中の形をちゃんと理解できていないんだろうな。
    『幸せだから政治運動なんてしない』という古市君に、
    『もしそうだとしたら、そのまま文句言わずに滅びていただくしかないですよ』と答える上野先生(笑)
    お世辞も建前もない二人の本音の会話が
    本当に面白くこれからの生き方を考えるのに大いに役に立ってくれそうです。

  • 面白かった。
    上野さんにこんな一面が。

  • 遠くない将来の当事者として、かなり真剣に集中して読んだ。
    手元に置いて、いつでも読み返したい本。
    うちの親が、まさに団塊の世代の典型的な親であり、私は子育ての失敗作。
    まったりとした生活がイイなんて、のほほんとしてる場合じゃない。
    動かなきゃ。

  • 古市さんのよくも悪くも正直すぎる文章に惹かれ、彼の著書をすべて読破しようとして購入した本だったが、まさに自分も親の老いを感じ始め直面している問題で、一気に読んでしまった。介護不安に関してのみならず、現代社会が抱える問題について、まったく異なる世代の社会学者二人が対談しており、世代によってここまで考え方が違うかと面白かった。はからずも、最後の上野先生から古市さんへの手紙は、愛が感じられ、涙がでそうに。ためになる本だった。

  • ほんとうは☆5をつける内容じゃないとは思うのだけど、本全体にあるエネルギーにおされた。あとがきの手紙でなぜか泣いてしまったくらい。新書で泣かされるとはびっくり。

  • 上野教授と古市氏のコラボ。遭わない人は遭わないと思う。私はこの手の方!

  • メモ
    第1章 不安を分節しましょう
    第2章 介護の不安…目指すは老化のソフトランディング
    第3章 介護保険?…足りないようにできている
    第4章 自分の将来…百姓ライフをめざす
    第5章 政治の不安…現在日本は家族主義>少子化
    第6章 若者の不安…不満ハードルさげて要求する能力
    第7章 弱さを認めることから始まる…機会集合の研究者

  • 20191116 下京図書館

  • 2019 4/27

  • 図書館で返却コーナーに並んでたので手に取ってみたんだけど、面白かった〜!
    ちょうど古市さんのような立ち位置なもので(年齢多少上だけど)、非常に状況に覚えがあり、勉強になりました。
    あと、死ぬならガンがいい、て確かにほんとだな(^_^;)
    なかなか口に出しづらいことではあるが、私自身親戚の方が亡くなっていく姿を見て思いました…

  • 『絶望の国の幸福な若者たち』(https://booklog.jp/item/1/4062170655)で気になりはじめた古市くん、あの上野先生と対談!?ということで読んでみた。
    見識と着眼点の鋭さと甘えを兼ね備えた古市くんとオトナで師匠な上野先生のどちらの意見も納得することばかり。私はどちらかというと古市くんに近い世代のため、一世代上&さまざまは世代を見てきている上野先生の発言には新発見や驚きが多かった。

  • 上野さんも古市さんも大好きなので、介護に興味はないけど借りてみた。
    そしたら、やっぱり面白かった!!
    介護を切り口に世代間格差を切る!みたいな内容で、古市くんが頓着しないでアケスケに話してくれるから、すごくリアリティがあるし、上野先生も容赦なくビシっと言うから気持ちいい。あんまり人に本はお勧めしないんだけど、これはリアルに団塊ジュニアの人に又貸ししたw

  • 『おひとりさまの老後』(文春文庫)や『ケアの社会学』(太田出版)で、老いや看護の問題について論じた上野千鶴子に、当時まだ大学院生だった古市憲寿がみずからの抱えている不安をぶつけるかたちではじまる、対談形式の本です。

    近年はすっかり炎上芸でおなじみになった古市ですが、本書ではピエロの役回りを演じて、上野の鋭い洞察を次々に引き出しており、さすがだとうならされました。

    漠然と感じていた将来への不安を、一つひとつていねいに腑分けし、具体的な問題へと帰着させられていくので、どこか心が軽くなるような読後感をおぼえます。また、若い世代が日本の社会に希望をもつことができるための道筋まで提示されており、明るく締めくくられていることにも、好印象をいだきました。

  • 六十代の上野千鶴子先生と二十代の古市院生の対談。若者らしく正直な答えに、上野先生のすぱっとした質問。介護問題や世代間問題がよく分かる。

  • 東大教授を退職した団塊世代の上野千鶴子氏63歳に、教え子の古市憲寿氏26歳が、「老い」「介護」についての心構えと世代間格差といいますか、これから若者(二流市民)はいかに生きるべきかを問うたものです。「上野先生、勝手に死なれちゃ困ります」、2011.10発行です。母親と息子(親と子供)がこんな会話をしたらいいなと心底思いました。「若者に不安がない、という不安」、確かに感じています。介護、介護保険については勉強になりました。

  • 非常にためになりました。
    この社会を作り上げた人たちの思惑とかがよくわかりました。
    問題点がはっきりしているのに解決できない政治絡みの権力争いとか一筋縄ではいかない社会の動きとか…社会学って面白いなぁと思いました。

  • 百姓(ひゃくせい)ライフ、実践したい。

  • 読みやすくて問題意識も広がってよかった
    社会学って面白いのかもしれない

  • 2015/11/18

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著者プロフィール

上野千鶴子(うえの・ちづこ)東京大学名誉教授、WAN理事長。社会学。

「2021年 『学問の自由が危ない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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